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なぜ、異物混入が注目されるのか?まず、何をすべきか?:食品への異物混入対策の基礎知識1

食品への異物混入対策の基礎知識1
更新日:2015年11月19日(初回投稿)
著者:株式会社フーズデザイン 代表取締役 加藤 光夫

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近年、報道により食品への異物混入が取り上げられることが増え、消費者もより敏感になりつつあります。異物混入が発覚した場合、大手の食品メーカーは、問題の拡大防止や企業イメージの悪化を恐れ、自主回収に動くケースも多くなりました。食品業界での異物混入対策は、喫緊の課題といえるでしょう。

しかし、現実的には、食品工場で発生する製品への異物混入を完全に無くすことは不可能です。いくつかのメーカーは、目標値を1ppm(100万分の1)以下、つまり100万個に1個以下に抑えるとしています。1日あたり、数十万個以上の製品を製造する工場は全国各地にあり、実際はより小さい数値を目標にしたいところです。

そのために、食品メーカーは、何をしたらいいのでしょうか? まず、異物には、物理的なものだけではなく、細菌、ウイルス、カビ、化学物質も含まれます。すべてに、そして同時に、対策を打つ必要があります。簡単に思いつくのは、「何をしてはならない」「この手順でなければならない」といったルールの強化です。しかし、ルールは多ければ多いほど、すべてを徹底しづらくなるというジレンマに陥ります。

そこで、本連載では、食品への異物混入対策を継続・強化するための仕組みと、即効性のある具体的な対策を、各回2項目ずつ、合計10項目を解説します。

1. 「プロダクトゾーン」に注目

プロダクトゾーンとは、米国パン協会(AIB:American Institute of Baking)の異物混入対策ガイドラインの中で使われている用語で、「食材食品がむき出しになっている場所」のことです。食材食品がむき出しになっているところで、その上や周囲に異物があれば、食品に入る可能性があります。よって、その場所を特定して、危険なところを無くす、清掃洗浄するという対策を取ります。

プロダクトゾーンは、工場内にそれほど多くはありません。面積にして、工場の2割程度です。つまり、このたった2割の場所を見つけ、集中的に対策を打てば、実に高い効果が得られるのです。

それでは、プロダクトゾーンを正確に特定するには、どうしたいらいいのでしょうか? 工場の製造工程の把握と図面が必要です。漬物工場の例で、説明します。

この漬物工場の製造工程は、原材料受け入れ→冷蔵庫保管→野菜の整形→洗浄→漬け込み→冷蔵→手洗浄→計量包装→仕分け検品(金属探知機)→冷蔵庫保管→出荷となります。この動線を工場の図面上に書き込み、プロダクトゾーンを特定します。現場に入り、抜けているところがないかも確認します。

図1:漬物工場の図面上で、プロダクトゾーンを特定する

図1:漬物工場の図面上で、プロダクトゾーンを特定する

この製造工程の中で、食材食品がむき出しになっているところは、野菜を箱やコンテナから出した後、野菜の整形→洗浄→漬け込み→冷蔵→手洗浄→計量包装のところ(図1に写真で示した場所)です。パウチパックやトレイパックの包装が終われば、その中に異物が入る工程はありません。ざっと見ても、プロダクトゾーンは工場全体の2割にも満たないことが分かります。

皆さんの工場のプロダクトゾーンは、どこでしょうか? ぜひ、一度考えてみてください。

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2. パレートの法則で、さらに問題箇所を絞り込む

数多くの食品工場を分析すると、問題の8割は工場の2割の場所で起きている傾向があります。有名なパレートの法則(8:2)が、食品工場の異物混入にも当てはまるのです。そして、この問題が発生する2割の場所は、プロダクトゾーンにあります。問題が起きる可能性の高いプロダクトゾーンを特定していれば、これでさらに問題箇所を絞り込むことができるのです。

図2:漬物工場の異物混入元分析

図2:漬物工場の異物混入元分析

事例の漬物工場の場合、過去の異物混入の工場内発見と顧客クレームの記録を分析したところ、漬け込み工程の異物混入が8割以上を占めていました。

漬け込みの工程では、作業者が上半身を大きな「たる」の中に入れながら、底から上に野菜を並べ塩をかけて、また野菜を積み重ねていきます。まず、作業者の毛髪、作業衣に付着したごみ、また作業者の腹の部分が「たる」の縁に常に当たってこすれるので、縁のささくれが、「たる」の中に入ります。

その後、冷蔵庫内で「たる」を積み重ねて寝かす工程で、上の「たる」から下の「たる」へ、くずやごみが落下していました。さらに、冷蔵庫の空調が古く、吹き出し口からゴミが飛び出して、「たる」の中に落下していたのです。作業場所や冷蔵庫の中が暗いため、異物を発見しにくいということも分かりました。

そこで、まずは、この工程の作業者に「ここは異物が最も入る場所」ということを伝え、認識してもらいました。次に、具体的な5つの対策をとりました。

  • 帽子を頭巾型の毛髪落下防止を強化したものへ、作業衣も最新式のものへ変更した
  • ささくれや傷がある「たる」の修理をした
  • 冷蔵庫の空調の吹き出し口にフィルターを付け、ゴミの飛び出しを防ぐ
  • 「たる」を重ねるとき、「たる」の上にシートをかけてカバーし、異物が入らないようにした
  • 暗い場所の照明を、検査面で500ルクス以上の明るさにし、異物を発見しやすくした

この集中対策により、わずか2ヵ月ほどで異物混入問題が激減し、高い効果がありました。皆さんの工場で、問題が発生する2割の場所はどこでしょうか?

次回は、危険物の除去と、清掃洗浄のコツを解説します。お楽しみに!

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