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PMモータとは:モータの基礎知識6

モータの基礎知識

更新日:2018年10月4日(初回)
著者:東京都市大学 工学部 教授 工学博士 百目鬼 英雄

PM(Permanent Magnet)モータは、永久磁石を使用したモータです。永久磁石の開発とともに発展したモータで、多くの場合永久磁石同期モータを指しています。効率が良いため、家電製品や自動車など幅広い分野で使われています。今回はPMモータの構造や分類、駆動原理などを解説します。

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1. PMモータとは

PM(Permanent Magnet)モータは、永久磁石を使用したモータです。永久磁石(PM)の研究開発とともに、発展しました。1930年代にアルニコ磁石(アルミニウムAl、ニッケル Ni、コバルトCoなどを原料とする鋳造磁石)が開発されると、これを応用したハイブリッド型ステッピングモータが作られました。また、同じ1930年代にフェライト磁石が開発されると、DCモータやブラシレスDCモータが作られました。1960年代になると希土類系磁石が開発され、ACサーボモータが作られました。

このように、強い永久磁石が開発されるたびに、その特性を生かすPMモータが開発されてきました。PMモータという言葉は、その時代で最も一般的な種類のPMモータを示します。近年ではPMモータというと、インバータで正弦波電流駆動される永久磁石同期モータ(PMSM、Permanent Magnetic Synchronous Motor)を指します。従って、PMモータと駆動回路を一体として使用します。1997年に京都議定書が締結されてから、家電や自動車などの分野で、特に効率の良いPMSMの利用が急速に進んでいます。

2. PMモータの構造と分類

PMモータの分類方法は2つあります。1つはロータ(回転子)の構造による分類、もう1つはステータ(固定子)の構造による分類です。前者は、ロータのどこに永久磁石を配置するかで分類されます。ロータの表面に配置するものを表面磁石型同期モータ(SPMSM、Surface Permanent Magnetic Synchronous Motor)と呼び、ロータの内部に埋め込んでいるものを埋込磁石型同期モータ(IPMSM、Interior Permanent Magnetic Synchronous Motor)と呼んでいます。

図1:表面磁石型同期モータ(SPMSM)と、埋込磁石型同期モータ(IPMSM)

図1:表面磁石型同期モータ(SPMSM)と、埋込磁石型同期モータ(IPMSM)

次にステータの構造による分類を見ていきます。初期のPMモータは、数kW以上という大きな出力を得るために、同期モータのロータの巻線を永久磁石で置き換えた構造でした。そのため、誘導モータのステータと同じように、図2の右のような全節巻の巻線構造をしていました。その後、PMモータにもブラシレスDCモータの巻線のように、突起状の極に集中して巻線を施した図2の左のような集中巻線方式が採用されるようになりました。全節巻のステータと比べて銅損(巻線の抵抗成分により発生する損失)が少なく、効率が良いためです。第5回で解説したサーボモータは、集中巻線表面磁石型同期モータ(SPMSM)が使用されています。

図2:集中巻線ステータと全節巻線ステータによる分類

図2:集中巻線ステータと全節巻線ステータによる分類

3. IPMSMの駆動原理とリラクタンストルク

集中巻線SPMSMは、界磁回転により逆起電圧が発生するので、最高回転速度に限界があります。これに対し、磁石をロータ内部に埋め込むタイプのIPMSMは、最高回転数を柔軟に設計で変えることができます。そのため、自動車駆動用モータなど広範囲の回転数が必要な用途で、使われています。

IPMSMには、4つの特長があります。1つ目は、リラクタンストルクを利用できるため、高いトルクが実現できること。2つ目は、弱め界磁(ステータのコイルに電流を流し、逆起電力を低減させること)を利用できるため、速度制御範囲を広く取ることができること。3つ目は、ロータ内部に磁石が埋め込まれるため、高速回転に向いていること。4つ目は、磁石の形状や配置の自由度が大きく、トルク特性を設計から作り出せることです。

d軸磁路とq軸磁路の違いを、図3に示します。IPMSMの特長は、d軸の磁路には永久磁石が存在するため磁束を通しにくく、逆にq軸は磁束を通しやすいことです。

図3:d軸磁路とq軸磁路の違い

図3:d軸磁路とq軸磁路の違い

永久磁石の透磁率はほぼ1で、空気層と同じ透磁率です。d軸インダクタンスLdは、q軸インダクタンスL q より小さくなります。前回解説したサーボモータの電圧方程式と異なり、dq軸インダクタンスに差がるモデルとして、dq座標に変換した電圧方程式は次式となります。

dq座標に変換した電圧方程式

このとき、id、iqは、電機子電流のd軸q軸成分、vd、vqは、電機子電圧のd軸q軸成分です。φaは、dq軸変換後の最大鎖交磁束数で、φfを一相の永久磁石の電機子鎖交磁束の最大値とすると、下記の式となります。Rは電機子抵抗、Ld、Lqは、d軸q軸インダクタンス、p=d/dtです。

最大鎖交磁束数

トルクは、電流ベクトルと電機子鎖交磁束ベクトルの外積なので、pnを極対数とすると、次式で表すことができます。

pnを極対数とするトルクの式

電流ベクトルIaの大きさを表す式と、q軸との位相差βを用いたトルクの式は、以下になります。

電流ベクトルIaの大きさを表す式

q軸との位相差βを用いたトルクの式

q軸を基準とした電流位相βは、IPMSMの駆動において非常に重要です。この角度は無負荷時の誘起起電圧を基準にした電流位相に相当します。詳細は、リラクタンストルク応用電動機の技術に関する調査専門委員会、リラクタンストルク応用モータ、電気学会、2016年を参照してください。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. PMモータの速度トルク特性と応用用途

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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