メニュー

物流と物流機能:物流管理の基礎知識1

物流管理の基礎知識

更新日:2019年11月14日(初回投稿)
著者:流通経済大学 流通情報学部 教授 苦瀬 博仁

物流管理とは、商品や物資の物流(輸送、保管、流通加工、包装、荷役など)を、合理的かつ効率的に行うための活動で、企業活動の中で重要な役割を担っています。この物流管理には、在庫管理や輸配送管理をはじめ、受発注管理や物流コスト管理、情報システム管理などがあります。本連載では、物流管理の中心的な役割を果たしている、在庫管理と輸配送管理を中心に取り上げ、7回にわたり物流管理の基礎知識について解説します。

物流という用語は、漢字の組み合わせからいうと物の流れになるので、その意味も移動することと考えられがちです。しかし、本来の意味は流通用語の物的流通であって、移動(輸送)は物流の一部分でしかありません。初回となる今回は、物流管理を正確に理解するために、物流(物的流通)と物流機能について解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 3つの物流と物的流通

物流という用語には、物的流通、物資流動、貨物車交通など、複数の意味があるため、しばしば混乱が生じています(図1)。

図1:物流の3つの意味

図1:物流の3つの意味

物的流通(Physical Distribution)は、昭和32年(1957)にアメリカから輸入された英語の直訳で、流通から派生しています。これは、6つの機能(輸送、保管、流通加工、包装、荷役、情報)から構成されています。

物資流動(Freight Transport)は、交通の一側面です。物資流動は、在庫や包装を含まず、輸送だけを対象にしています。人の移動や輸送には保管や荷役の必要がありません。しかし、商品や物資には、積みおろしのための荷役や、壊れたり崩れたりしないように包装も必要なため、物的流通は保管や流通加工や包装を含めた考え方です。ところが、物的流通と物資流動の異なる二つの用語が、短縮すると同じ物流となることから、多くの誤解や勘違いが生じています。

貨物車交通(Truck Traffic)は、道路設計のための自動車交通量の概念として、貨物の積載の有無にかかわらず、貨物自動車の走行台数を対象にしています。

以上からも明らかなように、物流の本来の意味は物的流通と考えるべきでしょう。

2. 物流(物的流通)の機能

物流機能は、リンク(交通)に関わる物流機能(輸送、荷役)と、ノード(物流施設)に関わる物流機能(保管、流通加工、包装)、物流をコントロールする情報機能に分けられます(表1)。

表1:物流機能の内容(引用:苦瀬博仁、サプライチェーン・マネジメント概論、白桃書房、2017年、P.29-35)

表1:物流機能の内容

a:輸送機能とは、商品や物資の空間的な移動に関する機能です。輸送、集荷、配送の3つあります。輸送は、2地点間の空間的な移動の総称ですが、特に長距離の2地点間の移動を輸送とし、1地点と複数地点間の短距離の輸送を集荷、あるいは配送とすることが多いです。そして輸配送とは、長距離の輸送と短距離の配送の両方を含む用語です。長距離の輸送では、船舶、鉄道、航空機、貨物自動車など、さまざまな交通機関を利用できます。都市内の配送では、一般に貨物自動車を使用します。

b:荷役機能とは、積み込みや荷おろしなどの作業です。積み込みは、倉庫などの物流施設から、貨物自動車などの交通機関に商品や物資を運び入れることです。荷おろしは、交通機関から倉庫や店舗などに運び込むことです。施設内の作業は、荷役に伴う商品や物資の置き換えや検品などです。

c:保管機能とは、商品や物資の時間的な移動に関する機能です。保管は時間的な移動の総称ですが、特に長期間では貯蔵・備蓄、短期間では一時保管と使い分けることもあります。

d:流通加工機能とは、商品や物資を輸送や保管する場合に必然的に生じる細かな作業と、商品の付加価値を高めるための作業です。生産加工と販売促進加工の2つがあります。生産加工は、組み立てやスライスなど商品に手を加える作業です。販売促進加工は、値札を付けたり箱詰めする作業です。

e:包装機能には、2つの分類方法があります。一つの分類方法は、商品の品質維持のための工業包装と、包装紙でくるむような商品の付加価値を高める商業包装です。もう一つの分類方法は、輸送や保管をしやすくする外装、商品を緩衝材などで保護する内装、商品個々をくるむ個装です。表1では、前者の分類で表記しています。

f:情報機能とは、輸送や荷役だけでなく、保管などの他の物流機能も含めて、物流を効率的に行うためのもので、数量管理情報、品質管理情報、位置管理情報の3つがあります。数量管理情報は、物資の数量を把握する情報で、入庫・在庫・出庫管理情報などがあります。品質管理情報は、品質や安全を保つための情報で、輸送中や保管中の温湿度情報や、製造日などの情報などがあります。位置管理情報は、商品や物資の位置を把握する情報で、輸送中や保管中の商品の位置や、トラックの追跡情報などがあります。

3. 流通における商流(商取引流通)と物流(物的流通)

流通とは、メーカーが原材料を調達して生産する商品・製品を、卸小売業を経て、消費者のもとに届けることです。この流通は、商流(商取引流通)と物流(物的流通)で構成されています(表2)。

表2:商流と物流の違い(引用:苦瀬博仁、サプライチェーン・マネジメント概論、白桃書房、2017年、P.29-35)

表2:商流と物流の違い

商流は、受発注と、これに伴う所有権および貨幣の移動です。このとき商流は、広い市場を求め、多くの利益を求め、多くの販売量を期待することから、より遠く、より高く、より多く、という拡大原理に基づいています。物流は、商品そのものの空間的・時間的移動と高付加価値化です。このとき物流は、より短距離・短時間で輸送し、より少量・短期間で保管し、より流通加工・包装・荷役の作業量を少なくすることを求めることから、より近く、より安く、より少なくという縮小原理に基づいています。

そして、商流の結果、もしくは商流を期待して物流が起きることから、商流が本源的需要、物流は派生需要といわれています。

いかがでしたか? 今回は物流管理を正確に理解するために、物流と物流機能について説明しました。次回は物流とロジスティクスを解説します。お楽しみに!

    ピックアップ記事

    tags