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エミッション対策:EMCの基礎知識4

EMCの基礎知識

更新日:2018年11月9日(初回投稿)
著者:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 副主任研究員 渡部 雄太

EMC(電磁両立性)には、エミッション(電気・電子機器が発する電磁ノイズ)と、イミュニティ(電磁ノイズに対する電気・電子機器の耐性)の2つの性能があります。今回は、エミッション対策というテーマで、電磁ノイズの種類と代表的な対策を解説します。

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1. ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズ

電気・電子機器のノイズ源から発生する電磁ノイズは、その伝わり方により、ディファレンシャル(ノーマル)モードノイズと、コモンモードノイズの2つに分けられます。

図1:ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズ

図1:ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズ

・ディファレンシャルモードノイズ

ディファレンシャルモードでは、ノイズ源から発生したノイズは、導線を通って伝わり、その線と組になる導線を通って戻ります(図1左)。往路がプラス側であれば、復路はマイナス側、また、往路が信号線の場合、復路はグランドになります。これは、電気・電子機器の電源や電気信号と同じ経路です。このとき、ノイズの流れは、行きと戻りの向きが逆になるため、ディファレンシャルモード(ノーマルモード)と呼ばれます。

・コモンモードノイズ

一方、コモンモードでは、電磁ノイズは通常の信号の伝わり方とは異なり、2本の組となる線に同相の信号が伝わります。送られた電気信号が戻ってくるのは、ディファレンシャルモードと同様です。しかし、コモンモードは組となる2本の線に同じ信号が伝わるため、これ以外の経路によって戻ってきます。実際のコモンモードノイズは、製品と基準グランド間にある浮遊容量や接地線などを介して、大地などの基準グランドを通って戻ります(図1右)。

このように、コモンモードノイズは大きなループでノイズが伝わるため、伝搬経路は効率の良いアンテナとなり、ディファレンシャルモードよりも大きな電磁ノイズを発生します。エミッション発生の主な原因は、コモンモードノイズです。そのため、コモンモードノイズに対する対策が極めて重要です。

2. 電磁ノイズの対策

ノイズ対策には、多くの種類があります。ただし、製品の仕様や対策部分、対策したい周波数などにより方法は異なり、全ての製品に効果的なものはありません。そのため、どのような対策があるかを把握して、製品を設計する際に、適切な方法を選択する必要があります。

本稿では、エミッションの3要素であるノイズ源、伝搬経路、アンテナのうち、伝搬経路とアンテナについて、代表的な対策を説明します。ノイズ源を小さくすることは最も効果的な対策ですが、コストや機能上の制約により、実践は難しいのが現状です。また、基板のアートワーク設計もノイズ対策には有効です。興味のある人は、ぜひ調べてみてください。

・伝搬経路におけるノイズ対策

伝搬経路のノイズ対策は、電磁ノイズが伝搬し、拡散を防ぐことです。30MHz以下の伝導エミッションの帯域では、フィルタが有効です。電源線などに利用する電源フィルタは、コンデンサとコモンモードチョークコイルを組み合わせます。コンデンサは接続の仕方により、Xコンデンサ、およびYコンデンサと呼ばれます(図2)。

図2:電源フィルタの例

図2:電源フィルタの例

Xコンデンサは、ディファレンシャルモードノイズ対策に有効です。一方、Yコンデンサ、およびコモンモードチョークコイルは、コモンモードノイズ対策に有効です。コンデンサの容量やチョークコイルのインダクタンスを変えることで、対策できる周波数を変更できます。

30MHz以上の放射エミッションの帯域では、フィルタでの対策は困難です。電源線だけではなく、信号線などへの対策も必要となるためです。信号線への対策を行う場合、信号はそのまま伝えながら、電磁ノイズのみを遮断する必要があります。この場合、信号の周波数と、電磁ノイズの周波数の違いを利用した対策を行います。代表的な対策部品は、フェライトビーズです。フェライトビーズのインピーダンスは周波数特性を持っているため、信号の周波数では低インピーダンス、それ以外の周波数では高インピーダンスを持つものを選びます。

メモリなどのデータバスや、デジタルIC(Integrated Circuit:集積回路)のクロックの対策として、ダンピング抵抗があります。ダンピング抵抗は、共振回路や信号線とICのインピーダンス不整合によるクロックのリンギング(電圧が振動すること)の抑制に用いられます。クロックのような方形波には高調波成分が含まれ、非常に広い周波数成分を持っています。リンギングが生じたクロックは、さらに大きな高調波成分を含んでいるため、電磁ノイズの原因となります。ダンピング抵抗は、メモリやデジタルICの出力ピンのすぐそばに配置することが重要です。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

協力:地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

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