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データによる見える化&人材育成:食品への異物混入対策の基礎知識5

食品への異物混入対策の基礎知識1
更新日:2016年1月22日(初回投稿)
著者:株式会社フーズデザイン 代表取締役 加藤 光夫

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前回は、工場の製造動線とゾーニング、そしてさまざまな検査機器、除去装置について解説しました。今回は検査・測定データの見える化と人材育成について解説します。

1. データの検証と傾向の監視(データベースセーフティー)

食品工場では、作業環境の衛生度や、食品の安全性をチェックするために多くの検査が行われています。この章では、拭き取り検査をはじめとした各種検査方法の紹介と、データの見える化による危険予測について解説します。

工場内を清潔に保つことで、異物混入の危険は減少します。作業環境の清潔度を検証するには、工場設備や調理器具に付いた細菌や微生物など、目に見えない汚染を検出できる「拭きとり検査」が効果的です。

ある工場では、拭き取り検査の一種である「ATP検査(すべての生物の細胞内に存在するATP(アデノシン3リン酸)を酵素などと組み合わせて発光させ、その発光量を測定する方法)」を定期的に行い、結果をグラフ化して傾向を監視しています。

検査を始めた当初は、工場内のあちこちで実施した検査の結果が悪く、一つ一つの洗浄手順などを検討し、改善に取り組みました。その結果、数か月後に数値は安全レベルに落ち着くようになりました。

そして、全体の平均値をグラフ化し、傾向の監視を始めました。しばらくの間、グラフは安全圏を動いていたものの、あるとき突然、危険域に入りました。このような場合、元データを見れば原因を解明できます。特定の製造機器の洗浄結果に問題があることが分かりました。

普段、洗浄を担当しているベテラン作業者が病欠したため、新人が代わりに洗浄していたのです。そこで、仕事のローテーションをバランスよく配置して、解決しました。後述する「力量制」を導入したのです。このように、全体と個別の検査データの傾向を監視することで、危険の検知と分析が可能になります。

次に、温度と湿度などの傾向監視を行う最新システムを紹介します。温度と湿度は、製造現場の安全性に関係します。高温多湿の環境では、カビや虫、バクテリアが増殖し、製品に混入する危険が高まるからです。温度に関しては、多くの工場で測定されているようです。

しかし、決められた時間に作業者が温度計を見て、紙にボールペンで記録し、傾向をグラフ化するには一層の手間がかかります。また、湿度を測定している工場は少数です。温度を自動監視し、コンピューターで傾向を見ることのできるシステムは以前からありましたが、高価なため導入が困難でした。

しかし最近、温度と湿度の両方を非常に小型のユニットで監視し、パソコンに無線送信するシステムが低価格で購入できるようになりました。このシステムでは、16台のユニットを同時に管理できます。これを束ねれば、監視する場所が増えても対応でき、全体の傾向を見ることができます。

加熱調理を行う工場では、加熱した食品の中心温度がCCP(重要管理点:Critical Control Point)となります。中心温度が75℃以上になると食中毒菌は死滅するため、安全を確保できます。これまでは、中心温度計を使い測定した値を手書きで記録していましたが、最近ではタブレットを使って測定値を入力・転送します。さらに最新の中心温度計は、測定後にボタンを押すだけで、データをパソコンにWi-Fi で送信できるものもあります。

<関連記事>3章で肉のおいしさと安全の調理について解説
新鮮なものは本当に安全?:食品を科学する・リスク分析連続講座2

また、最新の細菌検査ユニットでは、10分ごとに細菌数の測定・報告をできるものがあります。米国の同時多発テロ後、郵便を装った細菌テロを監視するために開発された技術を応用しています。このユニットを、製造現場の重要なチェックポイントに設置し、細菌数の傾向を監視することで、どの製品を作っている時に、誰が、何人で作業している時に細菌が増えるのか状況把握ができ、改善につなげることができます。

最後に紹介するのは「HACCP 会計(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点による会計)」です。洗剤や殺菌剤、粘着ローラーのテープといった衛生管理資材の使用量を測定し、傾向を監視する方法です。欧米の工場では実施しているところが多いようですが、日本ではまだあまり知られていません。衛生管理に使う資材の使用量を監視することで、工場内の衛生管理が正しく行われているかを確認します。

衛生管理を適切に行っていれば、資材は従業員数や生産量に比例して増減するはずです。例えば、ある工場では毛髪混入対策として、3回使ってから剥がしていた粘着ローラーのテープを、1回で1枚使うように変更しました。これが定着すると毛髪の混入事例は減り、一方でテープの使用量が3倍になりました。

問題はその後です。しばらくすると、作業者数に変動がないにもかかわらず、テープの使用量が徐々に減少しました。これは、作業者が次第に粘着ローラーを使わなくなったことを示しています。そこで、作業者に、粘着ローラーの使用を徹底するよう再指導し、安全を確保しました。

この他にも、さまざまな検査・測定の傾向を監視する仕組みがあります。複数の仕組みを取り入れ、統合運用することを当社では「データベースセーフティー」と呼んでいます。皆さんの工場でもデータベースセーフティーの導入を検討してみませんか?

図1:データベースセーフティーの一例

図1:データベースセーフティーの一例 

2. 作業者の衛生教育と力量制

最新の工場設備や、高性能な検査システムを導入しても、それらを管理・ 運用するのは「人」です。この章では、工場従事者に対する衛生教育と、 力量制に基づく評価方法を解説します。

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