メニュー

ステンレス鋼の熱処理:金属熱処理の基礎知識6

金属熱処理の基礎知識1 新たな特性を引き出す熱処理の種類

更新日:2016年5月19日(初回投稿)
著者:仁平技術士事務所 所長 仁平 宣弘

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

前回は、金型や切削工具などに用いられる工具鋼の「焼入れ」と「焼戻し」について解説しました。今回は、ステンレス鋼の熱処理について解説します。ステンレス鋼は、クロムCrを11%以上含有した鋼です。耐食性を最重視する製品や部品に広く使用されています。金属組織の違いによって、「オーステナイト系」、「オーステナイト・フェライト系(二相系)」、「フェライト系」、「マルテンサイト系」および「析出硬化系」に分類されます。

1. オーステナイト系ステンレス鋼の熱処理

オーステナイト系ステンレス鋼は、クロムCrの他に数%以上のニッケルNiを含有し、磁石に付かないという性質があります。また、他の系に属するステンレス鋼よりも耐食性に優れています。ただし使用条件によっては、さらに高い耐食性が求められる場合があります。

JISで規定されたオーステナイト系ステンレス鋼には、クロムCrやニッケルNiを増量したものや、モリブデンMo、銅Cu、チタンTiなどを追加添付したものもあります。オーステナイト系ステンレス鋼は切削加工が困難なため、硫黄Sを添加して被削性を改善したものもあります。オーステナイト系ステンレス鋼の中で最も使用量が多く、代表的なものは「SUS304」です。SUS304を使用したステンレス鋼製品には、「18-8」という刻印や印刷が付されています。

オーステナイト系ステンレス鋼を用いた製品で、よく問題になるのは、「応力腐食割れ」と「粒界腐食」です。応力腐食割れは、塩素イオンを含む中性環境下で使用する場合、材料に「引張応力」が存在すると発生します。引張応力は、曲げ加工など塑性加工によって生じます。応力腐食割れを防止するには、固溶化熱処理を施し、塑性加工後の残留応力を除去します。

粒界腐食の事例には、溶接したSUS304製配管における熱影響部からの液漏れなどがあります。特に600~800℃の温度領域で加熱されると、クロム炭化物Cr23C6が粒界析出し、隣接部がクロムCr欠乏状態になることで、耐食性が劣化します(図1)。

図1:650℃で2時間加熱したSUS304の顕微鏡組織と、炭化物析出による粒界腐食の原理

図1:650℃で2時間加熱したSUS304の顕微鏡組織と、炭化物析出による粒界腐食の原理

図1:650℃で2時間加熱したSUS304の顕微鏡組織と、炭化物析出による粒界腐食の原理

粒界腐食を防止するには、固溶化熱処理を施します。1,000~1,150℃の温度領域で加熱後、急冷することで、炭化物を固溶します。(図2)。

図2:固溶化処理(1,050℃で加熱後水冷)したSUS304の顕微鏡組織

図2:固溶化処理(1,050℃で加熱後水冷)したSUS304の顕微鏡組織

オーステナイト系ステンレス鋼をばねとして用いる場合、固溶化熱処理(1,000~1,100℃で加熱後、急冷(一般には水冷)する操作)後に「冷間圧延」や「引抜加工」を施して、加工硬化させます。ただし加工硬化したままでは、ばね特性が不十分なため短時間でへたってしまいます。そのため、ばね特性を改善する目的で、400℃程度での「焼なまし」を行うことが一般的です。

焼戻しに関する製品をチェック!(イプロス製造業)

2. マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理

マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼入れ・焼戻しによって硬化する唯一のステンレス鋼です。JISでは「13Cr鋼」と「17Cr鋼」が規定されています。耐摩耗性と同時に、耐食性も求められる医科用機械器具や刃物、プラスチック金型などに多用されています。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. その他のステンレス鋼の熱処理

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー5月
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0520_01
  • 特集バナー0520_02
  • 特集バナー0520_03
  • 特集バナー0513_01
  • 特集バナー0513_02
  • 特集バナー0513_03
  • 特集バナー0513_04
  • 基礎知識一覧