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イノベーションのタイプ分け:イノベーションの基礎知識3

イノベーションの基礎知識

更新日:2022年7月27日(初回投稿)
著者:関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科 教授 玉田 俊平太

前回は、企業の競争力とイノベーションの関係について説明しました。イノベーションは、企業競争力の向上に役立つだけでなく、企業を取り巻く環境変化に素早く適応する能力をも与えてくれます。今回は、イノベーションをいくつかのタイプに分け、それぞれ異なった視点から見てみましょう。

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1. アーキテクチャ(基本構造)レベルのイノベーションと、
部品レベルのイノベーション

イノベーションは、アーキテクチャ(基本構造)レベルで変化が起きるものと、部品レベルで変化が起きるものに大別することができます。

コンピュータの歴史をひもとくと、大型コンピュータからミニコンピュータやパーソナルコンピュータを経て、現代のスマートフォンへ…と、大きなアーキテクチャレベルの変化が20〜30年に1度ぐらいの頻度で起きています。一方で、パソコンの外部記憶装置がハードディスクドライブからSSDに変わったり、パソコンデータの記録媒体がフロッピーディスクから、CD-ROMを経てUSBメモリへと変わったりというような部品レベルのイノベーションは、より頻繁に起きています。

自動車の世界でも、人による運転から、コンピュータやセンサが自動運転する自動車へと、大きな変化が起きようとしています。これも、大きなアーキテクチャレベルの変化といえるでしょう。一方、自動車を動かす動力源も、ガソリンを燃やす内燃機関から、電気を蓄える二次電池や水素を燃料とする燃料電池を使った電動モータへ変わろうとしています。自動車を推進する動力源を大きな部品モジュールと考えれば、これは部品レベルのイノベーションといえます。

皆さんも、新しい製品・サービスやビジネスプロセスの変化を見たときに、それが基本構造レベルの変化なのか、部品レベルの変化なのかを考えることにより、そのイノベーションが与える影響の範囲をより明確にイメージすることができ、将来の変化を予測する力が高まるでしょう。

2. イノベーションのライフサイクル

次に、携帯電話やスマートフォンの歴史をひもといてみましょう(図1)。開発された初期のころは、まるでカンブリア紀の生命大爆発のように、多様な形の端末が各社から発売されました。しかし、2022年の現在、ほとんどのメーカーの端末は、オールタッチパネル式の板チョコのような形に収束し、ロゴを確認しなければどのメーカーの端末かさえ分からないほどです。

図1:携帯電話からスマートフォンに至る変遷

図1:携帯電話からスマートフォンに至る変遷

このように、イノベーションの初期段階では多様なプロダクト・イノベーションが起きるものの、ある決定的(支配的)なデザイン(ドミナント・デザイン)が生まれた後は、プロダクト・イノベーションの数は減少し、コストダウンなどを目的とするプロセス・イノベーションが主流になります(図2)。マサチューセッツ工科大学教授、アッターバック氏は、タイプライターの研究などを通じて、この現象を見いだしました。

図2:イノベーションのライフサイクルとドミナント・デザイン

図2:イノベーションのライフサイクルとドミナント・デザイン(参考:J.M.アッターバック著、大津正和・小川進監訳、イノベーション・ダイナミクス—事例から学ぶ技術戦略、有斐閣、1998年に筆者加筆)

皆さんも、自分に関係のある分野のイノベーションが、今、イノベーション・ライフサイクルのどの辺にあるのかを考えることで、今後の変化をより正確に予想できるようになるでしょう。

3. 技術融合とオープンイノベーション

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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