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空の産業革命、ドローン 〜業務活用とIoT的価値~

空の産業革命、ドローン 〜業務活用とIoT的価値~
著者:スプリングフィールド株式会社 代表取締役・セキュアドローン協議会 会長 春原 久徳

軍事用に始まり、コンシューマー向けから浸透し始めたドローン。2013年ごろからビジネスに活用する機運が徐々に高まっています。カメラを備えた小型の無人飛行機・ドローンとはいったいどんなもので、製造業においてどのような活動が見込めるのか? 今さら聞けないドローンの基礎知識から、製造業における活用の可能性まで、ドローンのスペシャリストである春原 久徳氏が解説します。

1. 「ドローン」って何?

首相官邸への落下事件以降、「ドローン」という言葉をよく耳にするようになりました。ドローンについて、特に多い質問が「ドローンって、ラジコンの飛行機やヘリとは、どう違うのか?」です。

ドローンというと、プロペラが付いたヘリコプターを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、本来ドローンとは自律型浮遊ロボットのことであり、水中を探索するようなロボットもドローンと呼ばれます。本記事では「空」の世界に限定し、自律機能を持った無人航空機のことをドローンと呼ぶことにします。

ドローンには、ヘリコプターのような回転翼を持つタイプだけでなく、飛行機型の固定翼のタイプもあり、用途によって使い分けられています(図1)

図1:ドローンのタイプ (左)回転翼型 (右)固定翼型

図1:ドローンのタイプ (左)回転翼型 (右)固定翼型

また、図2のように、回転翼の中でもプロペラの数に違いがあり、コストや安全性を考慮して選択されています。

図2:回転翼型のバリエーション

図2:回転翼型のバリエーション

2. 思ったよりシンプル!ドローンの構造とは?

ドローンは、「フライトコントローラー」という飛行を制御するユニットが、「レシーバー(電波受信装置)」でコマンドを受信し、「ESC(Electric speed controller:電子回転制御装置)」を通じて、「モーター」の回転を制御し、「プロペラ」の回転数を変化させることで、飛行しています。

飛行の仕組みは、図3のとおりです。

図3:ドローンの飛行の仕組み(スロットル・エレベーター/エルロン・ラダー/ヨー)

図3:ドローンの飛行の仕組み(スロットル・エレベーター/エルロン・ラダー/ヨー)

また、ドローンは自律安定飛行するために、複数のセンサーを搭載しています。機体にもよりますが、ジャイロセンサー、加速度センサー、方位センサー、気圧センサー、音波センサー、GPSなどで、姿勢・位置・高度などの把握を行っています。多種多様なセンサーを使い、高度な制御をしながら飛行しているのです。

ドローンの操作には、一般的にプロポというコントローラーが利用されます。プロポは無線でコマンドを送って操縦します。現在では、プロポの代わりに、スマートフォンやタブレットで操作するものもあります。また、事前にウェイポイントという飛行経路を設定することで、自動航行できるものも出てきています。基本的には独立したさまざまなパーツから構成され、それほど複雑な仕組みではありません。

3. なぜドローンが注目されているのか?

ドローンがなぜこんなに注目されているのでしょうか。そこには3つのポイントがあります。

1点目が、制御技術の向上により、安定的な飛行が可能になったこと。2点目が、カメラ解像度の向上、およびジンバル(スタビライザー)技術の向上。これにより高解像度の映像を、揺れを抑えて撮ることができるようになりました。

3点目が、ドローンをスマートフォンやタブレットからコントロールできるようになったことです。アプリケーション(アプリ)からドローンを操作できるため、自動航行やセンシングしたデータの活用が可能になり、業務活用につなげやすくなりました。

ドローンは、今まで見ることができなかった視点から風景を眺められるということや、人が直接届けることが難しかった場所にモノを届けられるという点から、「空の産業革命」とも言われており、用途も広がってきています。

活用事例として、最初に挙げられるのが空撮分野です。映画・ドラマやCM、観光案内、さらには、ニュース映像と活躍の場を広げています。次に、米国Amazon.comの発表で有名になった物流分野です。

