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VRとは:VRの基礎知識1

VRの基礎知識

更新日:2020年3月5日(初回投稿)
著者:株式会社桜花一門 代表取締役 高橋 建滋

CGなどで描かれた、実際には存在しない物事を、あたかも目の前にあるかのように再現するVR―Virtual Reality。近年では、ゲームなどのエンターテインメント分野にとどまらず、医療や教育、自動車・建設業での研究開発や研修など、さまざまな分野での導入が始まっています。本連載では、6回にわたりこのVRに関する基礎知識を解説します。初回となる今回は、VRの定義について紹介します。

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1. VRを「仮想現実」と訳していませんか?

皆さんは、VR―Virtual Realityを、どのように訳しているでしょうか。ほとんどの人は、「仮想現実」と答えます。仮想とは、国語辞典では「実際にはない事物を、仮にあるものとして考えてみること。仮に想定すること」とあり、大方のイメージとしては、偽物のような感じがすると思います。しかし、実際のVirtualの正しい翻訳は、「事実上の」というものです。もう少し軟らかく、「ほぼ」と訳してもいいでしょう。「事実上の現実」「ほぼ現実」という訳が、Virtual Realityの本来に近い意味合いになります。

VR=ほぼ現実

そして、もう一歩踏み込んで「その人がほぼ現実と認識できれば、何でもVirtual Realityである」と考えて良いのではないでしょうか。今回は、このVRについて、広義での意味と狭義での意味、さらに近年話題となっているヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)について解説します。

2. 広義の意味でのVR

広義の意味でのVRとは、ほぼ現実と思える現実世界を模したものは、全てVRであるという考え方です。そして、現実だと思い込むためには、視覚だけでなく、聴覚、触覚、嗅覚、味覚などのさまざまなアプローチがあります。

例えば、体感型(4D)を利用した映画館は、作品の映像や音声に合わせて座席が上下左右に移動したり、風、水、ミスト、香り、煙などを体感できます。映画をただ座って見る、という枠を超えて臨場感や、空気感などを味わって五感が刺激され、まるでそこにいるかのような感覚になります。

その他、サファリパークなども、そこが「ほぼアフリカ」だと認知できるのであれば、VRアフリカと名乗ってもいいでしょう。ただ、どのようにすれば、ほぼそうだと感じられるでしょうか。そのことは、人間の認知の分野になるので、こうすれば良いという正解は存在しないと思います。複数の人が同じ物を見ても違う感想が出るように、全ての人に「ほぼ現実」だと認知させるのは難しいことです。

3. 狭義の意味でのVR

狭義の意味でのVRとは、ここ数年話題に上るHMDを使ったVRです。VRを使うと、視覚的には「ほぼ現実」と思わせることが容易になります。人間は、視界の7割を映像に占められると、現実と映像の区別がつかなくなるという説があります(諸説あり)。例えば、電車に乗っていて、対面の列車が動いた時、自分の列車が動いているのか、向こうの列車が動いているのか曖昧になる、という生理現象があります。これを、視覚誘導性自己運動感覚といいます。そしてHMDは、ディスプレイと顔面をバンドなどで固定することによって、そのような感覚を簡単に作り出すことができます。

しかし、視覚だけで「ほぼ現実」と思うことは困難です。人間の認知には、他にさまざまな追加要素が必要になってくるからです。例えば、自分の体はどうでしょうか。視界の端に自分の手や足が入っていないと、何か違和感があります。鼻が高い海外の人は、視界の端に鼻が入っていないことに違和感を覚える、ということもあるようです。そのため、最近のVR HMDには、手の動きを取得できるコントローラが基本で付属しています(図1)。HMDとハンドルコントローラ。このセットが、狭義の意味でのVRの基本機材であり、このセットを使って何を作るか、またこのセットに何を足せば作れるかを考えるのが、狭義の意味でのVRの制作論になります。

図1:HMDと、付属するハンドルコントローラ

図1:HMDと、付属するハンドルコントローラ

4. AR、MR、xRとは

ここまで、VRの一般的な意味について解説しました。しかし、ひと口にVRといっても、その特性や位置付けによってARやMR、さらにxRなど、Rが付く呼び方が数多くあります。これらについて、まず各用語の説明をしてから、大筋の流れを解説していきます。

狭義の意味でのVRは、図2のように目の前にモニタを置き、外界を遮断してモニタだけを見せることで成立します。

図2:VRの概念図

図2:VRの概念図

では、ARとは何でしょうか。図3のように、まず外界を透かし見ることのできる透過式のモニタを使用、もしくはカメラで撮影した外界をモニタに投影します。さらに、CGで作成したデジタル映像を、モニタ上に重ね合わせて表示することで、現実をベースにしたVRを作ることができます。この方式を、AR(Augmented Reality)と呼びます。

図3:ARの概念図

図3:ARの概念図

次は、MRについて説明します。これは、提唱者Paul Milgramによると、リアル(R)からAR、VRまでの領域を全て表した概念、つまりMixed Realityということで、通称MRと呼ばれます。具体的には、前述の、外界(現実)を透過できるモニタがあるとして、現実とそれに重ね合わせるCGの量を調整していくと、現実にもVRにもなります。CGの量を減らしていけばARから現実になり、逆にCGの量を増やして現実を完全に無くせばVRになります。このように、RやVR、ARには、はっきりとした境界はなく、グラデーションのように調整できる、という概念を表したのが、MRなのです。

最後に、xRについてです。これは、VRの「R」につながる用語の頭文字として、AやM、V、Sなど、今後さまざまな用語が増えてくることが予測できるため、それらを全部まとめて「xR」と呼ぶことにしたものです。

いかがでしたか? 今回は、VRについての基本的な概念を解説しました。本連載では、主に狭義の意味でのVRをベースに話を進めて行きます。次回は、VRの歴史について解説します。お楽しみに!

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