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木材の種類と用途:木材の基礎知識1

更新日:2018年6月15日(初回投稿)
著者:林材ジャーナリスト 赤堀 楠雄

木材は私たちの暮らしの中で、住宅や家具、日用品、楽器、玩具などさまざまな用途に使われる、とても身近な素材です。日本の森林には、個性豊かなたくさんの樹種が生育しています。この連載では、樹木を素材として捉え、木材の特徴や材料特性、加工方法や使い方、流通事情などを見ていきます。連載第1回となる今回は、木材の種類や用途、さらに日本国内の需給動向について解説します。

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1. 木材の種類~針葉樹と広葉樹~

樹木には針葉樹と広葉樹があり、それぞれにさまざまな樹種があります。表1は、日本に生育する代表的な針葉樹と広葉樹をまとめたものです。

表1:国内の主要な樹種
針葉樹広葉樹 
スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、サワラ、ネズコ、アスナロ、ヒバ、モミ、ツガ、コウヤマキ、ヒメコマツケヤキ、ミズナラ、コナラ、ブナ、サクラ、ホオ、クス、イタヤカエデ、ハリギリ、セン、ミズメ、マカバ、カツラ、クリ、トチ、タモ、キリ、ニレ、シナ、アサダ、シュリザクラ、シオジ、カシ

地球上で最初に姿を現した樹木はソテツ、イチョウ、マツ、スギなどの針葉樹(裸子植物)で、約3億年も前のことだといわれています。広葉樹(被子植物)が生まれたのは、それから1億5,000~2億年ほど後と推測され、針葉樹が進化したものと考えられています。細胞組織の特徴としては、針葉樹は仮道管と呼ばれる組織が木部の多くを占め、これが水を運ぶ役割と木の自立を支える役割を兼ねています。一方、広葉樹では道管が水を運び、木繊維が木を支えるというように、組織の分業体制が確立されています。

見た目の違いとしては、針葉樹の葉はとがった針のような形をしているのに対し、広葉樹の葉は平たくて幅が広いものが主流です。樹形も、針葉樹は幹が通直であまり枝分かれせず、直線的に上に伸びるのに対し、広葉樹は幹の比較的低いところから枝を広げた、横広形のものが多いという特徴があります(図1)。ただし、街路樹などでよく見かけるイチョウは、広葉樹のような葉をしていますが、針葉樹に分類されます。

図1:左から針葉樹(スギ)の葉、針葉樹(スギ)の樹形、広葉樹(ブナ)の樹形

図1:左から針葉樹(スギ)の葉、針葉樹(スギ)の樹形、広葉樹(ブナ)の樹形

材質については、英語で針葉樹をSoftwood、広葉樹をHardwoodと呼ぶように、針葉樹は柔らかく、広葉樹は堅い傾向があります。しかし、これにも例外があり、針葉樹でもマツ類は比較的堅い材質ですし、世界で最も軽く柔らかい木として知られ、浮きなどにも使用されるバルサ(南米原産)は、広葉樹です。

2. 木材の用途と使い方

木材は、私たちの暮らしのさまざまな場面で使われています。住宅の構造材や内装材、テーブルや椅子などの家具、箸やお椀などの日用品、金づちやスコップの柄などの道具類、バイオリンやピアノなどの楽器、野球のバットやビリヤードのキューといったスポーツ用具や遊具、積み木などの玩具など、数え上げれば切りがありません(図2)。さらに書物や包装に使われる紙も、木材の用途の一つです。

図2:木材の幅広い用途例

図2:木材の幅広い用途例

土木や物流分野でも、木材は多用されています。土木分野では、地盤を安定させるために地面に打ち込む杭(図3)や、土留め用の板(矢板)が代表格です。物流分野では、資材や機器を載せて運ぶ際に使われるパレット、荷物を包む紙製の梱包材や各種の木箱類、輸送時に物品の下に敷く角材(ダンネージ)、電線やワイヤを巻き付けて運ぶドラムなど、さまざまな用途で木材が使われています。

