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機械学習による工場の歩留まり改善:寸法・外観検査の技術トレンド3

寸法・外観検査の技術トレンド

更新日:2018年7月31日(初回投稿)
著者:株式会社光コム

前回は、容積検査の自動化が、車の燃費改善にもつながる事例を紹介しました。検査の自動化により、大量の検査結果のデジタルデータが蓄積されます。今回は、大量のデータを使って機械学習を行い、製造現場の工程改善を行う方法を解説します。

1. 工場の歩留まり改善

通常、製造現場では、人がさまざまな改善活動に取り組み、製品の歩留まりが改善していきます。例えば、鋳造工程では、大きな要因を探してつぶしていけば、歩留まりは90~95%程度まで改善します。それ以上となると、無数の小さな要因をつぶさない限り、歩留まり改善は困難です。この無数の小さな要因を、人手でつぶしていては、費用対効果がよくありません。従って、製造現場の歩留まり改善活動は、労力と効果が折り合うところで頭打ちになります。

2. 機械学習による歩留まり改善

量産中に得られる膨大な検査結果のデータ。これを機械学習させれば、最小限の労力で頭打ちになった歩留まりを改善させていくことができます。現在、機械学習の分野は急速に進化を遂げており、アルゴリズム開発を専業で行う会社も生まれています。しかし、留意すべき点は、アルゴリズム以上に、データの質と量が重要ということです。機械学習の分野では、「勝つのは、最高のアルゴリズムを持っている者ではない。最も多くのデータを持っている者だ。It’s not who has the best algorithm that wins. It’s who has the most data.(引用:Andrew Ng、Machine Learning、10-1. Learning With Large Datasets、COURSERA)」という言葉があります。

図1:機械学習のイメージ

図1:機械学習のイメージ

過去2回で取り上げた光コム測定機によるインライン全数検査のデータは、機械学習を導入するのに大変適したデータ群です。まず、全数検査なので、データ量が豊富です。入手できるデータ量は、1日の生産量が1,000個であれば、1年では約30万になります。これは、機械学習の中でも多量のデータを必要とする深層学習の分野においても、十分なデータ量です。次にデータの質です。検査結果のデータは、機械学習による成果を得る上で、通常の製造条件データ(素材組成や加工条件など)とは異なる価値を持ちます。検査結果データには、欠陥有無や形状崩れなど、品質の情報が含まれているためです。以降、検査結果のデータを、品質データと記載します。

品質データの価値を、分かりやすくイチゴ農家を例に説明します。この農家は、糖度の高いイチゴを出荷したいとします。イチゴの生育条件(散水量、日照量、ハウス温度など)を測定し、そのデータを機械学習にかけると、適した生育条件を効率よく達成することはできます。しかし、機械学習は、イチゴの糖度を上げる生育条件は教えてくれません。ここで、生育条件に加えて、イチゴの糖度を測定できたらどうでしょうか? イチゴの糖度と生育条件が紐付き、それらを機械学習により最適化すれば、イチゴの糖度を上げる生育条件が分かります。また、糖度を毎日測定することで、イチゴを最適なタイミングで出荷することもできるでしょう。工場の場合、イチゴの生育条件が製造条件、イチゴの糖度が品質データに相当します。このように品質データがあることで、機械学習の成果を得やすくなります。

さらに、光コム測定機によるインライン全数検査の品質データが優れている点は、3次元データという点です。現在、多くの検査工程では光学カメラが使われており、得られるデータは2次元データです。2次元データには深さ情報がないため、汚れ(凸)と傷(凹)を区別できません。一方、光コム測定器による3次元データであれば、これらを明確に区別でき、より良質な機械学習を実現できます。さらに、深さ情報は、人間による測定でも得られないため、新たな発想をもたらす可能性もあります。

機械学習において、重要なのとは量と質です。工場において機械学習で成果を出すには、光コムセンサを用いたインライン全数検査で、「数多く」の「品質情報」を含む「3次元データ」を取得することが大変有用です。

鋳造品の検査工程に、光コム測定器によるインライン全数検査を導入した事例を紹介します。形状崩れ度(品質データ)の推移をモニタリングしました。時系列解析によりNGになるタイミングを予測して、不具合を未然防止します。また、形状崩れ度を鋳造条件(製造条件データ)と紐付けることで、形状崩れを抑えるための鋳造条件を導出することができます。

図2:品質データと鋳造条件最適化

図2:品質データと鋳造条件最適化(左が鋳造条件、右は品質データの推移)

3. 機械学習とIoTを活用する今後の展望

機械学習で成果を得るポイントの一つは、データ量です。工場の機器にセンサを取り付けて、ネットワークでつなぐ、産業分野でのIoT利用が広がっています。複数の工場からデータを集約すれば、より早く・良質な成果を得ることができます。また、ここで得た成果をネットワークを通じて他の工場にも共有することで、目視検査にはつきものの人によるバラつきを抑えた検査を、別の場所でも実現することができます。

産業分野でIoTを推進していく場合、データ活用による具体的な成果が見えない(費用対効果が低い)という懸念があります。工場においては、まずは品質データによる機械学習を目標にすれば、IoTを推進しやすいのではないでしょうか。

全3回で、寸法・外観検査の技術トレンドというテーマで、光コムというノーベル賞技術による検査工程の自動化、容積の全数検査による車の燃費改善、そして最後に機械学習による歩留まりの改善までを解説しました。Tech Note読者の皆さんにとって、大きな気付きとなれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

株式会社光コム ウェブページ(イプロス製造業)

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