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日本の脱炭素化戦略2:脱炭素化の基礎知識6

脱炭素化の基礎知識

更新日:2021年11月4日(初回投稿)
著者:東京大学 教養学部 環境エネルギー科学特別部門 客員准教授 松本 真由美

前回は、日本の脱炭素化戦略について、その長期戦略と革新的イノベーション戦略、さらにカーボンニュートラルを目指すグリーン戦略などを解説しました。さて、菅義偉前首相()は2021年4月22日、2030年度の新たな温室効果ガス削減目標として、度から46%の削減を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明。岸田文雄首相も「度46%削減、カーボンニュートラルの目標は堅持する」と記者会見で明らかにしており、日本でも脱炭素化に向けた動きが加速しています。今回は、最終回です。前回に引き続き日本の脱炭素化戦略のこれからを紹介します。

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1. グリーンイノベーション基金

政府の成長戦略会議による「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(策定、改訂)」では、洋上風力・太陽光・地熱、水素・燃料アンモニア、次世代熱エネルギー、カーボンリサイクルなど14の重要分野ごとに高い目標を掲げています。その上で、現状の課題と今後の取り組みを明記し、予算、税、規制改革・標準化、国際連携など、あらゆる政策を盛り込んだ実行計画を策定しました。重要14分野については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に2兆円のグリーンイノベーション基金が造成されました(図1)。

図1:グリーンイノベーション基金の支援対象14分野

図1:グリーンイノベーション基金の支援対象14分野(引用:経済産業省、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略、、P.23

グリーンイノベーション基金は、研究開発にとどまらず、国が定めたの技術目標を達成し、社会実装を実現するまでを目的としています。プロジェクトに採択される企業経営者には、長期的な経営課題として粘り強くプロジェクトに取り組むことへのコミットメントを求めた上で、最大10年間、研究開発・実証から社会実装まで継続的に支援を行う計画です。収益事業を行う者を主な実施主体としているものの、それは大企業に限らず、中小・ベンチャー企業の参画をも促進し、さらには大学・研究機関の参画も想定しています。

には、この基金で実施されるプロジェクト全体の進捗管理を担う「産業構造審議会グリーンイノベーション部会」が設置されました。本部会の下には、3つの分野別ワーキンググループ「WG1:グリーン電力の普及促進分野」、「WG2:エネルギー構造転換分野」、「WG3:産業構造転換分野」が設置され、研究開発プロジェクトごとの取り組み状況をモニタリングし、毎年プロジェクトの評価を行っていきます。

第1弾となる、度・第3次補正予算で措置されたグリーンイノベーション基金事業は、18の想定プロジェクトに対して予算配分され(表1)、予算総額2兆円のうち、3割程度を拠出します。第1号案件として、水素の製造から輸送、発電までのサプライチェーンを構築する事業に3,000億円、再エネ由来の電力を活用した水電解による水素製造に700億円の予算規模で、実施予定先(事業者)が、8月26日に決定しました。筆者が関わるWG1の洋上風力発電の低コスト化事業は1,195億円、次世代太陽電池の開発に498億円の予算規模で、からまで公募を実施しています。18想定プロジェクトについては、度内の事業開始を目指しています。

分野名 想定プロジェック名
グリーン電力の普及促進分野
(WG1)
① 洋上風力発電の低コスト化
② 次世代型太陽電池の開発
エネルギー構造転換分野
(WG2)
③ 大規模水素サプライチェーンの構築
④ 再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造
⑤ 製鉄プロセスにおける水素活用
⑥ 燃料アンモニアサプライチェーンの構築
⑦ CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発
⑧ CO2等を用いた燃料製造技術開発
⑨ CO2を用いたコンクリート等製造技術開発
⑩ CO2の分離・回収等技術開発
⑪ 廃棄物処理のCO2削減技術開発
産業構造転換分野
(WG3)
⑫ 次世代蓄電池・次世代モータの開発
⑬ 自動車電動化に伴うサプライチェーン変革技術の開発・実証
⑭ スマートモビリティ社会の構築
⑮ 次世代デジタルインフラの構築
⑯ 次世代航空機の開発
⑰ 次世代船舶の開発
⑱ 食料・農林水産業のCO2削減・吸収技術の開発

パリ協定(第5回参照、2.長期目標と革新的環境イノベーション戦略)の目標を達成するためには、にかけ、電化、再生可能エネルギー、水素、CO2回収・利用・貯蔵(CCUS/カーボンリサイクル)、エネルギー効率改善などを通じて、世界全体でCO2排出を削減する必要があります。政府は、再生可能エネルギーとエネルギー効率改善が核となる一方、水素、電化、CCUSが、特にCO2削減効果を増加させるポテンシャルが大きいと見込んでいます(図2)。

図1:グリーンイノベーション基金の支援対象14分野

図2:パリ協定の目標達成に必要なイノベーション(引用:経済産業省、グリーンイノベーション基金事業の今後の進め方について、2021年3月4日、P.12

2. 温対法改正で脱炭素社会の実現を明記

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 「第6次エネルギー基本計画」閣議決定

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