メニュー

研究・開発部門による理想材料費の追求:原価管理の基礎知識3

原価管理の基礎知識

更新日:2018年6月21日(初回投稿)
著者:株式会社MEマネジメントサービス 常務取締役 マネジメントコンサルタント 大塚 泰雄

前回は、原価企画の進め方と、ABC分析・ポートフォリオ分析による改善対象製品の選定を紹介しました。今回は、研究・開発部門による製品の理想材料費の追求を取り上げます。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 変動費と固定費分析によるコストダウン

企業が利益や採算性を算出するには、発生するコストを、変動費と固定費の切り口で検討します。変動費は、製品の製造ごとに発生し、生産量に比例して増減するコストです。材料費や直接労務費、変動経費などがあります。これに対し固定費は、生産量とは無関係に発生する固定的なコストです。開発設計費、設備費、金型治工具費、間接費などがあります。

1個生産するのに100円の原価がかかる製品を例に、変動費と固定費について考えてみましょう(図1)。この製品の原価の内訳は、変動費が50円、固定費が50円です。この製品を5個作る場合はどうでしょう。変動費の50円は、変わらず発生します。しかし、固定費の50円は生産量で割られるため、1個当たりの固定費は50円÷5個=10円となり、原価は変動費50円+固定費10円=60円となります。つまり、生産量が多くなればなるほど、1個当たりの固定費は低減します。このように、同じ製品でも、生産数によってコストは異なります。

図1:1個生産と5個生産の変動費と固定費

図1:1個生産と5個生産の変動費と固定費

製品のコストダウンの方向性は、第2回でも説明したABC分析(重点分析)を行い、検討します(図2)。通常、コストダウンの対象製品は、生産量の多いAグループから選定します。生産量の多いAグループは、変動費の削減を狙うのが効果的です。このとき、VE(Value Engineering)と呼ばれる手法を活用します。VEは、ターゲットとなる製品群の製品機能とコストのバランスを分析し、製品価値の向上を目指す管理技術です。これにより、材料費、直接労務費、変動経費などの変動費が低減します。一方、生産数の少ないCグループは固定費の負担が大きいため、できるだけ種類を減らし、まとめて作ることが得策です。この場合、モジュール化、共通化によるモジュール設計が有効です(モジュール化については後述)。このように、原価の変動費と固定費の特徴から切り込むことで、効率的なコストダウンが可能となります。

図2:ABC分析とコストダウンの方向性

図2:ABC分析とコストダウンの方向性

2. VEによるコストダウン

VEのVはValue(価値)を、EはEngineering(工学)を表し、価値工学と翻訳されます。では、価値とは何でしょうか? 身近な例で考えてみると、支払った費用の大きさに対して、製品によって得られた効用の大きさのバランスとのことです。支払った費用の大きさに対し得られた効用が小さければ高いと感じ、逆に支払った費用の大きさに対し得られた効用が大きければ安いと感じます。

このように、VEでは、満足の度合いを価値で表現し、支払った費用の大きさをコストで表し、得られた効用の大きさを機能で表します。すなわち、V(価値:Value)=F(機能:Function)÷C(コスト:Cost)で表すことができます(図3)。この式は、機能とコストのバランスを示しています。重要な機能には高いコストをかけても良く、重要でない機能にはコストをかけてはいけないという意味です。

図3:VEにおける価値の定義

図3:VEにおける価値の定義

VEの実施手順は極めてシンプルで、機能定義、機能評価、代替案作成の3つから成り立っています(図4)。

図4:VEの実施手順

図4:VEの実施手順

・機能定義

機能定義は、モノが果たしている機能(働き)を定義することで、現状の構造分析を行う方法です。通常、製品の改善を行う場合、現状の構造を分析してムダを排除する、いわゆるリサーチアプローチの手段を用います。しかし、リサーチアプローチでは、現状の構造から脱却することができず、大きなコストダウン効果が望めません。そこでVEでは、あるべき姿から追求するデザインアプローチの方法が取られています。デザインアプローチでは、機能とは何かを検討する機能定義の観点から、製品の改善をアプローチします。

・機能評価

機能評価は、製品を構成している各機能の重み(重要度)を分析し、コストとのバランスをV=F/Cによって評価します。例えば、製品にとってあまり重要ではない機能に多くのコストを要している場合、その機能の価値は低いと見なされます。逆に、重要度が高いにもかかわらず、あまりコストがかかっていない機能は、価値が高いと評価されます。価値が低い機能ほど、改善の優先度は高く、先行して実施します。特にコストダウンでターゲットとなるのは、コスト比重が大きく、重要度の低い機能です。

・代替案作成

代替案作成は、機能評価による分析で価値が低いと見なされた機能から、アイデアを生み出す方法です。現状の構造から製品の改善を考えたとき、製品形状の小型化、薄化の推進などと、アイデアはありきたりになりがちです。これに対し、機能から発想すると、多くの画期的なアイデアが出されます。しかし、アイデアを実現するには、精度・品質面における、多くの検証が必要になります。VEは、これらの検証を解決することで、大きなコストダウンを実現し、成果へ結び付けることができる、重要な管理技術といえます。

3. 目的機能分析による理想材料費の追求

製品の完成材料は、製品の設計上不可欠な機能を有する基本機能と、基本機能を補助するための補助機能に分類できます。基本機能材料は、製品本来の機能を発揮するために用いられます。本来、製品は、基本機能材料のみで構成されるのがよいと考えられます。基本機能と補助機能の製造に必要な材料費を、それぞれ基本機能材料費、補助機能材料費とします。基本機能材料費と補助機能材料費によって、理想材料費を算出することができ、ここでは、理想材料費=基本機能材料費+補助機能材料費÷2とします。なお、投入材料費から理想材料費を引いたものを、改善余地といいます。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. モジュール設計によるコストダウン

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

株式会社MEマネジメントサービス
著者が執筆した原価管理に関する書籍一覧

  • セミナー10月
  • 寄稿募集
  • 基礎知識一覧

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0903_01
  • 特集バナー0903_02
  • 特集バナー0903_03
  • 特集バナー0903_04