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日立製作所のIoT化の取り組みとは?:日本能率協会2017ものづくり総合大会レポート

2017年2月15日~17日に開催された日本能率協会主催の「2017ものづくり総合大会」。2日目には、「IoTで変化する社会とモノづくり」というテーマで、株式会社日立製作所(以下、日立製作所)モノづくり戦略本部 担当本部長 堀水 修氏が講演を行いました。実際にIoT化を進める上で行った施策を紹介しています。

設備や工程、工場がIoT化でどうつながっていくかをまとめた事例や、140個の業務ツールを必要に応じてつなげ、データを見える化した事例など、実際に日立製作所が行った事例を紹介しています。現場の生産性向上や品質の向上に取り組む技術者必見です。

株式会社日立製作所 モノづくり戦略本部 担当本部長 堀水 修氏

株式会社日立製作所 モノづくり戦略本部 担当本部長 堀水 修氏(写真提供:日本能率協会)

1. 社内での共通認識を持つ

社内有識者によるワークショップ

超スマート社会の実現に向けて、社内の有識者を集めてワークショップを開催しました。外部の要因を把握しながら、どのようなトレンドが今後10~15年かけて起こっていくのか、その中で日立製作所はどのような取り組みを進めていくのかを整理しました。議論を進めるにあたり、PESTLE(P:Political、E:Economic、S:Social、T:Technology、L:Legal、En:Environmental)分析をしました。そして、政治、経済、社会、技術、法律、環境の面が、2030年ごろまでにどのように変化していくか意見を出し合い、議論が集中するポイントが9つあることに気づきました。これが今後の技術潮流を作るドライバーになるのではないかと考えたのです。

表1:PESTLE分析
PPolitical政治動向
EEconomic経済動向
SSocial社会動向
TTechnological技術動向
LLegal法律・規制動向
EnEnvironmental環境動向

製造業の9つの変化ドライバー

変化のドライバーとは、今後の社会や技術潮流を変えるであろう出来事のことです。次に日立製作所が考えた変化のドライバーを示します。これらに対して日立製作所としてどのような対策をするか決めていきました。

  • マーケット近くでのモノづくり(地産地消型モノづくり)が進む(2015年ごろ)
  • O&M(オペレーション&メンテナンス)から設計へのFBループによるマーケティングプロセス高度化(2015年~2020年)
  • サービスインテグレータの登場(2015年~2020年)
  • 3Dプリンタによるサプライチェーン構造の変化(2020~2025年)
  • 日本のモノづくり縮小への対応(2020~2025年)
  • 人工知能による間接業務の自働化が進む(2020~2025年)
  • セキュリティリスクの増大化(2025年ごろ)
  • ネットワーク型のクラウドマニュファクチャリングの浸透(2025年ごろ)
  • 人工知能による設計レベルでの自動クリエーションが起こる(2030年ごろ)

日立製作所のIoT活用のビジョン

日立製作所のIoT活用のビジョンを紹介します。コンセプトは、ユーザー・現場・経営をIoTでつなぐ、デジタルイノベーションを起こすです。2012~2015年に、日立製作所はコスト構造改革に取り組んでいました。6つのテーマを意識して、製造に関わる全てのコストを削減しました。標準化、集約化、IT化、外部化、リードタイム短縮、機能強化です。そして、IoT活用に伴い、4つのテーマを意識して次世代のモノづくりの検討を進めています。4つのテーマとは、ビッグデータ解析・AI技術、ノウハウのデジタル化、CPS(Cyber Physical System)・シミュレーション、つながる工場です。

2. IoT活用の課題と対策

IoTはさまざまなところに活用できます。ドイツでは設備同士をつなげるM2MでIoTを活用しています。アメリカでは、集めたデータでお客様に新しい価値を提供できないか模索しています。日本の企業の多くは、現場の業務改革や生産性改善のためにIoT活用を進めています。しかし、IoT活用や導入にあたり課題もあります。

IoT導入責任者の戸惑い

多くの企業が最初にぶつかる課題は、経営効果が出るIoT活用のシナリオ作りです。経営課題を解決する技術は多くあるものの、何をどう組み合わせればいいのか分かりません。なぜでしょうか? IoTを活用して現場と経営をつなぐことは、複数の担当者と協力しないといけないからです。IoT導入責任者だけでは、現場の現状を全て把握することは不可能なため、シナリオ作りに苦戦するのです。つまり、社内・社外問わず、さまざまな人との協力が必要です。

業務シナリオによるスコープの絞り込み

企業、部署によってさまざまな課題があります。まずは現場から解決していきます。業務シナリオを作成し、自社の課題がどこにあるのか、それがIoTやデジタル技術で解決できるのか、解決できたらどうなるのかを考えていきます。このようなユースケースから入るアプローチは実践しやすいのではないでしょうか。

図2:ユースケースを想定した業務シナリオ

図2:ユースケースを想定した業務シナリオ(出典:IVI)

3. 日立製作所の生産性向上のための取り組み

生産システムの成熟度モデルとは

図3に日立の提案する生産システムの成熟度モデルを示します。IoT活用のレベルを表しています。

図3:生産システムの成熟度モデル

図3:生産システムの成熟度モデル

レベル1から2の見える化やつなげるに取り組んでいる工場が多いものの、レベル4~5(8万枚のRFIDを使ってビッグデータを収集してシミュレーションの実施)に取り組んでいる工場も一部あります。どの向上も最初はレベル1(見える化)から始まります。ここで大切なのは、解決したい問題を常に意識することです。

データへのアプローチ方法

茨城工場の事例を紹介します。業務ツールが140個あり、オペレーターが自ら管理し、会議などで情報共有を行っていました。しかし、情報のやり取りに時間がかかったり、問題が発生しても担当者が気づかなかったりすることがあったため、データの管理方法を変えていきました。社内協調場というプラットフォームを作りました。今までオペレーターが管理していた情報を社内協調場に上げ、誰からでも見えるようにしていきました。これにより、リードタイムが短くなる、在庫が減るなどの効果がありました。今までオペレーター同士がやっていた業務をコンピュータに置き換えたことで、経営数値や設備状況、生産性や品質などのデータがリアルタイムで見られるようになりました。

図4:社内協調場を用いたデータ収集・蓄積のアーキテクチャー

図4:社内協調場を用いたデータ収集・蓄積のアーキテクチャー

作業者へのアプローチ方法

今までは、作業者に対しては行動を録画し、標準作業から逸脱していないかなどを検証していました。しかし、作業者の動作を数値化することによって、リアルタイムで判定できるようになりました。実際にこの仕組みを使い、作業者の効率が6%改善しました。

このように、日立製作所では作業者の行動や日々の業務、工場の情報をデータ化することで、工場・企業間で生産情報を共有し、生産リソースを相互融通する共生型ものづくり社会「Factory of the Future」を目指しています。

参考:ものづくり総合大会ウェブサイト

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