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排水処理プロセスの選び方:水質汚染対策の基礎知識5

水質汚染対策の基礎知識

更新日:2016年12月21日(初回投稿)
著者:株式会社プリディクション郷事務所 兼 化学工学会SCE・Net 郷 茂夫
編集:Tech Note編集部

前回は、水質法令と公共用水域の水質の現状を説明しました。今回は、排水処理プロセス選択の考え方を説明します。

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1. 排水処理方法の分類と多段工程の必要性

排水、汚水は何らかの方法で汚濁成分を処理して、許容限度以下にしなければ、公共用水域に放出することはできません。その排水処理には、さまざまな方法があります。排水処理は、大きく分けて、物理化学的処理法と生物処理法があります。また、処理の程度に応じて、標準的処理と高度処理と呼ばれる区分があります。高度処理には、明確な定義はありませんが、標準的処理法だけでは、無害化が困難な有害物質を除く技術や高純度の処理水を得る技術を指します。また、同じ系統の技術でも、歴史的に見て高効率で発展型の新たな技術を指す場合もあります。

注意点は、排水処理を1つの方法のみで行うのは、およそ不可能だということです。実際の排水処理は、今後述べる(連載第6回、7回、8回)さまざまな方法のうちから、適する処理法・工程を複数組み合わせて、構成します。典型例をいえば、第1工程(前処理という場合もある)、第2工程、第3工程または高度処理工程、後処理工程という多段のステップを取ることになります。

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2. 工場排水処理プロセスの選択の考え方

工場の排水処理を考えねばならない場面は、多くあり、最優先は、自分たちが出している排水の量、場内排水ルート、成分、濃度などを知ることです。工場で使用している原材料や薬品、化学反応でできる成分(副生物を含む)や量の情報を押さえ、さらに排水サンプルの分析も必要です。

また、汚濁成分がどのような姿をしているのかを認識しておく必要があります。それは目視や分析を含めて、汚濁成分が固体粒子や液体の粒子(油滴など)なのか、水に溶解している成分(ほぼ分子状態)なのかということ、有機物か無機物なのかということです。この違いの認識が、排水処理プロセスの選定で大切です。これらの排水の情報を元にして、さまざまな排水処理方法の選択の考え方を紹介していきます。

排水処理計画の手順

表1は、自社の排水情報を整理したことを前提に、処理計画の原則的な手順と考え方を示したものです。

表1:排水処理計画の原則的手順
処理水質目標の設定法令による排水基準と放流先の利水などを考慮して、排出口での水質目標を決める
排水量の削減
(計画前の入口対応)
汚水処理装置の設置計画に入る前に、水使用の合理化を進める。工場内で排水の量や濃度を極力減らすように努力する
分別処理と個別処理
(重要)
異なる種類の排水を混合して処理することは一般に得策ではなく、分別して処理する。汚濁程度の高い少量の排水は、希釈せず、個別に処理する。すなわち、汚水・排水系続の整理と分別を行う
排水量、質の平均化汚濁物質の濃度や排水量の時間変動が大きい場合には、調整槽を設け、排水量、濃度を均質化する
生産プロセス・設備改良・改善を検討設備を改良して、製品の歩留まりの向上が、排水の汚濁負荷を減少させることがある。製造プロセスの変更(汚濁物質の少ないプロセスを採用)。副産物の回収(排水処理コストも考慮して決定)生物処理試験(メタン発酵、活性汚泥処理)
排水処理プロセスの選定試験と適正処理装置選定の絞り込み処理プロセスの選定を参照。生物処理試験(メタン発酵、活性汚泥処理)、メタン発酵試験装置(有機性排水処理例)
排水系統モニタリング設置処理プロセスが完成したら、排水の濃度を常時監視するシステム、体制も併せて構築する

処理プロセスの選定

図1に、排水のサンプル試験結果と併せて行う処理プロセスの選定の道筋を示します。

図3:処理プロセスの選定の道筋

図1:処理プロセスの選定の道筋

3. 水の再利用の考え方

水のリサイクル利用には、さまざまなケースがあります。一度使用した水の再利用計画に関わる項目を見ていきます。

再利用の内容分類

表2 に水の再利用の分類、内容、実施例を示します。

表2:再利用の分類、内容、実施例
分類定義・内容実施例
カスケード利用ある用途に使用した水を、そのままほかの用途に使用すること機械工場などのコンプレッサの冷却水を酸洗工程の洗浄水として利用する
循環利用ある用途に使用した排水をほとんど無処理で同一用途に再利用する圧縮機・空調機などの間接冷却水を、冷却塔を使用して循環利用する
再生利用局部的再生利用ある工程の排水を原水として、これに適当な処理を施して同一工程の同一用途に再使用する半導体製造工程からの排水は、不純物が少なく、純度がよいため、再利用に適しており、回収利用される
工場単位再生利用工場内の各工程から発生する水を総合して再生処理し、処理水を使用可能な工程に再使用する水不足が顕在化している地域の工場での節水対策
地域的再生利用めっき工場団地、内陸工業団地で見られる各工場の排水を集中処理し、再び各工場に工業用水として供給する例がある
上記3方式の中では、局部的再生利用が最も経済的で、実現容易と考えられます。

排水の再利用のための考え方と処理技術

排水の再生利用の背景には、水の絶対量が不足していること、処理水の利用によって排水処理コスト低減することにあります。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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