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作業工具の種類:作業工具の基礎知識1

作業工具の基礎知識

更新日:2019年2月21日(初回投稿)
著者:芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 准教授 澤 武一

作業工具とは、製作現場で作業の際に使用され、作業を助けるための工具の総称です。代表的なものには、ドライバやペンチ、ニッパ、ハンマなどがあります。作業工具は誰でも簡単に使うことができる反面、ねじ穴が潰れたり、ボルトやナットの頭が変形したりとトラブルも多く発生します。これは、作業工具の原理や使い方が、正しく理解されていないからかもしれません。本連載では、全6回にわたり、代表的な作業工具の使い方を説明します。初回となる今回は、作業工具の種類について概説します。

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1. ドライバ

ドライバは締緩(ていかん)作業に使用する工具で、JIS(日本工業規格)では、JIS B 4609 ねじ回し-すり割り付きねじ用、JIS B 4633 十字ねじ回しで規定されており、ねじ回しという古典的な名称で登録されています。ドライバの種類は先端の形状で分けられ、よく使用するのは先端がマイナス形状のマイナスドライバ、プラス形状のプラスドライバ、星形のトルクスレンチの3種類です(図1)。

図1:マイナスドライバ、プラスドライバ、トルクスレンチ

図1:マイナスドライバ(引用:JIS B 4609 ねじ回し-すり割り付きねじ用、1996年、P.2)、プラスドライバ(引用:JIS B 4633 十字ねじ回し、1996年、P.2)、トルクスレンチ(引用:澤武一、わかる!使える!作業工具・取付具入門、日刊工業新聞社、2018年)

昔のねじの頭は、すり割り(マイナス形状)が主流であったため、マイナスドライバが多用されていました。その後、すり割りよりも拘束力が強く、作業性が高い十字穴が考案され、プラスドライバが発売されました。戦後、家電や自動車など生産量が伸びる中、十字穴がすり割りに代わって主流になりました。トルクスレンチは、ヨーロッパで多用されており、トルクスという名称はヘックスローブと呼ばれることもあります。ヘックスローブは6つの丸みのある突起物という意味です。

2. スパナ、レンチ

スパナとレンチは締緩作業に使用し、ナットやボルトを回すための作業工具です(図2)。

図2:スパナ

図2:スパナ(引用:JIS B 4630 スパナ、1996年、P.2~3)

レンチ(Wrench)はアメリカ英語、スパナ(Spanner)はイギリス英語で、どちらもねじる、ひねる、回すという意味です。つまり、レンチとスパナは同じです。日本では、先端が開いた形状をスパナといい、先端が閉じた形状をレンチということが多いです。一方、先端が開いた形状でも口幅が調整できるものをモンキレンチ、六角棒スパナは六角レンチということもあります。

ソケットレンチは、持ち手の役割をする柄(ハンドル)とボルトやナットにはめ込むソケットを組み合わせて使用する作業工具です(図3)。ソケットレンチは、用途や目的に合ったソケットを選択し取り付けることで、1本の持ち手を多種類の工具として使用できる(多くの作業ができる)ため便利です。

図3:ソケットレンチセット

図3:ソケットレンチセット

3. ペンチ

ペンチは、材料をつかむ、はさむ、曲げる、ねじる、引っ張るなど多様な用途で使用できる多機能工具です(図4)。ペンチは、てこを利用した作業工具なので、原理(モーメント)を理解して使用することで、力を入れなくてもさまざまな作業を行うことができます。

図4:ペンチ、ラジオペンチ、丸ペンチ

図4:ペンチ(引用:JIS B 4623 ペンチ、1998年、P.2)、ラジオペンチ(引用:JIS B 4631 ラジオペンチ、1996年、P.2)、丸ペンチ(引用:JIS B 4624 丸ペンチ、1998年、P.2)

ラジオペンチは、くわえ部が先端に向かうほど細くなっており、ペンチよりも狭い箇所や細かい作業に適しています。ラジオペンチの名前の由来は、ラジオの分解や組立で使用するペンチです。丸ペンチは、配線作業や鉄線や銅線を曲げるときに使用する作業工具です。丸ペンチの用途はラジオペンチとほぼ同じで、丸ペンチには材料を切断する刃部がありません。

4. ニッパ

ニッパは、材料(鉄線や銅線など)を切断する際に使用する作業工具です(図5)。

図5:ニッパ

図5:ニッパ(引用:JIS B 4625 斜めニッパ、1995年、P.2)

ペンチは多機能工具であり、ニッパは切断だけを行う専用工具です。市販されているものには標準ニッパ、強力ニッパ、斜めニッパ、小型ニッパ、プラスチックニッパなどさまざまな名称のものが市販されています。JISでは、JIS B 4625 斜めニッパとJIS B 4635 強力ニッパのみ規定しています。その他のニッパはJISには規定されておらず、用途別にメーカーが販売しています。ニッパは刃の形状や角度によって、切断能力および切断面が異なります。

5. コンビネーションプライヤ

コンビネーションプライヤは、プライヤと呼ばれ、材料をつかむ、回す、切断するなどの作業に使用できる多機能工具です(図6)。

図6:コンビネーションプライヤ、ウォータポンププライヤ

図6:コンビネーションプライヤ(引用:JIS B 4614 コンビネーションプライヤ、1995年、P.1)、ウォータポンププライヤ(引用:澤武一、わかる!使える!作業工具・取付具入門、日刊工業新聞社、2018年)

コンビネーションプライヤの主要な機能は、つかむことです。プライヤの最大の特徴は、ジョイント部(支点)をずらし、つかむモノの大きさに合わせて口の開きを変えられることです。コンビネーションプライヤの一種で、くわえ部が30°曲がったものを、ウォータポンププライヤといいます。ウォータポンププライヤはジョイント部(支点)の移動を大きく、開口幅を広くできることが特徴です。このため、太いパイプをつかむことができ、水道や配管関連の作業に多用されます。

いかがでしたか? 今回は、作業工具の種類を説明しました。次回は、ドライバの種類について詳しく解説します。お楽しみに!

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