製造業におけるドローンの発展とは?
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ドローン、製造業の「一翼」となるか?~産業としてのドローン、製造現場で活躍するドローン~

ドローン、製造業の「一翼」となるか?~産業としてのドローン、製造現場で活躍するドローン~
著者:スプリングフィールド株式会社 代表取締役・セキュアドローン協議会 会長 春原 久徳

軍事用に始まり、コンシューマー向けから浸透し始めたドローン。2013年ごろからビジネスに活用する機運が徐々に高まっています。前回の記事「空の産業革命、ドローン 〜業務活用とIoT的価値~」では、ドローンの仕組みや注目される背景、そして現在の活用事例について言及しました。今回はドローン産業の現状と製造現場でのドローン活用の可能性について解説します。

1. 広がるドローン産業と日本における現状

ドローン産業は、ハードウェア、サービス/ソフトウェア、インフラ/コンポーネンツと、大きく3つの分野に分けられます。各分野に参入している主要企業をまとめると、図1のようになります。

ドローン産業における3つの分野と参入企業

図1:ドローン産業における3つの分野と参入企業

ハードウェアに分類されるドローンメーカーのうち、最も有名なのがDJIです。民生機および空撮機として圧倒的なシェアを握っており、ドローン本体から制御システムまですべて自社で開発する、比較的クローズな戦略が特徴です。

これに対抗するかたちで、オープンソースの流れも出てきています。Dronecodeというプロジェクトでは、オープンソースを活用して、ドローンのサービスやソフトウェアを開発できる環境が構築されています。いわば、Linuxのようなプラットフォームを用意し、業務活用に向けて、さまざまなチームがサービスやソフトウェアを開発していくイメージです。Dronecodeプロジェクトには多くの企業が参画しています。

Dronecodeプロジェクト参加企業

図2:Dronecode参加企業(Dronecodeプロジウェブサイトェクト  よりキャプチャ)

この中心的な役割を果たしているのが、WIRED元編集長で、『ロングテールー「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』 『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略 』『MAKERSー21世紀の産業革命が始まる』といった著書でも知られるクリス・アンダーソン氏が率いる3D Roboticsです。3D Roboticsのドローンは、その主力機であるSoloが、2015年12月より日本でも販売されることが発表されました。

3D RoboticsのドローンSolo

クリス・アンダーソン氏は、日本で行われたセミナーでこう述べています。

「ドローンに搭載されるソフトウェアが発達すれば、収集したデータをスマートフォンやクラウドに送信することでさまざまな問題が解決され、また多くの人がこの産業に関わるようになるでしょう。」

欧米においては、ドローン本体というハードウェアだけでなく、その周辺のサービスやソフトウェアがドローン産業として伸長してきています。一方、日本では、ドローンメーカーがいくつか出てきただけで、サービスやソフトウェア分野を担う企業が育っていません。

ドローンというプラットフォームの上に、それを活用するためのソフトウェアやサービスが乗る産業構造をいかに作ることができるかが、今後ドローン産業が日本の中で広がっていくかの鍵であり、ドローンメーカー以外の企業の活躍が期待されます。

2. ドローンのサービスやソフトウェア

ドローンのサービスやソフトウェアについて、前回の記事で軽く触れたものも含めて、具体的な例を紹介します。

コマツのスマートコントラクションを支えるSkycatch

コマツのSkycatch

米Skycatchは、建設機械大手のコマツと提携し、無人の飛行機、ブルドーザー、掘削機を使って、初期の基礎工事の大半を自動化する「スマートコンストラクション」を推進しています。

Skycatch製のドローンは、設定区域の上空を自動飛行するようプログラムされており、各種センサーを用いて地形データを収集します。また、バッテリーの残量が少なくなると交換のために地上基地へ戻るという、現場で使いやすい機能も備えています。

農家のAI農業をサポートするPrecision Hawk

ドローンによるAI農業を推進するPrecision Hawk

米Precision Hawkは、人工知能で解析したデータを農家に提供してAI農業を実現しています。農家は紙飛行機を飛ばす要領でドローンを飛ばし、ドローンは位置情報や風の当たり具合などをリアルタイムで計測しながら、事前にインプットされた飛行ルートを自動飛行して、元の場所に戻ってきます。

