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汚水処理技術の種類:水質汚染対策の基礎知識6

水質汚染対策の基礎知識

更新日:2017年1月5日(初回投稿)
著者:株式会社プリディクション郷事務所 兼 化学工学会SCE・Net 郷 茂夫
編集:Tech Note編集部

前回は、排水処理プロセスの選び方を説明しました。今回は、11通りの物理的、化学的処理法について解説します。

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1. 機械的スクリーニング

スクリーニングとは、処理施設の導入部における、金網などによる、すくい取り操作のことです。数ミリ以上の大きなごみや木材片、プラごみ、食料品の端材などを後段の工程に流さないようにするために用いられます。

2. 沈降分離

沈降分離とは、重力を利用して、水中の水より大きい比重の懸濁物質を分離する方法です。対象粒子は1µmより大きい粒子が目途です。

沈降分離の原理

懸濁固体粒子物質の沈降速度は、粒子の密度や水の密度、粒子の直径、水の粘度などを用いるストークスの式で求めることができます。沈殿池の分離効率は、水面積負荷(表面積負荷)で決まります。流入水量が一定ならば、沈降粒子を受け取る表面積(垂直投影面積)を増やし、粒子の沈降距離を短くすることで分離効率が大きくなります。つまり、沈降槽内に多数の傾斜板を挿入することによって、有効分離面積を増やすことができます。以上より、沈降槽の大きさ(幅、長さ、深さ、傾斜板枚数など)を設計できます。

操作法による分類

普通沈殿(自然沈殿)、凝集沈殿(後述)などに分類されます。

沈降分離装置

実績ある装置は、円形沈殿池、円形クラリファイヤー、長方形沈殿池、タテ型上昇流式沈降池などです。特に汚泥の濃縮だけを目的とした沈降装置には、汚泥濃縮槽(シックナー)などがあります。

沈殿池の運転管理の重要事項

・汚泥の分離:沈殿池で底や傾斜版に沈降した汚泥は、できるだけ高濃度で、かつ過度の堆積がないように引き抜いて分離します。分離した汚泥は脱水、乾燥して焼却または埋め立て処分されます。

・重要な運転管理として、傾斜板を適宜洗浄や汚泥の堆積による閉そくなどの防止、偏流が起こらないように蓄積したスカム(水表面にできるスポンジ質の厚い膜状の浮きかす)や藻類などの除去があります。

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3. 浮上分離、加圧浮上分離

浮上分離とは、密度が水よりも軽い粒子や油滴を自然浮上分する方法です。加圧浮上分離とは、水の中に微細な気泡を大量発生させ、気泡の浮力で浮上させることで、水よりもやや重い比重の粒子までも浮遊物質として取り除く方法です。

浮上分離の原理

浮上は沈降の逆現象であり、ストークスの式は沈降、浮上の双方に適用できます。

操作法による分類と得失

水より密度の小さい物質を対象とした自然浮上分離と、水よりも密度が大きい浮遊物質であっても、水との密度差が小さい時に使える、加圧浮上分離方法があります。加圧浮上分離は、加圧下で空気を水に溶解させてから大気圧に解放すると、極めて微細な気泡が発生します。この気泡は液体と固体の不連続界面に発生しやすく、懸濁粒子は気泡が付着し見掛け密度が小さくなり浮上します。利点は、凝集沈殿法が1~2時間の滞留時間を要するのに対し、加圧浮上法では15~30分で済むことです。

浮上分離装置

自然浮上分離の各種オイルセパレータと、上述の加圧浮上分離装置があります。

油水分離装置の運転管理の重要事項

浮上した油分カス(フロス)を分離除去すること、分離板の閉そく防止、加圧水の順調な維持管理などが必要です。

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4. 凝集沈殿分離

凝集沈殿分離とは、普遍的で非常に応用範囲の広い固体粒子の処理法です。凝縮剤により、水中で懸濁している粒子を凝集させて沈殿分離する方法です。

凝集沈殿分離の原理

適切な凝集剤を用いて、 コロイド粒子(0.001~1µmの粒子)の表面電荷のゼータ電位を中和させると、粒子間の引力(ファンデルワールス力)が表面荷電による反発力を上回るようなり、凝集が起こります。物理化学的に粒子を凝集させ、大きな粒子(フロック)を生成させると沈降分離します。なお、0.001μm以下の粒子はほとんど分子状に分散しており、凝集分離の適用は困難といわれています。

凝集剤の種類と特徴

代表的な無機凝集剤に、硫酸アルミニウムがあります。凝集は、粒子の表面荷電の中和と、ゲル状の金属水酸化物への吸着の両方の効果によります。他に、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)などがあります。無機凝集剤によってできるフロックの機械的強度はあまり高くないので、フロックの大きさや沈降速度には限界があります。また、高分子凝集剤としては、水に溶解するもので、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性に分類され、さらに分子量や分岐によって多くの種類があります。無機凝集剤に比べて少ない添加量で凝集効果を発揮します。強固で大きなフロックができるという特徴がありますが、コストは高くなります。

