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シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水:防水工事の基礎知識5

防水工事の基礎知識

更新日:2019年5月29日(初回投稿)
著者:東京工業大学 名誉教授 田中 享二

前回は、防水材料と防水層の作り方について説明しました。今回は、シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水について解説します。第2次世界大戦後、合成高分子化学が急速に進歩し、次々と新しい材料が開発されました。それまで、アスファルト防水層しかなかったこの分野に、新しい風を吹き込みました。アスファルト防水層は何層も重ねる必要があったのに対して、新たな化学素材は改良された材料自身の性能により、たった一層で防水層を作り上げることを可能にしたのです。

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1. シート防水層

シート防水層とは、下地の上に工場で作られたシート状材料を施工する防水層です。屋根の上に雨ガッパをかぶせるイメージです。さまざまな高分子材料が候補に挙がった結果、防水層には水遮断以外にも建築部材としての性能も必要とされるため、EPDMゴムシートと塩化ビニル樹脂シートが主力として使われるようになりました。この2つについて説明します。

・EPDMゴムシート

EPDMゴムシートとは、エチレン・ポリプレン・ディエン・モノマー(EPDM)という物質が添加された合成ゴムシートです。ゴムはストレスがかかると、大気中に微量に含まれるオゾンによりひび割れが発生するため、防水上の抵抗性を上げる目的でEPDMが添付されています。屋上には、これをシート状にしたものが使用されています。ゴムは、もともとゴムの木の樹液から作られる天然材料ですが、今では目的に応じて開発され、人工的に作ることができます。そして、弾力性を持ちタフな材料として私たちの生活に深く入り込んでいます。身近なものでは車のタイヤです。厳しい条件の中でもびくともせず、何年も使い続けることができています。

EPDMゴムシートの下地への施工法は、2つあります。1つは接着する方法です(図1)。クロロプレン系の接着剤を使用します。もう1つは、風で飛ばされないように砂利をまいて押さえつける方法です。下地には全く張り付けません。ただ、日本には砂利まき押さえの習慣がないため、この工法は使われていません。

図1:接着工法によるゴムシート防水層の施工

図1:接着工法によるゴムシート防水層の施工

ゴムシート防水の長所は、工場で作られたシートを現場で広げて下地に張り付けるだけなので、施工効率に優れる点です。タフなゴムシートのため、大きなジョイントムーブメントが予想される屋根では有利です。厚さが1.2~1.5mmと薄く軽いので、屋上を利用しない場合の屋根にはうってつけです。短所は、工場で一定の大きさに作られたシートのため、屋根全体を覆うためにはシート同士を接合して、一枚ものの大面積の防水層にする必要があります。この接合部分は防水上の弱点になりやすく、施工には十分注意する必要があります。また屋上に架台や設備機器のある屋根では、シートを形状に合わせて切ったり張ったりしなければならないので、施工に手間がかかります。さらにそこが新たな接合箇所になるため注意点が増えることになります。

・塩化ビニル樹脂シート

塩化ビニル樹脂シートとは、塩化ビニル樹脂を原料としたシートです。塩化ビニル樹脂は厚ものを容易に作ることができる上、デザイン性にも優れており、建築では主に床材として使われています。初期の頃は、室内で使われる床材を、厳しい気象にさらされる屋上に持ち込んだため、不具合もありました。それらの問題を一つずつ克服し、今では安定した防水材料になっています。シート同士の接合方法は、塩化ビニル樹脂が加熱すると溶融する性質を利用して、接合部に熱風をあてて局部的に溶かし接合部を一体化する方法です。もう1つは、溶着材と呼ばれる溶剤でジョイント部を溶かして一体化する方法です。

塩化ビニル樹脂シートの下地への固定方法は、2つあります。1つは接着材を用いての接着です。これはゴムシート防水と同じです。もう1つは、機械的固定工法です。接着材を使わず専用に開発されたファスナーで固定します(図2)。くぎ止めをイメージしてもらえればよいでしょう。ファスナーは、ディスクとビスとで構成されています。これを用いて風で飛ばされないように塩化ビニル樹脂シートと下地とを接合します。ビス以外の部分は下地からフリーになっているため、下地の状態の影響をそれほど受けません。そのため、古い防水層が残っていても、その上から塩化ビニル樹脂シートの施工ができます。そういった利便性から、防水層の改修工事によく用いられます。

図2:機械的固定工法による塩化ビニル樹脂シート防水層の施工

図2:機械的固定工法による塩化ビニル樹脂シート防水層の施工

塩化ビニル樹脂シート防水の長所は、シートが工場で作られるので厚さが均一で施工が早いことです。もともとが床材なので比較的厚手であり、軽微な歩行なら特に保護層を必要とせずそのまま使用できます。またシート同士の接合部の水密一体性も良好です。短所は、シート状材料を現場での下地の形状に合わせて施工するため、切ったり張ったりの作業が必要となり、込み入った形状の建物では容易ではありません。また下地への固定が機械的固定工法による場合は、台風の時にファスナーだけで風に飛ばされないようにしなければならないので、しっかりした耐風設計と施工が必要とされます。

2. ウレタン塗膜防水層

ウレタン塗膜防水層とは、液状材料を現場で化学的に硬化させて防水層とする工法です。他の全ての防水材料は工場で作られる定型の材料であるのに対し、ウレタン塗膜防水層のみが液状です。これには高伸張型と高強度型の2種類あります。

高伸張型ウレタン防水材の場合は、主剤、硬化剤と呼ばれる2種類の材料を混合させた後、コテやスクイジーで下地の上に延べ広げていきます(図3)。高強度型ウレタン防水材の場合は、硬化が早いのでスプレーで直接吹き付けます(図4)。これは強度が高いので、その上の軽微な歩行も可能になります。

図3:スクイジーによるウレタン防水層の施工

図3:スクイジーによるウレタン防水層の施工

図4:スプレーによるウレタン防水層の施工

図4:スプレーによるウレタン防水層の施工

ウレタン塗膜防水層の長所は、何といっても下地の形状になじんだ防水層を作り上げることができる点です。特にスプレー吹き付けでは相当複雑な形状でも容易に施工ができます。短所は、現場で施工を行うため、厚さが不安定になることです。特に薄いところは防水性、耐久性の上で弱点になります。この弱点を補うために補強布をウレタン層に敷きこむこともあります。こうすることによって一定量のウレタンを確実に塗りつけることができ、しっかりとした膜厚の防水層を作ることができます。特にウレタンが流れ落ちやすい立ち上がり部分では不可欠です。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. ステンレスシート防水

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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