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機械安全のリスクアセスメント:機械安全の基礎知識1

機械安全の基礎知識

更新日:2017年9月22日(初回投稿)
著者:職業能力開発総合大学校 教授 千葉 正伸

私たちの身の回りには機械や設備が数多くあり、生活を快適にしたり、業務を効率的にしています。しかし、機械は大きな動力を扱うことも多く、危険とも隣り合わせ。全7回で、技術者が押さえておきたい機械安全の基礎知識を解説します。第1回は、機械安全におけるリスクアセスメントについてです。

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1. 機械安全に関する世界的な流れ

安全第一という言葉に象徴されるように、安全は最優先事項です。産業分野においては、人間尊重の理念に基づき、危険を排除して災害や事故の防止を目指します。さらに技術革新による新しい危険の発生も抑えられるべきです。そして、労働者を含む全ての人が、健康で安全・快適な生活を送れるようにしなければなりません。

安全に関する取り組みは、欧州が先導しました。1980年代からEU(欧州連合)統合に向けて、貿易障壁撤廃のための指令が発信され、機械の安全性はその製造者によって達成すべきと規定されました。安全性確保の必須要求事項を満たしていない機械は、域内市場に流通させることができなくなりました。この指令が基本となってEN規格(欧州の統一規格)が制定され、これをベースとして、1990年には国際安全規格としてISO/IECガイド51(機械類に関する基本的指針)が制定されました。また、安全性確保の必須要求条件として、1995年にCEマーキング制度の運用がはじまりました。CEマーキングの認証を受けていない製品はEU域内に輸出ができないという厳しい取り決めがなされました。

2. 機械安全に関する国際規格

機械安全に関する国際安全規格のISO/IECガイド51は、A規格、B規格、C規格と階層(ピラミッド)構成になっています(図1)。原則として、機械安全に関する規格は、A規格、B規格、C規格のいずれかに分類されます。

・A規格(基本安全規格)
全ての機械類に適用できる基本概念、設計原則および一般的側面を規定する規格

・B規格(グループ安全規格)
広範な機械類に適用できる安全面、または安全防護物を規定する規格

B1:特定の安全面に関する規格(例:安全距離、表面温度、騒音)

B2:安全防護物に関する規格(例:両手操作制御装置、インターロック装置、圧力検知装置、ガード)

・C規格(個別機械安全規格)
個々の機械、または機械群の詳細な安全要求事項を規定する規格(例:フライス盤、マシニングセンタ)

図1:機械安全に関する国際安全規格の体系

図1:機械安全に関する国際安全規格の体系(引用:日本機械工業連合会、機械類の安全性、2014年、一部を抜粋)

3. 安全性の定義

ISO/IECガイド51のA規格の中に、リスクアセスメントの項目があります。リスクアセスメントとは、これから設計する機械類にどのようなリスク(危険性)があるのかを事前にチェックする方法です。

ここで重要なのが、リスクと安全についての考え方です。国際安全規格において安全とは、受け入れ不可能なリスクがないことと定義されています。図2で、安全性とリスクの概念を分かりやすく説明します。

図2:安全性とリスクの概念

図2:安全性とリスクの概念

この逆三角形の面積はリスクの大きさを表現しており、上部であるほどリスクが大きくなり、許容レベルが低い(受け入れが難しくなる)状態です。例えば、もし子どもが、動物園で、間に何もない状態でライオンに遭遇してしまったら、非常に危険です。これは、受け入れ不可能なリスクです。ライオンの前に金属製の柵を設置すれば、リスクは小さくなります。このように、何らかの保護方策を行い、受け入れ可能になるまでリスクを低減させます。受け入れ可能なリスクは、その時代の社会的価値観に基づいたものと定義されています。

また、先の子どもの例で、柵の間隔が広すぎると危険性が残ります。このように、保護方策を取った後にまだ残っているリスクを、残留リスクといいます。残留リスクに対しては、警告や訓練、教育、保護具使用などの情報提供を対象者に行い、さらにリスクを低減させます。

4. リスクアセスメントとリスク低減のプロセス

図3は、リスクアセスメントとリスク低減のプロセスを示したものです。これは、機械安全に関する国際安全規格の体系(図1)のA規格のISO 12100に、リスクアセスメント規格として存在しています。

図3:リスクアセスメント・リスク低減の反復プロセス

図3:リスクアセスメント・リスク低減の反復プロセス(引用:JIS Z 8051:2015(ISO/IEC Guide51:2014) 安全側面)

1:使用や予見可能な誤使用の同定とは、ハザード(危険源)と間違った使い方を、製品の取り扱い説明書に記載することです。2:ハザードの同定のうち、ハザードは危害を起こす潜在的根源と定義されています。同定は、さまざまな事故例の情報をものに、この機械はこのハザードに該当と系統的に振り分けることです。自分で考える必要はありません。3:リスクの見積りでは、振り分けられたハザードのリスクの大きさを見積もります。

次に、4:リスクの評価で、見積もったリスクが許容可能かどうかを判断します。図2で示した安全性とリスクの概念に沿って、どのレベルが許容可能なリスクなのか、リスクのランク付けを行います。リスクが高く危険であれば、許容不可能なためリスクを低減する必要があります。5:リスク低減を実施します。また、許容可能なレベルの場合は、8:妥当性の確認と文書化を行い、使用者に情報提供を行います。

今回は機械安全の取り組みにおけるリスクアセスメントについて説明しました。次回は機械安全のリスク低減を取り上げます。お楽しみに!

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