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防水層とは:防水工事の基礎知識1

防水工事の基礎知識

更新日:2019年3月15日(初回投稿)
著者:東京工業大学 名誉教授 田中 享二

建物の快適性を向上させ、劣化を防いで長期的に利用するために、防水工事は欠かせません。日本は雨が多い国であり、昔から、雨水の排水に有利な勾配屋根が使われてきました。ところが明治になり、西洋文化の影響で平らな屋根の建物が増えました。屋根を平らにすると雨が漏れやすくなるので、これを食い止める防水層という仕組みが必要になりました。この連載では、防水の基礎知識を6回にわたり解説していきます。第1回は、防水の役割と防水の必要性を説明します。

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1. 防水の役割

なぜ、雨が建物に入り込むと、困るのでしょうか。多くの人は、雨水が漏れると、不快で部屋も汚れると答えるでしょう。実際、建物の不具合調査をすると、漏水は常にランキングの上位に入ります。さらにこれは建物本体にとっても困るのです。雨水により建物が劣化するからです。建物の本体(構造体)を構成する建築材料は、短期的には水に強くても、長期間水と接触していると劣化が進行します。例えば、木材は腐り、鋼材はさび、コンクリートは中性化が進み割れ、鉄筋コンクリートは中の鉄筋がさびてしまいます(表1)。

表1:建築材料の劣化現象
材料劣化現象
木材腐る
鉄(鋼材)さびる
コンクリート中性化が進む、凍害により割れる
鉄筋コンクリート中の鉄筋がさびる

このような劣化が進むと、材料が本来持つ強度が次第に低下し、構造的に危険な状況になります。建物の耐久性確保のために、防水の仕組みである防水層が、いかに大事な役割を持っているかが分かるでしょう。

2. 鉄筋コンクリート建物で防水が必要な理由

建築材料の中で、防水層が最も多く相手をしなければならないのはコンクリートです。コンクリートは、簡単にいうと人工的に作った石です。かなり水密的(圧力が加わっても水を通さない性質)で、原理的には防水層を必要としません。しかし、建築物を実際に作ると防水上の弱点がいくつか出てきます。主なものは、ひび割れ、打継ぎ、コールドジョイント、セパレータ周り、ジャンカ(豆板)です。施工現場では、これらをなくすための努力がされていますが、完全に防止するのは困難です。

1:ひび割れ

鉄筋コンクリートの建築物の壁には、ひび割れがよくあります(図1)。これは水の通り道となります。漏水は、ひび割れ幅が大きいほど、水が漏れやすくなります。通称ヘアクラックと呼ばれる微細なものは、それほど心配する必要はありません。透水実験によると、ひび割れの幅が0.2mm程度になると漏水が始まります。

コンクリートのひび割れ

図1:コンクリートのひび割れ

2:打継ぎ

打継ぎとは、コンクリート工事における各階のつながり部分です(図2)。鉄筋コンクリート建物は、一般的に1階ごとに型枠を立て、その中にコンクリートを打込んで作ります。下の階のコンクリートが固まった後で、上の階の新しいコンクリートが打込まれます。打継ぎは、古いコンクリートの上に、新しいコンクリートが乗っています。見かけ上一体に見えていても、防水の面では水の通りやすい部分です。

コンクリートの打継ぎ部からの漏水

図2:コンクリートの打継ぎ部からの漏水

3:コールドジョイント

コールドジョイントとは、時間の間隔を空けてコンクリートを重ねた場合に、前に打込まれたコンクリートと後から打込まれたコンクリートの間にできる継ぎ目です(図3)。打継ぎとの違いは、コンクリートを一気に打込むのではなく、回数を分けて打込むことです。普通の工事では柱や壁の型枠の高さまで半分くらい打込み、バイブレータなどでしっかり締め固めた後に残り半分を打込みます。このため、時間差による継ぎ目ができます。コールドジョイントも、水の通りやすい部分です。

コールドジョイントからの漏水

図3:コールドジョイントからの漏水

4:セパレータ周り

セパレータとは、壁を所定の厚さにするために、型枠の距離を固定するための横棒です(図4)。実務では、これを壁の型枠に40cm~60cm間隔で取り付けて、ねじで壁の厚さを微調整します。ですから、コンクリート壁には、セパレータが埋め込まれています。これは、壁の表側から裏側まで突き抜けているので、水の通りやすい部分となります。

セパレータとその部分からの漏水

図4:セパレータとその部分からの漏水

5:ジャンカ(豆板)

ジャンカ(豆板)とは、締め固め不足やセメントと砂利の分離、型枠下端からのセメントペーストの漏れにより空隙ができている不良部分です(図5)。建設現場では、これが出来ないようにバイブレータなどを使って作業します。ただ、日本は地震国なので、耐震のために使う鉄筋量が多く、型枠の中は鉄筋が交錯しています。そのため、コンクリートが分離し、密実でない部分が残ることがあります。モルタルなどで目立たないように補修しても、水が通りやすくなっています。

コンクリートのジャンカ

図5:コンクリートのジャンカ

3. 建築における防水施工部位

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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