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土工におけるICTの全面活用:i-Constructionによる建設現場の生産革命2

i-Constructionによる建設現場の生産革命

更新日:2017年10月3日(初回投稿)
著者:立命館大学 理工学部 教授 建山 和由

i-Constructionでは、土工におけるICTの全面活用が進められています。ICTの活用により、土工の各工程(調査・測量、設計・施工計画の策定、施工、検査、維持管理)で、3次元データを横断的に使用できるようになります。その結果、プロジェクト全体が効率化し、生産性が向上します。今回は土工の工程のうち、調査・測量、設計・施工計画の策定におけるICTの活用を紹介します。

1. 土工におけるICTの全面活用

i-Constructionではまず、トンネル工などに比べて生産性が低迷していた土工に焦点を当て、ICTの全面的な活用が図られることになりました。土工でのICT導入は、情報化施工として以前から進められてきました。これは、施工の段階でのみ3次元データを活用するものです。例えば、重機操作にICTを導入して制御の高度化を図る、出来形(施工が完了した部分)の計測に衛星測位システム(GNSS)やトータルステーション(TS)を導入するといった取り組みです。しかしi-Constructionでは、測量の段階から3次元データを作成し、そのデータを設計・施工計画の策定、施工、検査、維持管理の全工程で横断的に使います(図1)。

図1:情報化施工とi-Construction

2. 測量におけるICTの導入

測量におけるICT導入の代表例として、小型無人飛行装置(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の活用が挙げられます(図2)。UAVの一部はドローンと呼ばれ、建設分野では、橋りょうなど高所で人が近づきにくい箇所の調査などに利用されています。特に最近では、UAVを使って現場上空から写真測量の原理で航空測量を行い、現場の状況を定量的に把握する技術が導入されています。

UAVによる写真測量。左はUAV、右は航空測量の原理

図2:UAVによる写真測量。左はUAV、右は航空測量の原理(画像提供:株式会社アスコ)

図3は、UAVで採土地の掘削状況を計測した事例です。UAVは比較的低空から対象物を測量でき、小さな現場でも使いやすいのが特徴です。定期的に計測すると山の形状の変化を確認できるため、掘削土量の算出など施工の進捗を定量的に把握できます。

図3:UAVを用いた土取り場の測量。左は土取り場の地形、右は航空測量による定量化

図3:UAVを用いた土取り場の測量。左は土取り場の地形、右は航空測量による定量化(画像提供:奥村組土木興業株式会社)

表1は、UAVによる測量と他の測量との作業効率を比較した結果です。2ha程度の測量を行う場合、UAVで測量すると、計測時間・必要な人工・費用のいずれも大幅に軽減でき、3Dの測量データを効率よく取得できることが分かります。

表1:UAV測量の導入効果(引用:鹿島建設株式会社ウェブサイト、各測定方法の所要時間、概算費用比較(2014年調べ))
計測方法 計測面積 計測日数 成果品
作成日数
概算日数
(UAV測量を1とした場合)
UAV測量 2ha 1時間 1人工(1日) 1
3Dレーザー測量 2ha 1日(平坦) 2人工(2日) 4.0
光波測量 2ha 3日(平坦) 10人工(5日) 5.6

一方で、現場の位置や大きさ、自然環境や求められるアウトプット、現場の地形などの条件によっては、UAVの導入効果が変わります。そのため、現場の条件をもとに他の手法との優劣を検討した上で導入を進める必要があります。

3. 設計・施工計画の策定におけるICTの導入

図4は、高速道路のインターチェンジの完成図です。この図はイメージ図ではなく、各点の正確な座標値を反映した3次元の設計図です。

図4:施工計画策定における3次元データの活用

図4:施工計画策定における3次元データの活用(引用:NPO法人グリーンアースウェブサイト、中国自動車道小郡JCT(K1橋)上部工工事))

これまで、土木構造物の設計や施工計画の策定では、主要な地点の2次元図面を使ってきました。単調な線形の盛り土構造物などは、この手法でも支障は少ないでしょう。しかし、図4のような複雑な構造物では、担当者は複数の2次元図面を組み合わせて、3次元の完成図をイメージしながら作業しなければなりませんでした。これに対して3次元データを用いると、3次元の完成イメージを直接見ることができます。また、施工の進め方を画面上でシミュレーションすることで、施工法の確認や、施工上の不具合を事前に抽出し、設計や施工計画を変更できます。さらに、着工前の現地説明会で、時系列を追いながら工事の進捗をビジュアル化して分かりやすく説明するなど、多彩に活用できます。この点は、従来のCIM(Construction Information Modeling)として取り組まれてきたことであり、i-ConstructionはCIMを取り込んだシステムといえます。

図5は、橋脚の鉄筋の組み立て手順を検討する際に利用する2次元データと3次元データです。2次元データを用いる場合には、鉄筋の配置を示す数多くの図面を施工手順に従いながら確認し、鉄筋の組み立て手順を理解する必要があります。一方、3次元データを用いることで、鉄筋の組み立てを画面上でシミュレーションできます。鉄筋を手順通りに配置していくことで、施工の順番を分かりやすく確認できるのです。

図5:橋脚鉄筋の組み立て手順の検討データ。左は2次元、右は3次元データによる検討

図5:橋脚鉄筋の組み立て手順の検討データ。左は2次元、右は3次元データによる検討(資料提供:株式会社大林組 杉浦 伸哉氏)

表2は、2次元データと3次元データを用いた場合に鉄筋の組み立て検討に要する時間です。3次元データを用いることで、前日の作業に要する時間が大幅に短縮されています。また、当日の作業時間も短縮できており、理解度の向上も見込めます。

表2:鉄筋の組み立て手順の検討に要する時間(資料提供:株式会社大林組 杉浦 伸哉氏)
前日の作業(単位:時間)
作業内容 2次元データ 3次元データ
図面精査 15 2
全体説明 1 0.5
打ち合わせ 2 1
準備 2 1
合計 20 4.5
当日の作業(単位:時間)
作業内容 2次元データ 3次元データ
図面確認 0.5 0.1
実施 5 3
合計 5.5 3.1

いかがでしたか? 今回は、調査・測量、設計・施工計画の策定におけるICTの活用を紹介しました。ICTの導入により、いずれの工程も飛躍的な生産性の向上が見込まれます。次回は、施工工程におけるi-Constructionの導入事例を取り上げます。お楽しみに!

生産性アップのヒントはこちら!(イプロス建築建材インテリア)

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