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通信ネットワーク:短距離無線通信(Wi-Fi)の基礎知識1

短距離無線通信(Wi-Fi)の基礎知識

更新日:2020年12月1日(初回投稿)
著者:若井テクノロジオフィス代表 第一工業大学 元教授 若井 一顕

有線LANを無線化すると、パソコンや周辺機器などをケーブルなしで接続できます。無線LANが商品化された当初は、異なるメーカーの製品間での相互接続ができず、無線LANの一般普及のために規格の統一が必要とされました。この問題を解決するために設立されたのがWi-Fiアライアンスという組織です。Wi-Fiアライアンスが接続保証した無線LAN製品には、Wi-Fiロゴの使用が認められます。本連載では6回にわたり、短距離無線通信(Wi-Fi)について解説します。第1回の今回は、ネットワークの全体像を紹介します。

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1. ネットワークとは

ネットワーク(通信網)は、通信回線を広く張り巡らしたもので、これにより、データなどの伝送が可能になります。送り側と受け側では、伝送の手順を定める必要があります。これをプロトコル(Protocol)といいます。図1に、通信ネットワークの全体的な構成の一例を示します。

図1:通信ネットワークの一例

図1:通信ネットワークの一例

以下に、通信サービスの種類を紹介します。

・回線交換サービス
電話など、相手を呼び出して通信を行う通信サービスです。距離と接続時間によって課金されます。

・パケット交換サービス
交換機に蓄積されたデータをパケット(Packet)という小さな単位で区切り、短い宛先を付けることでデータを送受信する通信サービスです。データ通信を連続的、間欠的に行えます。料金は距離とパケット量で決まります。

・専用線サービス
特定の区間に専用の通信回線を設けてデータ通信を行う通信サービスです。料金は定額制です。

・IP電話
IP電話(IP Telephony)は、IPネットワーク上で音声をやり取りする通信サービスです。音声をデジタルデータに変換し、パケット化して転送するVoIP(Voice over IP)という方式を使います。電話交換機が不要で、一般電話よりも料金が安いのが特長です。

・ADSL
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は、銅線を用いたアナログ回線を使用する通信サービスです。音声信号を伝送しない、高い帯域の周波数を用います。一般の電話網を使用するため、簡便なのが特長です。

・FTTH
FTTH(Fiber to the Home)は、光ファイバーケーブルを用いた通信サービスです。高速伝送が可能で、電磁的な雑音に対する耐性が強いのが特長です。

2. LANとは

ネットワークに関連して、LANやWANといった用語をよく目にします。LAN(Local Area Network)は、構内通信網ともいいます。工場や会社、学校など、比較的狭い領域内で、多数のコンピュータを回線で接続して通信を行うことを目的とします。LANには、有線LANと無線LANがあります。WAN(Wide Area Network)は、広域通信網ともいいます。複数のLANを結びつけるなど、広い地域で通信を行うネットワークです。後述するインターネットもWANの一つです。ここではLANの概要を説明します。

ネットワークの接続形態を、トポロジ(Topology)といいます(図2)。トポロジの主な方式と、それぞれの特徴を示します。バス型は、接続する端末の追加や削除が容易で拡張性が高いことが特長です。リング型は、伝送路が短く制御が容易です。また、スター型は、集中管理ができ回線障害が他に影響しません。

図2:LANのトポロジ

図2:LANのトポロジ

最近では、Wi-Fiなどの無線システムが、身近なメディアとして活用されています。しかし、LANに用いられる伝送媒体には、無線システム以外にもさまざまな種類があります。ケーブル、無線、電灯線、無線LANについて説明します。

・ケーブル
LANで使用されるケーブルには、以下の3種類があります。

1:ツイストペアケーブル(より対線)
電話線として利用されています。低速で、小規模LAN向きです。より対線のピッチなどで、伝送する周波数帯域や雑音の耐性が変化することもあります。

2:同軸ケーブル
中低速で、雑音に強く、低減衰特性を有しています。

3:光ファイバーケーブル
高速で、対雑音特性、広帯域、非電磁性(電磁誘導妨害に強い)に優れ、軽量です。

以下に、10 BASE-Tを例に、伝送速度と伝送媒体を組み合わせた規格名称のルールを紹介します。10  BASE-Tとは、10Mbpsでやり取りできるLANケーブルの接続口の規格を示します。

・無線
電波を利用します。室内での拡張性が容易です。

・電灯線
電力線に信号を伝送する方式です。PLC(Power Line Communication)方式などがあります。使用する周波数域によっては、既設の放送・通信に対する電波妨害が生じる場合があります。

・無線LAN
ケーブルに代わって電波を利用します。従来は、IEEE802.11bという規格が一般的でした。しかし近年では、最大通信速度と周波数帯が異なります。詳細は、次回以降で解説します。

3. インターネットとは

インターネットは、1960年代に、アメリカ国防省の高等研究計画局(ARPA:Advanced Research Project Agency)で研究が開始されたARPAnetから発展したものです。ARPAnetは、中枢となる特定のコンピュータを持たない分散型ネットワークです。このようなネットワーク構築の思想の背景には、核攻撃を想定した場合に中枢となるサーバが攻撃を受けても、破損した箇所を迂回(うかい)して必要な情報伝達機能を維持させる狙いがあったようです。インターネットは分散処理思想に基づいた自律分散システムで、全体の管理者という概念は存在しません。以下に、インターネットの開発、および歴史的背景を示します(表1)。

表1:インターネットの歴史的背景

表1:インターネットの歴史的背景

インターネットのサービスを利用したものには、電子メール、Web、イントラネットなどがあります。

・電子メール
電子メールは、宛先を指定してメッセージを交換するサービスです(図3)。電子メールのアドレスには、(ユーザー名)@ドメイン名を指定します。メールを送信すると相手のメールサーバまでは、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)と呼ばれるプロトコルで転送されます。受信されたメールは、サーバからPOP(Post Office Protocol Version3)というプロトコルに従って閲覧することができます。

図3:電子メールの仕組み

図3:電子メールの仕組み

・Web
Webは、WWW(World Wide Web)のことです。インターネットで公開されたウェブサイトを閲覧するときは、ウェブサイトの住所に相当するURL(Uniform Resource Locator)を指定する必要があります。

・イントラネット
インターネットは、ネットワーク同士を相互に接続しグローバルなネットワークであるのに対し、イントラネットは、企業などの組織内でのみ構築されたネットワークです。A社のイントラネットは、会社に所属するネットワークに接続することができます。外部に出ていくとき、外部との接続にはファイアウォールなどを経由してインターネットの世界に入ります。インターネットを介して、多くの企業がそれぞれのイントラネットを持ちながら情報のやり取りを行います(図4)。

図4:イントラネットとインターネット

図4:イントラネットとインターネット

イントラネットは、社内でPCを用いた情報共有ができる、情報伝達を正確に行える、予定表などを共有できるなどの社内の業務を効率化するために用いられます。

いかがでしたか? 今回は、ネットワークの全体像を俯瞰して紹介しました。次回は、無線通信の仕組みを詳しく解説します。お楽しみに!

 

参考文献
安藤明之、最新情報処理概論、実教出版、2011年
日本技術士会、技術士制度における総合技術管理部門の技術体系、2004年

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