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ばねの種類と特徴:ばねの基礎知識1

ばねの基礎知識

更新日:2018年4月13日(初回投稿)
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

ばねは、ねじの次に使用頻度の高い機械要素です。自動車や自転車からデジタルカメラ、ボールペンなど、身近な機械製品、精密機器、日用品に使われています。そして、ばねに関する実践的な知識も、機械設計には不可欠です。技術者が押さえておきたい、ばねの基本を解説します。第1回では、ばねの種類や加工法を説明します。

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1. ばねの種類と特徴

機械要素には、ねじ、ばね、軸、軸受、ベルト、チェーン、カム、リンク機構など、多くの種類があります。ばねは、ねじに次いでよく使われます(参考:機械要素の学び方、ねじの基礎知識1)。当事務所のクライアント企業の協力を得て、ばねの使用頻度を調べたところ、コイルばねと板ばねの利用が多く、全体の65.1%を占めていました(図1)。

図1:ばねの使用頻度ランキング

図1:ばねの使用頻度ランキング(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.153)

代表的なばねを、簡単に紹介します。コイルばねとは、線材(各種素材あり)をつる巻き(コイル)状に巻いたばねのことです。板ばねとは、金属板の弾性変形によるエネルギー吸収と、復元によるエネルギー放出を利用したばねです。1枚の板でできているシンプルな平板ばね、複数枚を重ねた重ね板ばねがあり、板の厚さも用途によって幅があります。トーションバーとは、棒状の金属をひねった時の反発力を利用したばねです。自動車のサスペンションなどに使われています。皿ばねとは、中央に穴の開いた円盤状の板を、薄い円すい型に変形させたものです。平たい形状なので、大きな荷重を受けることができます。ねじの緩み防止の座金、ボールベアリングのガタを抑える部材として使用されます。

次に、表1のばねの呼称を見てみましょう。コイルばねは、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばねの3種類に大別できます。これらは教科書や専門書に記載される正式名称で、実際には、現場用語で呼ばれることも多くあります。表1内の太文字の表記は、特に現場でよく使われる呼称です。正式名称だけでなく、現場での呼称も覚えておきましょう。

表1:ばねの呼称一覧表(太字は現場で主流の呼称。引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.153)
専門書の呼称 現場用語 英語での呼称
圧縮コイルばね ばね、圧縮ばね
コンプレッションばね
コンプレッション・スプリング
Compression Spring
引張コイルばね 引張ばね
テンションばね
テンション・スプリング
Tension Spring
Extension Spring
ねじりコイルばね ねじりばね
トーションばね
トーション・スプリング
Torsion Spring
板ばね 板ばね Flat Spring
トーションバー トーションバー Torsion Bar

2. コイルばねの種類と用途

コイルばねは、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばねの3種類に大別できます。各コイルばねについて、詳しく解説します。用途に注目すれば、意外と身近な製品にも組み込まれていることが分かるでしょう。

1:圧縮コイルばね

圧縮コイルばね(圧縮ばね)とは、ばねが圧縮する方向に荷重を受けると、反発力が発生するコイルばねのことです。等ピッチコイルばねと、円すいコイルばねの2種があります(図2)。等ピッチコイルばねは、自動車のサスペンション、ノック式ボールペン、スプリングベッド、スーツケースのキーロックなどに使用されます。円すいコイルばねは、電池ケース内の接点ばね(マイナス側)、フットスイッチ、省スペース用ばねなどに使用されています。

図2:圧縮コイルばね

図2:圧縮コイルばね

2:引張コイルばね

引張コイルばね(引張ばね)とは、ばねが伸張する方向に荷重を受けた時に、反発力が発生するばねのことです。ばねの両端に、垂直方向のフック部が付いた形状です(図3)。自転車のスタンド、自動車のハンドルブレーキと後輪のブレーキ間、回転ブレーキ、計量器などに使用されています。

図3:引張コイルばね

図3:引張コイルばね

3:ねじりコイルばね

ねじりコイルばね(ねじりばね)とは、コイルが中心軸周りにねじりモーメントを受けた時に、反発力が発生するコイルばねです。ばねの両端が水平方向に延びたかたちで、両端にフック部があるものと、ないものがあります(図4)。回転式ドアロック、デジタルカメラの回転式電池ぶた、穴あけパンチなどに使用されています。

図4:ねじりコイルばね

図4:ねじりコイルばね

3. コイルばねの加工法

コイルばねの加工法を見てみましょう。各種コイルばねは、ばね専用の材料を線状に加工したもの(線材)を用いて製造します。代表的な線径は、φ0.1~14mmです。図5は、生産数が少ない場合のコイルばね(圧縮ばね、引張ばね)の生産工程を、簡易的に解説したものです。

図5:コイルばね(圧縮ばね、引張ばね)の加工工程

図5:コイルばね(圧縮ばね、引張ばね)の加工工程(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.155)

工程1・線材を加工機にセット、工程2・コイリングを詳しく見てみましょう。生産数が少ない場合や、大量生産品の試作の場合は、旋盤によく似た加工機にシャフトをチャッキング(固定)し、シャフトの外周に手作業で線材を巻いていきます(図6)。コイリング作業は常温で行われ、これを冷間加工と呼びます。大量生産の場合、線材の供給から取り出す際の線材のカッティングまで、全自動化されています。

図6:手作業によるコイリング

図6:手作業によるコイリング(ばねの少量生産や、ばねの試作のほとんどがこれで製造されている)

冷間加工の圧縮ばねの場合、工程3・フォーミングマシン、工程4の焼入れ・焼戻しを飛ばし、工程5の低温焼なましに入ります。ここで残留応力を除去し、工程6で圧縮ばねの端部に研削を施します。線径がφ0.16~1.0と細い圧縮ばねの場合は、クローズドエンド(研削なし)が多いです。これに対し、線形がφ1.0以上では、クローズドエンド(研削あり)が多くなります。クローズドエンドとは、ばねの端部の巻だけ角度を変える巻き方のことです。この後は、圧縮ばねも引張ばねも共通で、ショットピーニング、低温焼なまし、セッチング、検査を経て完成です。

加工工程で着目すべきは、へたりを防止するための工程が複数設けられていることです。図5では、全10工程のうち、5、7、8、9の4工程がへたり防止のための工程です。つまり、コイルばねはへたりやすいのです。ここが、製造工程から学ぶ実務知識です。

4. 引張コイルばねの種類

引張コイルばね両端のフック形状は、多岐にわたります。形状ごとに、注意点も異なります。引張コイルばねの代表的な形状は、丸フック、逆丸フック、半丸フック、Vフック、Uフック、角フックの6種です(図7)。

図7: 引張コイルばねの各種フック形状と実務知識

図7: 引張コイルばねの各種フック形状と実務知識(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.159)

図7にも記述したとおり、引張コイルばねのフック部は破断しやすく、トラブルが慢性的に起きています。フック部の安全率を、通常の3倍以上に設定している企業もあります。こうした知識を深め、用途ごとに最適な機械要素を選べるようになりましょう。

いかがでしたか? 今回は、ばねの中でも使用頻度の高いコイルばねを中心に解説しました。次回は、板ばねの種類と加工法を学びましょう。お楽しみに!

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