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溶接記号の種類と書き方:溶接の基礎知識3

溶接の基礎知識

更新日:2017年12月15日(初回投稿)
著者:兵庫職業能力開発促進センター 寺田 昌之

前回は、溶接継手の種類と強度計算を紹介しました。今回は、溶接記号の種類と書き方を解説します。溶接を用いた製品・構造物の設計図面には、溶接記号が描かれています。溶接記号は、規格化された記号です。溶接記号を見れば、溶接の種類、開先形状と寸法、溶接表面形状と仕上げ方法などの指示、工場溶接または現場溶接の区別などが一目で分かるようになっています。

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1. 溶接記号の基本形

図1に、V型開先の溶接指示例と、開先方向の指示例をまとめました。

図1:V型開先の溶接指示例(左)と開先方向の指示例(右)

図1:V型開先の溶接指示例(左)と開先方向の指示例(右)

溶接記号の基本形は、矢と基線で構成されます(図1左)。矢は、溶接する箇所を指し示します。基線は、原則として水平に描かれ、基線に沿って基本記号や寸法を記入します。必要に応じて尾を描き、特別な指示を記入します。板材の開先方向は、基本記号と基線の位置で区別します(図1右)。矢の指し示す側から溶接する場合は、基線の下側に基本記号を記入します。矢の反対側から溶接する場合は、基線の上側に基本記号を記入します。V形開先形状の寸法であれば、基本記号に開先角度とルート間隔を記入し、開先深さを基本記号の左側に記入します。部分溶込み溶接の場合、開先深さの右隣に溶込み深さを記入し、溶込み深さにかっこを付けます。部分溶込み溶接で開先深さと溶込み深さが同じ場合、溶込み深さの記入は省略し、開先深さにかっこを付けて指示します。

2枚の板材の片側だけに開先を取るレ形、K形、J形、両面J形などは、基線は開先を取る板側に描きます。また、矢は開先を取る板側に向くように折れ線で描きます。

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2. 代表的な基本記号

図2に代表的な溶接の基本記号を、図3に溶接部の表面形状を表す溶接補助記号を示します。基本記号は2つの部材の合わせ目の形状を表しています。

I型開先 V型開先 レ型開先 J型開先 U型開先 すみ肉溶接
I型開先 V型開先 レ型開先 J型開先 U型開先 すみ肉溶接
I型開先 V型開先 V型開先 J型開先 U型開先 すみ肉溶接
図2:代表的な溶接の基本記号(点線は基線を示す)
  へこみ 平ら 止端仕上げ
溶接
補助記号
へこみ 凸 平ら 止端仕上げ
すみ肉
溶接
へこみ 凸 平ら 止端仕上げ
突合せ
溶接
へこみ 凸 平ら 止端仕上げ
図3:代表的な溶接補助記号(点線は基線を示す)

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3. すみ肉溶接の溶接記号

図4に、T継手のすみ肉溶接の記入例を示します。この場合、矢の側は脚長9mm、矢の反対側は脚長7mmで溶接します。

図4:すみ肉溶接の記入方法

図4:すみ肉溶接の記入方法

すみ肉溶接は、連続すみ肉溶接と断続すみ肉溶接に大別できます。図4のような指示であれば、連続して溶接します。一方、断続的に溶接する場合は、基本記号の右側に溶接長さとピッチ、必要であれば溶接個数を記入します。断続すみ肉溶接には並列と千鳥の2種類があり、基本記号の書き方で区別します。図5に並列断続すみ肉溶接と千鳥断続すみ肉溶接の記入方法と溶接後の状態を示しました。基線の下側の数値が同じ場合は、原則として省略できます。

図5:並列断続すみ肉溶接(上)と千鳥断続すみ肉溶接(下)の記入方法

図5:並列断続すみ肉溶接(上)と千鳥断続すみ肉溶接(下)の記入方法(青部が溶接箇所)

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4. 現場溶接、全周溶接、非破壊検査の記入方法

現場溶接とは、溶接作業を現場で行うことです。また、全周溶接とは組み合わせたパーツの接合部の周り全てを溶接することです(図6上)。非破壊検査は、溶接した製品を破壊することなく、内部の状態や傷の有無を検査し、製品の信頼性を確認します。非破壊検査方法の記号は、矢印を延ばし、基線を2段にして記入します(図6下)。検査方法にはさまざまな種類があり、各検査方法の略号を基線上に記します。

図6:全周溶接・現場溶接(上)と非破壊検査方法(下)の記入方法

図6:全周溶接・現場溶接(上)と非破壊検査方法(下)の記入方法

いかがでしたか? 今回は、溶接記号の種類と書き方について解説しました。次回は、マグ溶接法の中の炭酸ガスアーク溶接法を取り上げます。お楽しみに!

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