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油圧アクチュエータの構造と作動原理:油圧の基礎知識5

油圧の基礎知識

更新日:2018年6月5日(初回投稿)
著者:防衛大学校 システム工学群 機械システム工学科 教授 西海 孝夫

前回は、油圧ポンプの構造と作動原理を紹介しました。今回は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ、油圧モータ、揺動形アクチュエータについて紹介し、どのようなパラメータがアクチュエータの動力に影響するのかを解説します。

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1. 油圧アクチュエータとは

アクチュエータとは、与えられた動力を直線運動や回転運動の機械的な動力(力×速度、トルク×角速度)に変換する機器です。油圧アクチュエータは、作動油の持つ流体動力(圧力×流量)を利用するアクチュエータで、小型であっても大きな動力を得ることができます。そのため、油圧アクチュエータは工場や建設機械など、大きな動力が必要な機器によく用いられます。

油圧アクチュエータには、油圧シリンダ、油圧モータ、揺動形アクチュエータなどの種類があります。それぞれ、流体動力を直線運動、回転運動、揺動運動させ、機械的な動力に変換します。それぞれの特徴や作動原理を説明します。

2. 油圧シリンダ

油圧シリンダは、直線運動を行う油圧アクチュエータです。ピストンロッドが片側から出ている片ロッドシリンダと、両側から出ている両ロッドシリンダに分類できます。片ロッドシリンダには、単動形と複動形があります。単動形は、油の出入口がピストンの片側にあり、片側だけに圧力が作用してシリンダを動かします。ピストンの復帰は、ばねや自重落下によって行われます。複動形は、油の出入口がピストンの両側にあり、両側に圧力が作用することで往復運動を行います。今回は、複動形の片ロッドシリンダについて解説します。

・油圧シリンダの作動原理

片ロッドシリンダの複動形は、ピストン、シリンダチューブ(シリンダボディ)、ピストンロッドから構成されます(図1)。ピストンロッドが出ている側をロッド側、出ていない側をキャップ側と呼びます。

図1:油圧シリンダの作動概念図

図1:油圧シリンダの作動概念図

1:押し行程

押し行程とは、ピストンロッドがキャップ側から押し出される行程です(図1の左)。作動油がキャップ側のポートから容積室に流量Qで流入すると、ピストンに圧力pが作用し、ピストンロッドを押し出す力(押し側シリンダ力F)が働きます。ピストンは速度Uで右に移動し、作動油はロッド側のポートから大気圧下の油タンクへと流出します。このとき、押し側シリンダ力Fと、ピストンの速度Uは、それぞれ、F=Ac×p、U=Q/Acとなります。Acは有効シリンダ断面積と呼び、シリンダ力を発生するために圧力が作用するピストン断面積です。

2:引き行程

引き行程とは、ピストンロッドがシリンダチューブに戻る行程です(図1の右)。ロッド側のポートから作動油が流量Qで流入すると、ピストンに圧力pが作用して、ピストンロッドをキャップ側に戻す力(引き側シリンダ力F)が働きます。また、ピストンは速度Uで左に移動し、作動油はキャップ側のポートから大気圧下の油タンクへと流出します。引き側シリンダ力Fと、ピストンの速度Uは、それぞれ、F=Ar×p、U=Q/Arで表されます。Arは、ロッド側有効ピストン断面積です。

押し行程と引き行程のシリンダ力Fは、下流側が油タンクに開放され、摩擦力および漏れの影響を全て無視した理想的なシリンダ力です。実際のシリンダ力やピストン速度は、これらの影響により低下します。

・油圧シリンダの構造

片ロッドシリンダの複動形は、主にシリンダチューブ、前後カバー、ピストンロッド、ピストン、クッションプランジャから構成されます(図2)。

図2:油圧シリンダの内部構造図(上)と、複動式片ロッドシリンダのJIS図記号(下)

図2:油圧シリンダの内部構造図(上)と、複動式片ロッドシリンダのJIS図記号(下)

ピストンが移動する距離を、ストロークと呼びます。ピストンがストローク終端付近で、前カバー・後カバーに高速で衝突することを防ぐために、カバー内にはクッション機構が設けられています。クッションは、ストローク終端付近に移動したピストンの運動エネルギーを吸収して、衝撃を軽減します。クッションの種類には、戻り流路の流れを絞る流体クッションなどがあります。

図3に流体クッションの構造を示します。ピストンによって押し出された作動油は、流体抵抗を受けることなく、クッション穴を通ってポートから流出します。しかし、ストロークの終了付近では、クッションプランジャがクッション穴に突入し、ポートとの直接的な流れが断たれるため、密閉された容積室(クッション室)が形成されます。クッション室の作動油は、細孔を通りクッション弁にて流れを絞られ、ポートから流出します。この機構を、流体クッションと呼びます。流体クッションは、クッション室内の圧力を急激に増加させることで、緩衝装置として作動し、ピストン速度を徐々に減じて停止させます。クッションプランジャにはテーパ加工やU形溝加工などが施され、クッション室にサージ圧(衝撃を伴う異常な圧力上昇)が生じないようになっています。

図3:流体クッションの構造

図3:流体クッションの構造

3. 油圧モータ

・油圧モータの動力伝達

油圧モータとは、回転運動を行う油圧アクチュエータです。基本的な油圧モータの構造は、油圧ポンプと類似しています。油圧モータは、回転運動式のギヤモータ、ベーンモータ、ねじモータ、往復運動式のピストンモータに分類できます。ここでは、油圧モータのモデルをベーン形で簡易化して説明します。

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4. 揺動形アクチュエータ

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