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ダムの種類:ダムの基礎知識3

ダムの基礎知識

更新日:2021年10月29日(初回投稿)
著者:法政大学 デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 教授 溝渕 利明

前回は、国内外のダムの歴史と、その寿命について説明しました。今回は、ダムの種類を解説します。ダムの区分は多くの場合、使用材料や型式で大別されます。使用材料での区分としては、コンクリートを使用したコンクリートダムや、土や岩、石を用いたフィルダムなどがあります。型式としては、コンクリートダムの場合、重力式、アーチ式、バットレス式などがあります。フィルダムの場合は、アースダム、ロックダム、フェイシングダムがあります。この他、コンクリートダムとフィルダムを組み合わせた複合型(コンバイン)ダムがあります。

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1. コンクリートダム

コンクリートダムは、以下に挙げる重力式、アーチ式、重力式アーチダム、バットレス式、中空重力式の5つの型式に大別されます。

・重力式

重力式コンクリートダムは、コンクリートダムの中で最も多く建設されています(図1)。これまでに国内で建設されたコンクリートダムは約1,200基あり、そのうちの約92%がこの型式です。全世界で見ると、ダムの約7割は土や岩を用いたフィルダムであり、残り3割に当たるコンクリートダムの大半は重力式で造られています。その理由は、他の型式のダムに比べて、設計や施工が比較的容易なためです。また、重力式ダムは周囲の岩盤がそれほど強固でなくても建設することが可能であることも大きな理由の1つです。

図1:重力式コンクリートダム「宮ケ瀬ダム」

図1:重力式コンクリートダム「宮ケ瀬ダム」(引用:愛川町観光協会ウェブサイト

使われるコンクリート配合は、基本的に外部コンクリートと内部コンクリートの2種類あります。重力式ダムの場合、外部コンクリートには、水の侵入や気温の変化などによって傷まないようにするため、強度の高いコンクリートを用います。一方、内部コンクリートは、強さよりも重さを重視したコンクリートになっています。重力式コンクリートダムは、コンクリート自体の重さで水圧に耐えるように設計されています。従って、重力式コンクリートダムの基本形状(断面)は三角形をしています。上流側は、基本的に垂直になっています。水圧は水面からの深さに比例して大きくなるため、ちょうど水圧に抵抗する理想的な形といえます。

・アーチ式

アーチダムは、水の圧力を両側の岩盤に伝える構造になっており、重力式に比べてスレンダーな形状をしています。従って、ダムの建設に際しては周囲の岩盤が強固であることが重要となります。アーチダムの形状の中で最も多いのはドーム型と呼ばれるものです。その他にも放物線型や円筒型のものもあります(図2)。使用されるコンクリートの配合は、重力式ダムが2種類を使用するのに対し、アーチダムの場合には基本的に外部コンクリートの1種類です。これは、アーチダムがもともと重力式ダムに比べてスレンダーな構造になっていることによります。

図2:強固な岩盤に囲まれたアーチダム

図2:強固な岩盤に囲まれたアーチダム

・重力式アーチダム

重力式アーチダムとは、重力式ダムの安定感と、アーチダムの持つスレンダーさを併せ持ったダムです。重力式アーチダムは、国内において戦後の電力不足解消のために建設されました。コンクリート材料などを十分確保することが難しかった時期に、アーチダムを造るほど周囲の岩盤が堅固ではないものの、通常の重力式ダムのような大量のコンクリートの使用を避けられるような立地条件で建設されました。従って、ほとんどが1960年代までに造られています。1970年代後半以降は、コンクリート材料の1つであるセメントが比較的安価に入手できるようになったため、岩盤条件にそれほど左右されない重力式ダムが建設されるようになりました。

国内最古の重力式アーチダムは、宮崎県にある芋洗谷ダム(1930年竣工)で、土木遺産にもなっています。海外では、アメリカのフーバーダムが最も有名な重力式アーチダムの一つです。戦前の1936年に竣工し、ダムの高さは221.4m、総貯水量が約400億トンあり、日本のダムの総貯水量の約2倍となります。また、日本最大の湖である琵琶湖の貯水量280億トンであることから、フーバーダムの巨大さが分かるでしょう。

・バットレス式

バットレスダムとは、水圧を支える壁を、扶壁(ふへき:バットレス)で縦横組み合わせて支える構造をしているダムです。ダムの中で、唯一鉄筋コンクリートで造られています。バットレスダムは、大正から昭和初期にかけて8基が造られており、そのほとんどは電力会社が保有しています。当時は、コンクリートが高価だったため、アーチ式ダムを支えるだけの地盤がない場合に、コンクリートの使用量を大幅に削減できるとして建設されました。建設から100年近く経過した現在でも6基が残っており、今も現役で活躍しています。日本で最初に造られた北海道の函館にある笹流ダム(1923年竣工)は、バットレスダムの中で唯一の水道用ダムです(図3)。

図3:バットレスダム「笹流ダム」

図3:バットレスダム「笹流ダム」

・中空重力式

中空重力式ダムとは、形状は重力式でありながら、中を空洞にしてコンクリートの量を減らした構造のダムです。戦後間もない頃は物資不足が深刻で、材料のセメント自体が高価であったため、コンクリートの量を大幅に減らせるバットレスダムが建設されました。しかし、バットレスダムは、構造上あまり堤頂を高くすることができません。その頃は電力不足が大きな問題となっていたため、発電用のダム建設が急務でした。そこで、造られたのが中空重力式ダムです。

中空重力式ダムは、確かにコンクリートの量を減らすことはできるものの、コンクリートを打ち込むための型枠が普通の重力式ダムの倍以上必要となってしまいます。このため、コンクリートが安く入手できるようになってからは、ほとんど造られなくなりました。

2. フィルダム

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3. 砂防ダム

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