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国土交通省・自動車基準協定対策官に聞く! 自動運転の「これまで」と「これから」第2回 – 国交省は、自動運転をどのように考えているのか?

話し手:国土交通省 自動車局技術政策課 自動車基準協定対策官 久保田 秀暢氏

前回は、自動運転への関心が高まる背景と、国交省が今、現実に車の安全性をどのように高めようとしているのかを探りました。今回は、国交省が自動運転に対してどのような見方をしているのか?について解説します。

自動運転に対する国交省の意識

現在、日本では年間4,000人くらい亡くなっています。そのうち、約96%がドライバーによる何らかの交通違反のためにお亡くなりになっています。ドライバーはミスをしたり、何か交通違反をしたりしなければ、この4,000人の方々は助かっていた可能性が高いのです。国交省では「この運転のミスをなくすという意味でも自動運転の意義は非常に高い」と考えているようです。

またこれだけではありません。他の意義としてあり得るのが「高齢者の移動支援」です。運転が楽になれば、今まで外に出るのが億劫だった人も外に出やすくなるでしょう。孤独な老後を過ごす高齢者を少しでも減らすことが出来るかもしれません。コンパクトシティの話とも繋がるかも知れません。
ほかに渋滞の緩和にも効果を発揮することでしょう(図2-1)。

自動運転が社会に受け入れられることで、思わぬ副次的効果があるかもしれません。

自動運転の車の安全性が確立されれば、衝突事故を無視した車の設計が可能になります。今の車は鋼鉄で製造されていますが、燃費性能を向上させるためにプラスチックで作ることも考えられます。自動追従機能をトラックに搭載することで、いままでなら3人で3台のトラックを運転していたのを、1人でも出来るようになるかもしれません。

図02-01 自動運転の意義と効果
図2-1 自動運転の意義と効果

自動車産業は競争が激しい産業分野の一つです。
先取りして新たな技術的課題に取り組むことで、日本の産業競争力強化にも貢献します。国交省としても「自動運転というものをプロモートしていきたいし、安全の基準を作っていかないといけない」と考えています。今後、自動運転車の規制・規格競争が世界の主要自動車生産国を中心に繰り広げられていくことでしょう。

自動運転という新技術に対するドライバーの需要

JAFのホームページに出ていたのですが、ACC自動追従機能付きのクルマを購入した人に、その購入動機を尋ねたアンケート調査がありました(図2-2)。

かつてはクルマの買い替え動機というと、車検が来たから買い替えるというのが一番多かったのですが、最近は新しい技術そのものが買い替え動機になっているそうです。ドライバーの安全意識への高まりと、先進技術に対する興味が、うかが知れます。

「我々が考えている以上に未来に広まりがあるし、こういうことに関する関心というのも
潜在的には非常に高いのかなと思っています」(久保田氏)

図02-02 車の買い換え動機
図2-2 車の買い換え動機

そもそも自動運転とは…

そもそも自動運転とはいったいどのような状態のことを指すのでしょうか?

多くの人は「自動運転=無人運転」という風に捉えていると思います。しかし、自動運転とは必ずしも「クルマがコンピューターに制御されて、乗っている人を勝手に目的地まで連れて行ってくれる」状態のことを指すものではありません。

例えば、飛行機の場合、巡航・着陸・アプローチはほとんどの場合自動操縦ですが、パイロットはいます。クルマの場合も同様のことがいえます。国交省では最初に、自動運転の定義がいったい何なのかについて考えました。

同省では自動運転を二つの種類に分けて考えています(図2-3)。

まず一つ目は運転支援型自動運転です。この形態では、ドライバーの存在は想定されています。いろんなハンドル操作、ブレーキ操作を機械などが補助してくれます。ただし、緊急時とか、あるいはドライバー自身がオーバーライドしたいときは、いつでもオーバーライドできるようになっています。

もう一つは完全自動運転です。緊急時でもなんでもシステムがドライビングするというものです。自動車メーカーは今、ドライバーがいるという前提で、ドライバーの負担を減らすという運転支援型の自動運転を中心に開発を行っています。緊急時の操作はあくまでもドライバーが行います。この方向性をベースに、技術の高度化を目指していくとしています。

もちろん、将来的な最終目標としては完全自動運転を目指すとのことですが、まずはその前段階として、運転支援型自動運転の実績を積み上げていくということです。

図02-03 自動運転への対応状況
図2-3 自動運転への対応状況

自動運転を通して産業振興にまでつなげていきたいという国交省の思いと、自動運転の定義のあいまいさが分かりましたね。

最終回は、あいまいさを前にして、思いをどのように実現させていこうとしているのか?、国交省の具体的な取り組みについて、見ていきたいと思います。

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