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自動車排熱利用の技術動向 2015

ポイント

  • 2015年時点で排気熱回収器が実用化
  • 化学蓄熱が有望視
  • 熱電発電は早ければ2023年の採用に期待

調査会社の矢野経済研究所は、2015年6月17日に自動車排熱利用技術動向に関する調査結果を発表しました。

背景

2015年以降の燃費基準・燃費規制、ならびにCO2排出規制強化に伴い、自動車の更なる燃費改善が求められている中、排気熱回収、蓄熱、ランキンサイクルなどのエネルギー変換といった自動車の排熱を利用した技術が注目されています。技術的課題やコストの問題もあり、まだ実用化に至ってはいませんが、2020年にかけて後述する各技術の課題が解決されれば、最短で2023年頃に自動車への搭載が実現すると考えられます。

自動車排熱技術の動向

排気熱回収器

排気熱回収器とは、熱交換器を通じ、排気ガスの熱をエンジン冷却水に伝えることで、エンジン暖機の促進及び、暖房性能の向上を行うものです。コールドスタート条件でのモード燃費は 1~2%程度向上できます。冬季の暖房の場合、最大で8%の燃費向上効果が得られます。使用可能な期間が冬季又は暖機中に限定されているため、常時排熱を利用可能とし、熱電発電との組み合わせなど、新たな機能が付加されれば、採用車種拡大につながると考えられます。2015年時点で主にトヨタ自動車のハイブリッド車(HEV)に採用されており、今後もHEVを中心に採用が拡大していく可能性があると見られます。

蓄熱

自動車排熱利用技術における蓄熱には、主に顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱があります。
顕熱蓄熱とは、物質の比熱を利用したもので、蓄エネルギー密度の問題から今後の採用可能性は低いものと考えられます。

潜熱蓄熱とは、物質の相変化、転移に伴う転移熱(潜熱)を熱エネルギーとして利用したもので、1996年のBMWE39型の5シリーズにおいて、エンジンのウォームアップのため採用され、トヨタ自動車では、2009年に発売された北米向けプリウスのキャニスタの活性炭温度を一定に保持するため、潜熱蓄熱材を利用しました。今後もアイドリングストップ車を中心に潜熱蓄熱材の採用が拡大すると考えられます。

化学蓄熱は、熱エネルギーを吸熱化学反応により反応化学物質の形で蓄えるため、蓄熱密度が大きく、化学物質が安定であれば、放熱ロスもほとんどなく、長期間の蓄熱が可能です。先述の顕熱蓄熱、潜熱蓄熱と比べ、より高温での蓄熱や、高い蓄熱密度という点で有望視されています。固体充填層の設計の最適化、繰り返し反応における耐久性の向上、コスト低減(1万円/kWhの実現)などが今後の課題です。

エネルギー変換

熱エネルギーから電気エネルギーへの変換は、間接方式と直接方式に大別されます。
ランキンサイクルに代表される間接方式は、水を作動流体(エネルギーの受け渡し役)として使う熱サイクルです。システムの採用には大幅な自動車設計の変更が必要で、2025年時点での採用は難しいと考えられます。

直接方式には、物理現象であるゼーベック効果を利用し、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する技術(熱電発電)があります。自動車における熱電発電の実用化実績はありませんが、2000年~2007年にかけ国家プロジェクトを中心として日本国内で進んだ開発が海外に波及し、アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)や欧州フレームワークプログラム(FP)などで自動車関連の熱電発電プロジェクトが立ち上がっています。
熱電発電システムでは、200~300W程度の電力回収で、市街地走行における燃費改善効果は3~5%を達成できるとされています。実用化にむけては、資源的制約のない材料を使用した熱電発電素子効率(ZT値)の向上や当該素子を利用したシステム化、モジュールの量産化やコスト低減などが課題となっています。

表 1. 自動車排熱利用技術採用タイミング

出典:矢野経済研究所 ニュースリリース

 

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