機体には、高感度カメラ、マルチスペクトルカメラ、サーマルカメラなど、用途に応じてカスタマイズされたセンサーが搭載され、その日の農場の詳細なデータが蓄積されます。

集まったデータは、インターネットを通じて自動的にPrecision Hawkのサーバーへと送られ、各農家に合わせた解析結果として送り届けられます。農家は、自分の農場の成育状況、病虫害の発生状況、地質や水分量といった重要な情報を把握し、適切な対応をすることができるのです。

空撮データから三次元地図を生成するPix4D

Pix4Dはドローンによる空撮データから三次元地図を作れる

スイスのPix4Dが提供しているPix4DMapperは、ドローンから取得した空撮データを使い、自動で三次元地図を作製できるソフトウェアです。その三次元地図は、パソコン上でさまざまな角度から地形を見ることができます。測量も可能です。

3. ドローンで活用されているデバイス

注目すべきは、GoProの搭載が可能になったことでしょう。

アクションカメラのGoProを、ジンバルで装着してドローンに搭載するという手法が編み出されたことで、安定して美しい映像を撮影できるようになり、空撮の可能性が広がりました。

ドローンによる空中からのリモートセンシングは、アクションカメラ以外のさまざまなセンサーにも広がってきています。例えば、赤外線カメラをドローンに搭載し、太陽光パネルの点検業務に使っています。

FLIRのドローン用サーモイメージングカメラ

センサー技術は日本が進んでいるので、日本のメーカーが、ドローンに搭載しやすい小型のセンサーを開発してくれることを期待しています。

4. 製造現場でのドローンの活用とその可能性

製造現場においても、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットなど、IoTを活用した製造革新の動きが広がっています。特に注目されているのは、「生産ラインの見える化」です。

少量多品種の生産が要求される中で、効率性とともに、迅速で正確な生産状況の伝達が重要視されるようになりました。典型的な例は、生産ラインの各機器からログデータを集めて、データベースシステムに格納し、インターネットを通じて、関連部署で生産状況をリアルタイムにチェックするといった流れです。生産状況に応じて、ラインの機器の配置変更が小まめに行われることもあります。

そして、ラインの機器や人員配置の把握のために、ドローンを飛ばして生産ラインの三次元地図を作製し、そのデジタルデータを保存する実証実験も行われています。

RFIDリーダーの活用も見逃せません。RFIDリーダーをドローンに搭載し、工場内を飛行させてスキャニングすることで、ライン上の部品の在庫管理に利用するといったことも検証されています(図3)。

ドローンに搭載できるRFIDリーダー

図3:ドローンに搭載できるRFIDリーダー(デンソーウェーブ ウェブサイト よりキャプチャ)

他にも、赤外線カメラをドローンに搭載し、人が行きにくい場所にある機器を検査したい、ドローンを工場内の部品搬送に使いたいという要望もあります。

ただし、屋内でドローンを使う場合、一つの課題があります。現在ドローンは、搭載されているGPSにより自らの位置を把握し、安定飛行や自動航行を行っています。しかし、屋内では衛星からのGPS信号が届かないため、自機の位置が把握できません。

この課題に対しては、Wi-Fiやビーコンを活用した屋内測位サービスの技術や、高精度ジャイロの技術が有望です。屋内測位サービスの精度が向上することで、屋内でのドローンの安定飛行や、自動航行が実現される日も近いことでしょう。

今回解説したとおり、ドローン産業では、ドローン本体に加えて、周辺のサービスやソフトウェアが急速に発展しています今後、ドローンの屋内測位が容易になることで、製造業の現場でもドローンが飛び回ったり、機器を検査したり、あるいは部品を運搬したりすることも、当たり前になるかもしれません。

著者 春原 久徳

スプリングフィールド株式会社 代表取締役
セキュアドローン協議会 会長
日本最大級のドローンコミュニティ「ドローンクラスター」主宰
ドローンの業務活用のコンサルタントやドローン講習会の企画を行っている
ドローンクラスター(Facebookページ

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