魔法の体操「ドローイン」で、仕事中にダイエット!?:職場でできる体メンテナンス講座2
投稿日:
- 2016年02月24日
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カテゴリ:
- コラム
今回は、第1回「座ることはタバコと同じくらい体に悪い!?正しい姿勢を作るコツ:職場でできる体メンテナンス講座1」で紹介した「ドローイン」の実践編です。簡単に言うと、ドローインはお腹を引っ込める体操です。まるで天然のコルセットを働かせるような、魔法の体操。効果的に続ければ、多くの利点があるのです。
1. ドローインってどうやるの?
ドローインは、骨盤を立てて行います。まず、イスに座った状態で、できるだけ前かがみになり、骨盤を後方へ倒してください。次に、胸を張って骨盤をできるだけ前方に倒してください。そして、骨盤をちょうど中間位置に戻し、位置をキープするようにします。その状態で、かつてはけた細いジーンズを頑張ってはくイメージで、下腹を引っ込めていきます。以上が、ドローイン(draw-in:引っ込める)のやり方です。
左:前かがみになり限界まで骨盤を後方に倒す 中:胸を張って限界まで骨盤を前方に倒す 右:前後限界の中間位置に
正しいドローインができると、お腹に手を置いて咳払いをしたとき、力が入っているのが分かります。できないときは、もう一度、骨盤を倒すところから試してみましょう。立って行う場合は、図2を参考にしてみてください。
2. どこでもできる、ドローイン!
ドローインは、いつでもどこでもできるので、大変効果的です。立っていても、座っていても、歩いていても、できるのです。この姿勢(腰椎のカーブが最も生かされている状態)は、人間のバランスが一番安定していて、かつパワーを最大限生み出す状態だといわれています。
昔のお侍さんの写真を見たことはありますか? お侍さんは、骨盤が立った良い姿勢で、ドローインした状態で写っているはずです。彼らは、常に「丹田」と呼ばれる下腹に力を込め、いつ誰かに切りかかられても、対応できるようにしていたのです。ドローインをしている体は、最も安定していて、最もパワーを生み出すことができることを、彼らは体現的に知っていたのかもしれません。
さて、1日中ドローインをするのは、さすがに難しいでしょう。もちろん、疲れたら力を抜き、お腹をゆるめても構いません。でも、気付いたらまたドローインを行い、そして疲れたらまた休む。これを繰り返しながら、1秒でも10秒でも長く、ドローインの状態を作ればOKです。慣れてきたらそれを20秒、30秒と増やしていくと、さらに効果的です。
一番重要なのは、継続性です。いつでもどこでもできる、このドローイン。とっても簡単なことですが、1秒でも長く維持できるようにすることが大切です。気付いたときに、ドローイン。電車で立っているとき、デスクワークのとき、工場で作業するときなど、いつでもどこでもお腹を凹ませてみてください。あなたの人生もきっと変わるはずです。
3. ドローインはインナーマッスル「腹横筋」に効く!
人間には、「腹横筋」という筋肉があるのを知っていますか? 図3のように体の深層に位置し、お腹をぐるっと一周しています。その姿から、腹横筋は「コルセット筋」とも呼ばれています。
腰痛のとき、コルセットを巻くと少し痛みが楽になりますよね。つまり、腰痛の方の多くは、腹横筋がうまく働いていないのです。腹横筋が働かないと、ポッコリお腹や便秘、冷え症にまで影響を及ぼすといわれています。逆に、この腹横筋が働いていれば、腰痛やその他の症状になりにくいといえるでしょう。ドローインで腹横筋を強化することは、第1回のような肩こりにまで、効果があるのです。
ドローインはもちろん、ダイエットにも効果的です。特に、ドローインウォーキングがお勧め。ドローインをしながら歩くと、上の効果に加え、普通に歩くより約30%も消費カロリーがアップすることが分かっています。
体重50キロの人が10分歩くと、約51カロリーを消費します。ドローインを加えると、なんと約62カロリーに。たった10分で、10カロリーもアップするのです。私のクリニックには、このドローインを1カ月しただけで、なんとウエストが11cm減った方もいらっしゃいます。
みなさんも、この「ドローインの魔法」にかかってみませんか? かつてのくびれたウエストを取り戻し、ポッコリお腹や腰痛、肩こりから解放されること間違いなし。業務効率も上がるかもしれません!
最終回となる次回は、仕事中に水分補給をするメリットについて、解説します!
著者 友広 隆行(ともひろ たかゆき)
株式会社トータルリハビリテーションセンター 代表取締役
米国ドクタートレーナー。兵庫県出身。米国及びカリフォルニア州ドクターライセンス(カイロプラクティック)とNATA認定アスレティックトレーナー(米国国家資格)のダブル資格保持者。20歳で渡米し、現地の大学でスポーツ医学を学ぶ。16年に渡るアメリカ生活でロサンゼルスドジャースにおけるインターンや、侍ベアーズのチームドクター兼ヘッドトレーナーを経験。2008年に帰国し、現在は株式会社トータルリハビリテーションセンターの代表、腸内細菌解析のAub株式会社 取締役を務める。