操作条件設定

排水サンプルの事前テストで、凝集剤の選定、添加量、最適pHなどを決めることが重要です。

凝集沈殿装置

古くから使われてきた水平流形と、近年では接触凝集沈殿装置(スラリー循環型、沈降促進剤の併用したフロック形成工程の設置)が普及しています。

凝集沈殿分離装置の運転管理の重要事項

粒子濃度、かくはん条件、適切な汚泥の引き抜き、偏流防止、閉そく防止などです。

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5. 清澄ろ過

清澄ろ過とは、およそ1μmから数100μm域にかけての粒子を対象として、ろ過機に供給されるスラリー原液の浮遊懸濁物の濃度が低いときに、懸濁物粒子をろ材で除去し、清澄液をとりだすことです。重力式分離(沈降法、浮上法)で除去できなかった微量の懸濁物質を、さらに除去して清澄な水を得る場合は、後処理で使用します。逆に、活性炭吸着法、イオン交換法、逆浸透法などの高度処理の前処理(余計な固体汚濁物質の除去)としても多用されます。

清澄ろ過の原理

懸濁物質(固体粒子状)は、ろ材間の空隙に捕捉・抑留されます。一つ目の特徴は、ろ材間の空隙の大きさに比べてはるかに小さい粒子も捕捉されることです。二つ目の特徴は、ろ層内に捕捉できる浮遊物質の総量は、被ろ過水の浮遊物質濃度とは無関係に、ほぼ一定であることです。注意すべきは、水に溶解している成分は基本的にろ過による除去はできませんし、凝集性のないコロイド粒子(1μm以下)はほとんど除去できません。

ろ材

ろ材には、ろ過に大きな影響を与えるファクターがあります。ろ過機で最も重要なファクターは有効径と均等係数で、一般に粒度が不ぞろいなものほど均等係数が大きくなり、ろ材としては好ましくありません。砂ろ材の選択の例では、砂はなるべく均一粒径で、有効径は0.5~0.7 mm以下の砂、均等係数は1.7mm以下が望ましいです。砂のほかにアンスラサイト(無煙炭)、ザクロ石(ガーネット)なども、ろ材として使用されます。

砂ろ過装置

砂ろ過装置には、水位の落差がろ過の駆動力の重力式砂ろ過機、気密な円筒形の鉄製タンクを使い、ポンプの圧力で水をろ過する圧力式砂ろ過機などがあります。型式としては、横形、縦形、下向流、上向流などがあります。通常、水流方向は下向きですが、上向流ろ過は水流を上向きにする方式です。また、多層ろ過の例として、下向流三層ろ過があります。これは、上層に粗粒、下層にいくほど細粒とし、逆洗で層が逆転しないように比重の異なるろ材を使う方法です。

ろ過プロセスの態様

ろ過プロセスにも、さまざまなものがあります。具体的には、緩速ろ過方式、前処理ろ過・緩速ろ過方式、直接ろ過方式(別名マイクロフロック法)、凝集沈殿・急速ろ過方式、凝集沈殿・急速ろ過・活性炭方式などです。原水の量、原水の濁度濃度の高低、凝集剤や薬剤の添加タイミング、凝集分離の前処理の方法、仕上げ水の水質要求などにより、適するプロセスが選ばれます。

ろ過装置の運転管理の重要事項

・ろ材の洗浄:懸濁物質が、ろ材間の隙間に捕捉・抑留され抵抗が増します。ろ過抵抗が設定した値に達するとろ過を止めて、ろ材の洗浄を行います。ろ材の洗浄は、逆流洗浄と表面洗浄が併用されます。

・上向流ろ過ではろ材を絶対に流動化させないように、ろ過速度を調整します。

・ろ材相互が固着し、マッドボールを生成することがあります。対策は、浮遊物質濃度削減の前処理を行うこと、洗浄(表面洗浄または空気洗浄の併用)を十分に行うことです。

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6. 中和、pH 調節操作

pHの調節とは、金属イオンの沈降分離、凝集沈殿での最適pH調整操作、化学反応の促進環境を調整する目的や生物処理の好ましいpH条件調整などで、最適な前処理を行うための必須操作となっています。

中和、pH 調節操作の原理

中和やpH調整が最も端的に現れる現象が、金属イオンの溶解度です。金属イオンの溶解度積に従えば、金属イオンを含む排水にアルカリを加えてpHを上げることにより、水酸化物イオンの溶解度が小さくなるので、金属イオンは水酸化物を作り沈殿してきます。金属イオンの溶解度とpHの関係を図1に示します。例えば、Fe2+はpHを9~10まで上げないと十分に除去されません。しかし、中和時に空気を吹き込んでFe2+をFe3+に酸化させると、pH4付近でほぼ完全に沈殿除去できることが分かります。

図1:金属イオンの溶解度とpHの関係

図1:金属イオンの溶解度とpHの関係(出典:産業環境管理協会、新・公害防止の技術と法規 2014 水質編、2014年、P.43)

また、アルミニウム、亜鉛、スズ、クロム(III)、鉛は両性金属であり、その水酸化物は低pH領域で、一度沈殿するものの、pHが高くなると過剰の水酸化物イオンと反応して、金属錯イオンとなって再溶解する(沈殿しない)ので注意が必要です。図1の右上がりの線が、これを示しています。

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酸化還元対を含む水溶液に白金電極と参照電極を入れると、両電極間に電位差が生じます。この電位差を酸化還元電位(ORP:Oxidation-Reduction Potential:Eで表す)といいます。水素電極を基準に算出される標準酸化還元電位(E0値:単位V、25℃) には序列があり、E0の高い系は、低い系を酸化することができます(E0の低い系は、高い系を還元することができます)。代表的な酸化・還元剤のE0の順位は以下になります。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

8. 塩素による酸化(塩素酸化処理法)

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9. 吸着法

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10. イオン交換法

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11. 膜分離法(膜処理法、膜ろ過法)

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