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撹拌翼の選定:撹拌の基礎知識2

撹拌の基礎知識1

更新日:2020年9月4日(初回投稿)
著者:東洋大学 名誉教授 川瀬 義矩

前回は、撹拌の目的と撹拌装置について解説しました。今回は、撹拌翼の選定基準について解説します。撹拌槽の設計において最も重要なのは、撹拌翼の選定です。撹拌翼には多くの種類があり、その中から、混合の目的にかなった流動(吐出流力)と剪(せん)断力を作り出すものを選定しなければなりません。そのためには、撹拌翼が作り出す流動と剪断力の特徴を十分に理解する必要があります。

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1. 撹拌翼の種類

撹拌翼の種類は多様です。商品名も含め、さまざまな名称があります。撹拌(回転)翼は、図1にまとめたように、低粘度高速小型撹拌翼と、高粘度低速大型撹拌翼、そしてその中間の中粘度撹拌翼に大別されます。

図1:代表的な撹拌翼の種類

図1:代表的な撹拌翼の種類

低粘度高速撹拌翼として広く使われているのは、ディスクタービン翼とプロペラ翼です。ディスクタービン翼は、4枚羽根と6枚羽根がよく使われ、羽根がディスクに対して垂直に取り付けられているフラットディスクタービン翼と、ディスクに対して傾斜して取り付けられているピッチドディスクタービン翼があります。翼径Dは槽径Tの約1/2~1/3です。

高粘度低速大型撹拌翼としてよく用いられるのは、ヘリカルリボン翼です。翼径は槽径の9/10以上にもなる大きいものも使われます。

2. 撹拌翼の選定基準

低粘度高速撹拌翼の場合、異相系(気液系、固液系、液液系などで、単一の液相ではない系)を除いて、選定における問題は特にありません。複雑な構造の撹拌翼はなるべく避け、流動特性がよく分かっているディスクタービン翼や、プロペラ翼など、標準的に使われている翼を用います。混合特性についての多くのデータが発表されているため、設計しやすい利点があります。異相系の場合は、気体や固体などの分散を促進するために、その目的に適した流動特性の撹拌翼を選定する必要があります。

撹拌槽の設計でトラブルになるのは、取り扱う流体が高粘度あるいは非ニュートン流体(詳細は次回以降で解説します)である場合です。つまり、撹拌翼の選定における重要なパラメータの一つは、液粘度です。図2は、液粘度と撹拌槽体積による撹拌翼の選択を示しています。撹拌翼の選定の目安になります。

図2:液粘度による撹拌翼の選択

図2:液粘度による撹拌翼の選択

撹拌翼の選定におけるもう一つの重要な要素は、撹拌翼により作られる剪断力と流動特性(流れの強さと方向)です。ポイントは、多様な撹拌の目的において剪断力、あるいは吐出流力のどちらが重要なのかということです(第1回 表1を参照)。例えば、乳化などで大きな剪断力がほしい場合は、高回転で運転でき、小型で高剪断力を作る翼を選択することになります。微生物の培養の場合、動物細胞は細胞壁を持たないため剪断損傷が起こりやすく、また高剪断力により糸状菌などの形態が変化しまうことがあるので、高剪断力は避けつつ、培養槽内の十分な混合が取れる撹拌を考えなければなりません。撹拌槽内の均一化を促進するには、強い吐出流力により、大きな循環流を作る翼を選択します。

3. 目的に合った撹拌翼

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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