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準備と備蓄は裏切らない:職場の感染症対策の基礎知識6

職場の感染症対策の基礎知識

更新日:2021年3月24日(初回投稿)
著者:ミネルヴァベリタス株式会社 顧問 信州大学 特任教授 本田 茂樹

前回オフィスや製造現場、さらに小売業、飲食業など、さまざまな職場で必要とされる具体的な感染症対策を説明しました。今回は、最終回です。長引く感染症対策に備えた準備や備蓄に関して解説します。新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中、実際に企業ができることは、感染防止対策の徹底などに限られています。その中で、新しい働き方として導入されているテレワークやウェブ会議は、人との接触を減らすという観点から非常に有効です。しかし、重要なポイントは、平常時にどれだけ準備できるかにかかっています。また、マスクなど個人防護具の備蓄も、先延ばしにせず対応することが求められます。

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1. 流行が始まってからできることは少ない~感染防止対策の徹底が基本

新型コロナウイルス感染症をはじめ、未知の感染症がいつ、どこで発生するかを予測することは困難であり、また、その発生そのものを止めることは不可能です。そして、世界のどこかで新たな感染症が発生すれば、それは発生した地域にとどまるものではなく、日本への侵入も避けることはできません。実際、新型コロナウイルス感染症の流行は、日本でも今なお続いています。

この感染リスクが低くなり、治療法が確立し、そしてワクチンが国民に行き渡るまでの間、つまり企業関係者の安全・安心が確保できるまでの間、私たちにできることは前回で説明した職場での感染防止対策ということになります。また企業には、国や地方自治体が流行抑制対策として行う外出自粛要請や、テレワークの推奨などの施策に協力することが求められます。

2. 感染症対策のポイントは平常時~対策の準備には時間がかかる

新型コロナウイルス感染症の主な感染経路とされているのは、飛沫感染と接触感染です。つまり、感染症対策では人と人との接触を極力減らすことが重要です。しかし、企業の現場、つまり職場において、それは業務を止めてしまうことに他なりません。そこで、実際に人と会うことを回避しつつ通常業務を行うために、ネットワークを介した業務スタイルであるテレワークやウェブ会議などが活用されるようになりました。しかし、これらの働き方は、感染症の流行が始まってすぐに実践できるものではありません。以下に、テレワークやウェブ会議の課題点を説明します。

1:テレワーク実践への課題点

現在、多くの企業がテレワークを取り入れるようになっています。その一方で、さまざまな事情から導入できていない企業もあります。実際、東京都の報道発表資料、「テレワーク導入率調査結果をお知らせします!(第1665報)」(東京都新型コロナウイルス感染症対策本部、2021年2月19日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/02/19/29.htmlによると、2021年2月時点での都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は、64.8%となっています。また、従業員規模別で見ると、企業規模が大きいほど導入率も高く、従業員300人以上で89.0%だった一方、30人~99人の企業では54.4%でした。

・ハード面とソフト面の準備
中小規模の企業でテレワーク導入が難しいとされる理由の1つは、ハード面とソフト面の準備です。ハード面は、パソコンなどの機器類を購入することが必要であり、また、従業員の自宅でのネットワーク環境やセキュリティ環境を整備することが求められます(図1)。あわせてソフト面では、自宅で仕事をする場合、就業規則に自宅を就業場所として記載すること、また労働時間の管理方法などのルールを定めることも必要となります。

図1:テレワーク用のPC機器類(例)

図1:テレワーク用のPC機器類(例)

・テレワークに不向きな業務がある
また、製造業や小売業など業務内容によっては、テレワークを行うことが現実的ではない分野もあります。1つの企業の中でも、テレワークに置き換えることができる業務とできない業務があるため、まず業務内容の洗い出しからスタートする必要があり、導入までには時間がかかります。

2:ウェブ会議実践への課題点

人との接触回避による感染防止対策として、ウェブ会議も多く取り入れられています。リアルな対面会議ではないため、移動時間の感染リスクがなく、また会議場面における感染リスクもありません。ただ、テレワークと同様にハード面とソフト面の準備と時間が必要です。また、現状では多くのウェブ会議システムが出回っており、社外との打ち合わせにおいては、相手次第でそれらを使い分ける必要もあるため、複数のシステムを準備しておくといったことも必要です。

このように、感染防止対策として取り入れる新しい働き方や仕組みは、導入すると決めても、すぐに使えることにはなりません。このため、平常時にどれだけ準備を進めておくかが重要なポイントとなります。

3. 備蓄は「今」やる~誰しも考えることは同じ

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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