メニュー

自動運転のHMI、コンチネンタルはどのように考えているのか?

self-driving

自動運転が、自動車業界の話題の中心になってから久しくなります。これまで自動運転というと、自動運転に必要な機械システムそのものや、地図情報に注目が集まる傾向がありました。しかし、自動運転では、クルマとドライバーを、どのように結びつけるのかというのも、重要な課題です。

欧州自動車部品メーカーのコンチネンタルは、この課題についてどのように考えているのでしょうか。LIGAREビジネスセミナーでのコンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン 円満字 大輔氏の講演内容をもとに、自動運転が登場したときに必要になる、クルマの内装や、ヒトとクルマをつなぐHMI(※1)を解説します。(自動車ビジネス専門誌LIGAREより、Tech Note向けに再編集)

※1 HMI: Human machine interfaceの略。ヒトと機械が情報をやり取りするための装置やソフトウェアなどの総称です。ヒトから機械に情報を与える手段としてスイッチやキーボード、マウス、ハンドル、リモコンなどがあります。機械からヒトに情報を与える手段として液晶画面、メーター、ブザー、ランプなどがあります。

1. Out of the loopの危険性低減のために

自動運転には、レベル1からレベル4までの、4段階の自動化レベルが存在します。レベル3では、全て自動でクルマを動かすことはできず、ヒトがクルマをモニタリングしたり、あるいは自動運転とヒトによる運転を切り替えながらクルマを動かさなければなりません。ちなみに、この次のステップであるレベル4が、完全自動運転(加速・操舵・制御にドライバーが全く関与しない状態)になります。

このように、自動運転とはいえ、レベル3までの段階では、ヒトとクルマの間で、命令・情報のループがあります。コンチネンタルは、そのループを外れてしまう危険な状態を「Out of the loop」と呼んでいます。その危険性を低減するためには、車内の運転者に情報を伝える必要があります。

自動運転では、クルマからいろいろな情報を受け取ることができます。ただし、それを全て表示するわけにはいきません。なぜなら、作業負荷がかかりすぎるからです。人が何から何まで確認するというわけにはいきません。しかし、逆に情報を減らしすぎると、負荷が減ってしまい、運転者が寝てしまう可能性もあります。また、年齢など個人の特性に合わせて、表示する情報も変えなければなりません。そのためにもHMIは重要な要素となってきます。 

2. 包括的HMIの必要性

HMIでは、ユーザーの特徴や好み、クルマから得られるさまざまなデータ、さらに交通状況などの環境を総合的に判断して運転者に情報を表示する、包括的なシステムが必要になります。包括的HMI(図1)によって、周りの状況に合わせて運転者に適切な情報だけを表示する「ダイナミックな情報マネジメント」と、必要な情報を適度な量だけ表示する「作業負荷マネジメント」が可能になります。

図1 コンチネンタルの提案する包括的HMIにおける様々な情報のマネジメント

図1:コンチネンタルの提案する包括的HMIにおける様々な情報のマネジメント

このような包括的HMIの必要性は、時代を追うに従って高まってきています。時代の変化の1つの例として、シームレスなコミュニケーションの増加が挙げられます。スマートフォンなど携帯型端末が普及したことにより、いつでもどこでもコミュニケーションをとることが当たり前の時代になってきています。クルマの中でも、コミュニケーションをとるようになり、クルマは1つのコミュニケーションツールになるでしょう。

また、クルマの使用目的の変化も例として挙げられます。昔は、クルマは移動する手段であり、人間が手と足で動かすだけの機械でしかありませんでした。しかし現在では、クルマがライフスタイルの一部となっており、クルマに乗る喜びを求めたり、クルマを運転するだけでなく、クルマという空間を楽しむという考え方が広まってきています。このような時代を追うごとに変わっていくニーズに合わせたHMIが求められるのです。

包括的HMIを実現するためのコンチネンタルの研究開発例が、挙げられていました(図2)。1つはメーター表示パネルの液晶化です。従来は、メーターを2つ表示させ、間に小さな液晶があるという程度でしたが、「ダイナミックな情報マネジメント」を行うためには、状況によって表示内容を変えるというような表現の自由度が求められます。そのためにも、パネルを液晶化することが不可欠になってきます。さらにヘッドアップディスプレイによるAR(拡張現実)ナビも紹介されていました。追尾しているクルマにマークをつけたり、右左折する道をナビするといったことが、実際に見ているかのようにディスプレイに表示されるといった機能を持っています。 

図2 自動運転におけるHMIの研究開発例

図2:自動運転におけるHMIの研究開発例

3. ヒトとクルマの双方向のやりとり

HMIのほかにも、自動運転の際にヒトとクルマのループを保つためには、クルマがヒトの状態を判断することが必要になります。従来は運転者がメーターから得られる情報を判断しクルマを操作するだけで、ヒトからクルマへ行く情報は、ほとんどありませんでした。しかし、自動運転で運転者をサポートするためには、クルマが運転者の状態を監視して情報を得なければなりません。

そのためにコンチネンタルが開発しているのがインテリアカメラです。ハンドルの上部にカメラを取り付け、運転者の顔を認識しています。具体的には、頭部の向き、目の開閉、視線の向き、顔の生理的特徴などを判断しています。これにより、目の開閉からは、運転者が眠気を催しているかどうかや、運転中に一瞬だけ眠ってしまうマイクロ睡眠の検出ができ、また顔色がいつもと違うことから体調の判断を行ったり、個人の顔を認識し、HMIをパーソナライズすることもできます。

また、将来的にヘッドアップディスプレイをクルマに搭載するようになれば、頭部の向きを認識することで、常に運転者の目線の先にARで情報を表示させることも可能です。視線方向とクルマの走行方向が違えば、クルマの内部に警告を出すというような、HMIと連携した機能も搭載できるようになります。

自動運転のクルマが登場することで、クルマの持つ情報量はとても多くなります。その情報を、適切に、適度な量で運転者に表示するためにも、HMIの重要性はとても高くなります。また、移動するという目的だけでなく、ライフスタイルの一部となるクルマにとって、HMIは切っても切り離せないものになることでしょう。時代の変化とクルマに乗る人のニーズに合わせたHMIが、今後一層必要になります(図3)。

図3 クルマに対するニーズ

図3:クルマに対するニーズ
  • セミナー1月
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0107_01
  • 特集バナー0107_02
  • 特集バナー0107_03
  • 特集バナー0107_04
  • 基礎知識一覧