モノを運ぶといった用途は長らく期待されていますが、安全性の問題もあり、都市部での運用はまだまだ先になると予想されます。しかし、山間部や離島への軽量物の搬送や、AED・薬品などの緊急搬送の実証実験が日本でも始まっており、そうした部分的なところから導入されていくことでしょう。

ドローン業務活用の可能性は、他にもさまざまな分野で見られます。実際に米国で業務利用が許可された、当初の1,000件の傾向を見ると、25を超える用途に分類されます。最も多いのは不動産物件の空撮です。次に調査や測量、農業(農業に関しては米国では農薬散布ではなく、リモートセンシングによる精密農業用途)と続いています(図3)

図3:ドローンの業務用との種別

図4:ドローンの業務用途の分類

4. 日本におけるドローンの業務活用

日本でも、すでにドローンが業務にも活用されています。その事例を紹介しましょう。

測量や3次元化

ドローン活用の先進企業である建設機械のコマツが掲げているのが「スマートコンストラクション」です。ドローンで撮影した空撮データを高精度に3次元化し、それを施工に活用するものです。

コマツのスマートコンストラクション

測量に関しては、今まで3日間かかっていたものが、数十分で終えられるという事例も出てきており、大幅な効率化を実現しています。3次元化することで、今まで分かりにくかった工事の進捗状況が明確になるだけでなく、土砂崩れなどの災害状況の把握も可能になり、受けられる恩恵は1つではありません。

太陽光パネルの点検

太陽光パネルの点検の分野においても、赤外線カメラを搭載したドローンが、ホットスポットと呼ばれる異常のあるパネルの発見に活用されています。

ALSOK(綜合警備保障)の太陽光パネルの監視・点検サービス

精密農業

農業分野においては、これまでも業務用ラジコンヘリによる農薬散布が行われていました。ドローンを活用することで、さらに高い精度で、空からのリモートセンシングが可能になります。

赤外線、マルチスペクトラム、ハイパースペクトラムといったセンサーを使い、空からセンシングを行うことで、作物の生育や病害虫、地質・水質、地面での水分量などの状態を把握できるのです。就農人口減が進む農村では、効率的に農地を管理できるようになると期待されています。

セキュアドローン協議会の精密農業に向けての実証実験(セキュアドローン協議会ウェブサイト)

図5:精密農業の概念図

図5:精密農業の概念図

5. 空中からデータを集める、IoTデバイスとしてのドローン

業務活用が進む中で、ドローンは単に空を飛ぶだけでなく、デジタルデータを空中から収集するという役割が増えてきました。IoT(Internet of Things)、モノのインターネット化が、さまざまな分野で注目されており、IoTで実現するものは、以下になろうかと思います。

1. 離れた「モノ」の状態を知る

  • 環境を知る(温度、湿度、気圧、照度、騒音など):環境モニター
  • 動きを知る(衝撃、振動、傾斜、転倒、落下、移動など):モーションモニター
  • 位置を知る(存在検知、近接検知、通過検知など):ロケーションモニター
  • 数を知る(在庫数、来客数、交通量など):インテリジェントモニター

2. 離れた「モノ」を操作する

  • スイッチのON/OFF
  • 強/弱の制御
  • データベースの変更

つまり、ドローンは、離れた場所の状態を空中からセンシングして、把握・制御できる道具と言い換えることができます。ドローンの活用が進んでいる欧米においては、図6のようなドローンでセンシングしたデータを、クラウドに送り、クラウド上で高度な処理を行ってレポートに変換するサービスが広がってきています。

図6:ドローンのセンシング

図6:ドローンのセンシング

「空中」という新たな視点が生まれることで、将来どんなことが、できるようになるのか? ドローンの活用はまだ始まったばかりです。 次回は、製造現場におけるドローンの活用と、その可能性について説明します。

著者 春原 久徳

スプリングフィールド株式会社 代表取締役
セキュアドローン協議会 会長
日本最大級のドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰
ドローンの業務活用のコンサルタントやドローン講習会の企画を行っている
ドローンクラスター(Facebookページ

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