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有限要素法の収束性と誤差:CAEの基礎知識3

CAEの基礎知識

更新日:2018年12月7日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 名誉教授・野村CAE技術士事務所 野村 大次

今回は有限要素法の収束性と誤差について解説します。私たちが直面する多くの構造問題では、厳密解がない、または分かっていない問題が大部分です。しかし、それでも安心して有限要素法によるCAEを使えるのは、要素分割を密にすると、ある一定の解に近づくことが分かっているからです。今回はこの収束性を考えます。

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1. 有限要素法の収束性の条件

有限要素法では分割を密にするに従って、その解は厳密解に近づくことが保証されます。一般に変位法による有限要素法では、分割を増すにつれて、変位の小さい方から厳密解に近づきます。これは仮定した要素内変位場によるひずみエネルギーが、真のひずみエネルギーより必ず小さいからです。有限要素法での収束性を保証する変位関数の条件は、ツェンキーヴィッツの教科書に記載されています(図1)。

図1:収束性を保証する変位関数の条件

図1:収束性を保証する変位関数の条件(引用:O.C.ツィエンキーヴィッツ、Y.K.チューン、マトリックス有限要素法、培風舘、1970年、P.24-25)

ここで変位関数とは、要素内の変位分布を表現するために定義された関数です。変位関数は通常、低次多項式で表され、最も簡単な変位関数は、下に示す三角形1次要素でのx、yの1次関数です。これを例に説明します。

三角形1次要素でのx、yの1次関数

ここでai 、biは未定係数です。上式を用いてひずみは次式で表されます。

ひずみの式

ここで、a1、 a2、b1、b2は定数なので、収束性を保証する変位関数の条件の条件2は満たされます。要素内のひずみを0と置くと、a1= b2=a2+b1=0からb1=-a2 が得られ、これらを変位関数に代入すれば、次式となります。

三角形1次要素の式

ここで、a0、b0は剛体変位を表し、a2=-b1は剛体回転角θを表します。また、隣り合う要素間にある辺上でも変位分布は1次関数なので、明らかに要素間で変位は連続です。つまり、三角形1次要素は、収束性を保証する変位関数の3条件を満たしているので、収束性は保証されます。次は簡単な例題で要素分割の収束性を検討してみましょう。

・自由端に集中荷重を受ける片持ちはり(面内変形)

解析モデルの概要を図2に示します。解析ケースを分割数=1×1、2×2、4×4、8×8の4つの構造モデルとします。材料定数は、縦弾性係数E=200GPa、ポアソン比ν=0.3とし、境界条件は左端を完全固定し、右端にFy=-10kNの荷重を作用させます。

図2:自由端に横荷重を受ける片持はり

図2:自由端に横荷重を受ける片持はり

せん断変形の効果を含まない単純はり理論でのたわみは、次式で与えられます。

単純はり理論でのたわみ

ここでIは断面2次モーメントです。最大たわみは荷重端(x=0)に生じ、次式で与えられます。

最大たわみは荷重端

直応力σxはx、y方向に線形分布し、せん断応力τxyはy方向に2次分布します。

直応力σx、τxy

σxの最大値は固定端の上下表面で±6,000MPa、荷重端で0となります。τxyの最大値は、はり中立面上で-150MPa、上下表面で0となり、長手方向には一定です。

CAEソフトNastranを用いて、四角形1次要素で縦横の分割数をそれぞれ1、2、4、8と増やしたときの、荷重端変位の収束状況を図3に示します。横軸は各モデルの節点数で、縦軸は荷重端変位です。

図3:片持ちはり・荷重端たわみの収束性

図3:片持ちはり・荷重端たわみの収束性

Nastranによる結果は、8×8分割で誤差1%と、良好な収束性を示しています。CFEMとあるのが筆者自作プログラムによる結果で、定ひずみ四角形要素を用いたものがCFEM2、アイソパラメトリック1次要素を用いたものがCFEM3です。CFEM3rは要素剛性マトリックスの計算に次数低減積分法を適用した結果です。CFEM3rはNastranの結果にほぼ一致しており、Nastranは次数低減積分法を用いていることが分かります。

CFEM2、CFEM3では収束するものの、8×8分割でも理論解の各45%、65%程度で精度が悪く、なかなか真の解に到達しません。これは、1次要素のメッシュでは曲げの変形形状を正確に表現することができないため、剛性を高く評価してしまうためです。この現象をせん断ロッキングといいます。

せん断ロッキングを回避する手法の一つに、次数低減積分法があります。次数低減積分法とは、要素剛性マトリックスの数値積分において、通常の積分点数n(有限要素法で実際に計算する点)よりも1少ないn-1点を用いる計算方法で、結果の精度が格段に向上することが知られています(参考:O.C.Zienkiewicz, R.L.Talor, J.M.Too, Reduced Integration Techniques in General Analysis of Plates and Shells, Intl. J. Numer. Methods Eng., 3, 1971年, P.275-290)。通常、1次要素ではn=2が、2次要素ではn=3が用いられます。多くのCAEソフトウェアでは2次元・3次元ソリッド要素、シェル要素で次数低減積分法が用いられています。図4にNastranによる結果例(変形+σx濃淡図)を示します。

図4:自由端に横荷重を受ける片持ちはり(応力の単位:MPa)

図4:自由端に横荷重を受ける片持ちはり(応力の単位:MPa)

・自由端に集中荷重を受ける片持ちはり(面外変形)

前項と同じ例題で、板の面外変形の場合を考えます。要素の特性としては、前項で用いた平面応力要素に板曲げ要素(モーメントのみが働く要素)を重ね合わせて、3次元空間での平板シェル要素にしています。同じく分割数を増していったとき、荷重端での面外変位の収束状況を図5に示します。

図5:片持ちはり・荷重端たわみの収束性(面外変形)

図5:片持ちはり・荷重端たわみの収束性(面外変形)

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2. CAE解析での誤差

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