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人材不足時代のバリ取りとは?

人材不足時代のバリ取りとは?:バリ取り大学

更新日:2018年3月8日(初回投稿)
著者:バリ取り大学

製造業では欠かせない工程の一つ、バリ取り。製品品質を左右する重要な作業であるものの、地味で根気がいるために作業者から敬遠されがちな工程でもありました。そんなバリ取りに、現在、変化が起こっているのをご存知ですか? 次世代のバリ取り方法とともに、公式ロゴマークまである「バリ取りの日」を紹介します。

1. バリとは?

バリとは、金属や樹脂などの素材を加工した際に発生する、素材の出っ張りのことです。JIS B 0051では、「かどのエッジにおける、幾何学的な形状の外側の残留物で、機械加工又は成形工程における部品上の残留物」と定義されています。

ちなみに、バリの語源をご存知ですか? 実は日本語ではなく、ぎざぎざ、いが、突起を意味する英単語「Burr」が語源です。日本では1950年頃まで、バリは「カエリ」などと呼ばれていました。しかし1973年、アメリカで「Burr Technology」という言葉が使われ始め、やがて日本でも外来語のバリが定着しました。

発生するバリの種類は、各種加工方法によって図1のように分類できます。これは、バリの生成メカニズム(素材の塑性流動)に起因した分類です。

図1:加工方法によって異なる、バリの種類

図1:加工方法によって異なる、バリの種類

2. なぜバリを取る必要性があるのか?

そもそも、なぜバリを取らないといけないのでしょうか。バリが残ると、品質に関するさまざまなトラブルが発生するからです。

バリが邪魔となり、部品を正確に組み立てることができなかったり、期待する性能が発揮されなかったり、完成品が作動中にバリが脱落して誤作動の原因となることもあります。また、工作物に触れる作業者に、バリがあることで危害が及ぶ恐れもあります。

そのため、ほとんどの場合「バリは取らなければならないもの」とされています。図面には、大抵「バリなきこと」と注意書きがあるはずです。バリの品質基準は年々厳しくなっており、改善テーマとして挙げられることが多くなっています。また、クレームや労災などをキッカケに、バリ取りの改善や自動化に取り組み始めた現場も少なくないようです。

バリ取りが必要な場面は、挙げればきりがありません。自動車、航空機、医療機器、産業機器、電子機器など、幅広い業界でバリ取りが行われています。自動車業界においては、エンジンやトランスミッションなどでバリを取る部品が多く、自動化が進んでいます。バリを取り、きれいに仕上げる工程は、製品の品質と企業の信頼性を左右する重要な工程です。これは、世界で信頼されるモノづくりを推進する、日本の製造業の価値を高める工程でもあります。

3. 2つのバリ取り手法

バリ取りには、手作業で行う方法と、自動化で取る方法の2種類があります。

1:手作業でのバリ取り

手作業のバリ取りは、従来はササッパ(バリ取り工具の一種。名称は、笹の葉に似ている形状に由来)、やすり、研磨シートなどが用いられてきました。現在は、ササッパがスクレーパーに、やすりがロータリーバーに、研磨シートが研磨ディスク・研磨ベルトに置き換えられていることが多いです。より使いやすく、効率的に作業が行えるようになりました。

2:自動化でのバリ取り

バリ取りを自動化する方法には、専用機とNC装置に取り付けたツールで取る方法があります。

・専用機でのバリ取り
専用機とは、バリを取るためのさまざまな原理を自動化させた装置です。図2のバレル研磨法や磁気研磨法は、バリを取りたい工作物とメディア(研磨石・研磨材)をバレル槽の中で一緒に回転させ、バリを取ります。ショットブラスト法やウォータージェット法は、バリが発生している部位にメディアや水を衝突させてバリを取ります。

図2:専用機でのバリ取り1

図2:専用機でのバリ取り1

その他にも、砥粒流動加工法、サーマルデバリング法、電解研磨法、化学研磨法(図3)などがあります。これら4種の専用機は、特定の形状・材質の工作物に採用されるケースが多いです。バリを取るだけでなく、同時に表面を磨いたり、強度を上げるなどの効果がある手法もあります。

図3:専用機でのバリ取り2

図3:専用機でのバリ取り2

・NC装置でのバリ取り
自動化でのバリ取りには、専用機使用のほかに、もう1つ方法があります。マシニングセンタや複合旋盤、ロボットなどのNC装置に専用ツールを取り付ける方法です。フェイスミルやドリルなどの切削工具のように、NC装置にツールを取り付け、機内でバリ取りを行います。メリットとしては、既に保有している装置に取り付けることができるため、設備の新規投資が不要な点があります。

ツールは図4のように、刃物系とブラシ・砥石系に分けることができ、新製品の開発も行われております。ただ、現状では対象となるバリ発生部位もしくは形状が限定されているケースが多いです。

図4:NC装置に取り付けられる専用ツール4種

図4:NC装置に取り付けられる専用ツール4種

4. バリ取りの自動化が「人材不足」を救う!?

重要な工程であるバリ取りは、従来、人が手作業で対応することが常識でした。それは、前加工で使用する工具の磨耗状態によってバリが変化するため、手作業でなければ対応できなかったからです。顕微鏡をのぞきながら非常に繊細なバリ取りをしている方、分速何万回転も回るようなエアー回転工具で火花を散らしながらバリ取りをしている方が、業界や企業規模問わず、たくさんいらっしゃいます。

バリ取りは重要な工程ですが、バリ取り担当者の負担が大きく、かつ単純な作業になりがちです。そのため、バリ取り作業を楽しみ、高いモチベーションで取り組んでいる方は、それほど多くないと思います。それでも、これまでは手作業で対応してこれた現場が、現在直面しているのが、バリ取りに関わる人材不足の問題です。バリ取りを長年担当されてきた方が高齢化し、あと何年働いてくれるか分からない、先行き不安に悩んでいる会社が増えています。新しいバリ取り担当者を募集しても、ただでさえ人材の獲得が難しい今、バリ取りをしたいと応募してくる方はほとんどいません。

そのため、最近はバリ取り担当者が行っている作業を、ロボットに置き換えるといった動きが出始めています。人材不足によってバリ取りが間に合わなくなれば、生産ストップという事態にもなりかねないため、バリ取りをロボットで自動化する流れは、今後の主流になっていくのではと思います。

5. 8月10日は、バリ取りの日!

みなさんは、「バリ取りの日」があることをご存知ですか? 2017年より、バリ取りの効率化・品質安定化を意識する日、バリ取りに懸命に取り組まれている方への感謝の意を表す日として、「バリ取り」の語呂合わせで、8月10日に制定されました。バリ取りの日に合わせ、イベントなどが開催される予定です。

バリ取りの日の公式ロゴマークも製作されました(図5)。バリ取りと密接に関わる表面仕上げの▽記号をデザインに取り入れています。そして8月10日という真夏の季節感、バリ取りに懸命に取り組まれる方々の熱気をイメージした赤色をイメージカラーとしました。

図5:「バリ取りの日」公式ロゴマーク

図5:「バリ取りの日」公式ロゴマーク

バリ取り大学ウェブページ(イプロス製造業)

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