メニュー

塗膜形成時に起こる欠陥:塗装・塗料の基礎知識5

塗装・塗料の基礎知識

更新日:2016年9月21日(初回投稿)
著者:元職業能力開発総合大学校 准教授 坪田 実

これまでの4回の連載では、さまざまな塗装方法について見てきました。今回からは、塗料や塗膜に生じる欠陥現象について、発生原因とその対策を紹介します。第5~6回では、塗装時、乾燥時に起こる欠陥について解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 塗料・塗膜の欠陥の分類

塗料・塗膜の欠陥は自然現象です。塗装前の塗料状態、あるいは塗膜を形成する過程で予期せぬことが生じ、欠陥を引き起こすことがあります。その欠陥現象を解析することで、原因を突き止め、対策を施すことができます。流動性や表面張力といった基礎知識は必要ですが、ケースバイケースで理論式などを活用しながら、対策を考えることが大切です。

塗装の過程を、塗装前の塗料状態・塗装時・塗装後の経時変化の3つに分け、そこで起こる欠陥を整理すると、図1のようになります。

図1:塗装前の塗料状態・塗装時・塗装後の経時変化で起こる欠陥と、その外的要因

図1:塗装前の塗料状態・塗装時・塗装後の経時変化で起こる欠陥と、その外的要因(引用:坪田実、塗料・塗装のトラブル対策、日刊工業新聞社、2015年、P.144)

欠陥が生じたときには、自分でその発生状況、環境条件、塗料の状態などをメモし、原因の推定から、欠陥の再現をして、対策を考えましょう。図1に示す欠陥はあくまでも参考に過ぎません。

2. ブツ:表面に凸部を生じる欠陥

ブツとは、塗料に混入した固体(ゴミ・顔料の凝集物)や、塗装後に付着した異物により、塗装面に凸部を生じる現象です(図2)。ブツの発生は多く、いろいろな対策が施されています。

図2:ブツの現象と、その原因となる異物

図2:ブツの現象と、その原因となる異物(引用:坪田実、塗料・塗装のトラブル対策、日刊工業新聞社、2015年、P.153)

ブツの原因

塗装後に、外部から混入した異物が原因です。空気中には、いろいろな種類や大きさのほこりが浮遊しています。塗装後に溶剤が蒸発する過程で、無風状態であれば、塗装面は周りに対してわずかに負圧状態(圧力が低い状態)になり、ほこりが吸い寄せられます。

また、図3に示す水洗ブースで塗装する場合、水流と脱気(塗料からガスが抜けること)による空気の流れが生じ、塗装場所は圧力が下がります。塗装室の天井から外気を取り入れ、排気量よりも多くすることで、ブース内を周囲よりも少しだけ加圧状態にでき、ほこりの付着を防げます。また、囲いが無いときには、外部から昆虫も侵入します。昆虫は有機溶剤の臭気を好んでいるらしく、塗装時によく集まってきます。

図3:スプレー方式での水洗ブース

図3:スプレー方式での水洗ブース(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.29)

ブツの対策

日常できる対策は、3つあります。まずは、塗装前に必ず塗料をろ過することです。他に、静電気対策と、周りの空気を帯電させる対策があります。

静電気対策:一般的に、ほこりは動くたびに帯電し、正、負の電荷を持ちます。静電気により、塗装面に付着しやすくなります。湿度が低いと帯電しやすいので、床に水をまき加湿します。作業者には、通電靴と帯電しにくい木綿製の服の着用を義務付けます(図4)。図5に示す帯電列から、木綿や絹は帯電しにくいことが分かります。作業者がほこりを身に着けないことが肝心です。

図4:静電気対策

図4:静電気対策(引用:中道敏彦・坪田実、トコトンやさしい塗料の本、日刊工業新聞社、2008年、P.47)

図5:帯電列

図5:帯電列(引用:坪田実、塗料・塗装のトラブル対策、日刊工業新聞社、2015年、P.154)

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 垂れ・たるみ:塗料が流れる欠陥

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

ピックアップ記事

tags