図3:丸太の形状を生かした杭

図3:丸太の形状を生かした杭

木材は、使用目的に合う特性を備えた樹種や材料が選ばれます。例えば建築材料の場合、構造材には、通直で真っすぐに加工しやすい針葉樹が使われるケースが多く、床材には堅くて傷が付きづらい広葉樹がよく使われます。土木や物流分野では、建築物や家具のような寸法精度は求められないので、多少曲がっていたり、丸太の丸みが残っている材料も使われます。実際に使う際には、ログハウスの部材や杭のように、丸太に近い形で使う場合もありますが、多くは製材品や合板、集成材などに加工された上で使われます。加工木材の特徴については、本連載で今後、詳しく取り上げていきます。

3. 木材の需給推移

国内の木材需給の状況と、これまでの推移を確認しましょう(図4)。

図4:日本国内における木材需給と自給率の推移

図4:日本国内における木材需給と自給率の推移(需給量は丸太換算。参考:農林水産省、木材需給報告書

・現在の木材需給

木材全体の年間需要量は、2010年からは緩やかな景気回復に伴い上昇基調となり、2016年には7,800万m3台まで回復しています。部門別の需要(図5)では、主に紙の原料となるパルプ・チップ用材が3,162万m3(40.5%)で最大です。以下、製材用材が2,615万m3(33.5%)、合板用材が1,025万m3(13.1%)、燃料材が581万m3(7.4%)、その他用材が3,925万m3(5.0%)と続いています。

図5:2016年 木材部門別の需要割合

図5:2016年 木材部門別の需要割合(参考:農林水産省、木材需給報告書

供給部門別では国産材が2,714万m3、外材が5,094万m3で、木材自給率は34.8%です。自給率は、2002年には過去最低の18.8%にまで落ち込みましたが、国内の森林資源が成熟して供給力が増していることや、外材産地国が丸太輸出を制限していることなどから、2005年頃から回復傾向となり、2011年から6年連続で上昇しています。

2016年の国産材の樹種別生産量(製材、合板、チップ用の工場入荷量。燃料材、しいたけ原木、輸出は除く)は、スギが1,185万m3で最大、以下、ヒノキが246万m3、カラマツが231万m3、広葉樹が219万m3、エゾマツ・トドマツが101万m3、アカマツ・クロマツが68万m3、その他が15万m3となっています。

・過去の木材需給

1970年代の高度経済成長期以降の木材需給動向をたどってみましょう。全体の需要量は、高度経済成長期と1980年代後半のバブル期から1990年代末までは、1億m3を上回る高水準で推移しますが、その後は景気低迷で減少傾向となり、リーマン・ショック翌年の2009年には、6,400万m3台にまで落ち込みました。現在は、前述したように7,000万m3台後半で推移しています。

供給面では、1970年代には経済成長で急増する需要に国内供給が追い付かず、外材輸入が本格化しました。その後、1985年のプラザ合意を契機とした円高で輸入コストが低下、外材のシェアはさらに拡大。自給率は20%前後と低迷しました。2005年ごろからは国産材のシェアが回復傾向となって、現在に至ります。

外材の動向を産地別に見ていきましょう。1970~1980年代は、東南アジアや北米、当時のソ連が主要供給地でした。しかし1990年代には環境問題への関心の高まりを受け、東南アジア産の丸太輸入が激減。その一方で、ヨーロッパ産の製材品や集成材の輸入が増加し、日本国内の市場を席巻するようになり、その状況は現在も続いています。大きな流れとしては、かつては丸太輸入が主流でしたが、各産地が国内工業化を進めたことなどから、現在は製材品や集成材、合板などの製品輸入が主流となっています。

いかがでしたか? 今回は、木材の種類や材質、国内の木材需給動向をまとめました。次回は、木材の加工特性と環境適合性について解説します。お楽しみに!

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