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TIG溶接とステンレス鋼の溶接:溶接の基礎知識5

溶接の基礎知識

更新日:2018年1月12日(初回投稿)
著者:兵庫職業能力開発促進センター 寺田 昌之

前回は、マグ溶接について紹介しました。今回は、TIG溶接とステンレス鋼の溶接を解説します。

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1. TIG溶接の原理

TIG(Tungsten Inert Gas)溶接は、高い融点(約3,400℃)を持つタングステンを電極に用いる溶接法です。電極の先端からアークを発生し、材料(母材)を溶かします。また、母材の溶融池が空気と反応することを防ぐシールドガスとして、アルゴンガス Arやヘリウムガス Heなどの不活性ガス(Inert Gas)を使用します。必要に応じて、溶融池の横から溶加棒を加え、溶接を行います(図1)。

図1:TIG溶接の原理

図1:TIG溶接の原理

TIG溶接のメリット、デメリットをまとめました。

TIG溶接のメリット

  • 電極が溶けないため、母材そのものの溶融状態を観察しやすい
  • 薄板溶接、裏波溶接(表面から溶接して裏側にビードを作る溶接法)、全姿勢溶接が行いやすい
  • スラグ清掃やスパッタ除去の必要がなく、安定した品質の溶接金属が得られる
  • 炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼などの鉄系金属や、ニッケル合金、銅合金、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金などの非鉄系金属の溶接も可能

TIG溶接のデメリット

  • 溶接速度が遅い
  • アルゴンガスArやヘリウムガス Heなど高価なシールドガスが必要

2. TIG溶接機の構成

図2に、TIG溶接機の構成を示します。ここでは、ガス流量調整器、溶接トーチ、タングステン電極について解説します。

図2:TIG溶接機の構成

図2:TIG溶接機の構成

・ガス流量調整器

ガス流量調整器は、地面に対して垂直に取り付け、流量計でガス流量を測定します。溶接に適したガス流量は、溶接電流とノズル径によって決まります。

・溶接トーチ

図3に、TIG溶接トーチの構成を示します。電極径に合わせて、コレットとコレットボディを準備します。

図3:TIG溶接トーチの構成

図3:TIG溶接トーチの構成

・タングステン電極の種類

表1に、タングステン電極の規格(JIS Z 3233-2001イナートガスアーク溶接並びにプラズマ切断及び溶接用タングステン電極 表1を基に著者作成)を示します。酸化物を含んだタングステン電極は、酸化物が陰極点(電子の放出部)になり安定したアークを発生します。一方、酸化物を含まない純タングステン電極は、先端の温度が上昇してからアークが発生するため、アークの始動性が悪く、先端部が溶融しアークが不安定になります。トリエーテッド(トリア入り)タングステン電極(トリア:ThO2を含むタングステン電極)のトリウムThは放射性物質であるため、グラインダ加工などで先端を研磨するときは、防じんマスクなどを着用して慎重に行う必要があります。

表1:タングステン電極の種類と識別色(JIS Z 3233-2001イナートガスアーク溶接並びにプラズマ切断及び溶接用タングステン電極 表1を基に著者作成)
種類 記号 識別色
純タングステン YWP
1%トリア-タングステン YWTh-1
2%トリア-タングステン YWTh-2
1%酸化ランタン-タングステン YWLa-1
2%酸化ランタン-タングステン YWLa-2 黄緑
1%酸化セリウム-タングステン YWCe-1 桃色
2%酸化セリウム-タングステン YWCe-2 灰色

タングステン電極の先端形状は、使用電流によって異なります(図4)。同じ溶接電流でも、先端形状を鋭くとがらせた方が、溶込みは浅くなります。そのため、薄板を溶接する場合は、先端をとがらせるか、電極径を細くします。

図4:タングステン電極の先端形状

図4:タングステン電極の先端形状

3. ステンレス鋼の溶接

TIG溶接と相性のいい材料として、ステンレス鋼(Stainless Steel)が挙げられます。ここでは、ステンレス鋼の特徴と溶接時の注意点を解説します。

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