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トランスミッションの機能と種類:トランスミッションの基礎知識4

トランスミッションの基礎知識

更新日:2020年10月7日(初回投稿)
著者:金沢工業大学 工学部 機械工学科 教授 長沼 要

前回は、駆動方式によって分類されるパワートレインと、トランスミッションとの関係を解説しました。現在、トランスミッションにはMT(マニュアルトランスミッション)、AMT(オートメイテッドマニュアルトランスミッション)、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)、SAT(ステップオートマチックトランスミッション)、CVT(無段変速トランスミッション)など、コンベンショナルなエンジンに搭載されるものだけでも多くの種類があります。これらは、何らかの基本要素の組み合わせによって構成されています。今回は、その基本となる要素について説明します。それらの基本要素は同時に、トランスミッションの持つ基本機能の実現手段でもあります。

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1. 駆動の伝達と切り離し

前回の説明で、トランスミッションとはパワーユニットが発する回転力(トルク)を変化させ、自動車の走行状態に応じてタイヤに要求される駆動トルクに合わせる機能であることを理解しました。そして、さらに発進・停止のため、あるいは変速するために、タイヤとパワーユニット間の駆動を切り離すための機能も必要です。そこで、この駆動を伝達したり、切り離したりするものには、どのような種類があるのかを見ていきましょう。まずは、クラッチとトルクコンバータについて紹介します。

クラッチとトルクコンバータは、エンジントルクをトランスミッションに最初に伝えるところを指します。クラッチとは、向かい合う2枚の摩擦板を押し付けたり離したりすることで、駆動の切り離しと接続を切り替えます。とてもシンプルな構造で、マニュアルトランスミッションに使われます。もう1つのトルクコンバータは、向き合う2つの羽根車のようなものが粘性のある流体内に封じ込められており、その流体の粘性によってトルクを伝達します(図1)。

図1:トルクコンバータのカットモデル

図1:トルクコンバータのカットモデル

伝達は常に粘性によって行われるため、厳密な意味での切り離しはできないものの、入力側と出力側の回転数差によって一方を停止させることが可能なので、その状態を切り離しの状態としています。また、切り離しや接続だけでなく、発進時の特性にも適していることから、トルク増幅機能を兼ね備えたトルクコンバータが使用されます。実は、これだけでトランスミッションに求められる、ある程度の限定された機能は満たしているといえます。しかし、トルクコンバート機能は、発進直後以外はギアが受け持つため不要となるばかりか、伝達ロスを伴ってしまうので、ロックアップ機能で機械的に接続する装置が追加されます。

2. 有段変速と無段変速

変速の仕方には、有段変速と無段変速があります。有段変速は、噛(か)み合うギアの歯数の組み合わせを変えて行います。トルクの比率は、回転数の比率とは逆になります。つまり回転数が1/4に減速される場合、トルクは4倍となります。エンジントルクが100Nm(ニュートンメートル)だとすると、トランスミッション出口では400Nmです(厳密には、駆動ロスがあるため少し減ります)。ちなみに、タイヤに伝わるドライブシャフトのトルクは、さらにファイナルギア比が影響するので大きくなります。この組み合わされるギア比の選択肢で、何速変速となるかが決まります。最新の乗用車では10速もあり(図2)、トラックなどでは20速なども存在します。有段変速には、変速時のショックなどのデメリットが存在するものの、昨今の多段化とエンジン制御との連携制御によってほとんど気にならなくなってきています。

図2:10速RWDオートマチックトランスミッションのカットモデル

図2:10速RWDオートマチックトランスミッションのカットモデル

一方、この変速比を無段階にするのが、無段変速です。ベルトでつないだ2つのプーリ(ベルトからの動力を伝えるのに活躍する円盤状の部品)の接触半径を変化させることで、入力側と出力側の回転差を変えるものです。かつてはトロイダル形状の接続装置を使うタイプも存在しましたが、現在はベルト式が主流です。耐力の問題で大トルク対応が困難であり、また高回転時の伝達ロスが大きいなどのデメリットがあるものの、低回転時の伝達効率の高さとエンジン高効率点での運転制御の可能性の高さから、小型車を中心にこの仕様のものが多くなっています。機能面で考えると、もちろん無段変速の方が優勢です。それは、燃費面において、エンジンの最大熱効率点での運転頻度を高くできるからであり、動力性能面において最大出力での運転頻度を高くできるからに他なりません。しかし、人間の感性は理性(理論)とうまく噛み合わないようで、加減速とエンジン回転増減が連動しないと気持ち悪く感じる人が多いのです。この感覚はラバーバンドフィールと表現され、あまり好意的には受け取られていないようです。そこで、無段変速においても、あえて回転変化を持たせるような制御を行うことも珍しくありません。

3. ギアの種類による分類

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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