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廃棄物の発生とリサイクルの現状:廃棄物リサイクルの基礎知識1

廃棄物リサイクルの基礎知識

更新日:2017年1月26日(初回投稿)
著者:株式会社プリディクション郷事務所 兼 化学工学会SCE・Net 郷 茂夫
編集:株式会社イプロス Tech Note編集部

廃棄物問題は誰にとっても身近なもので、最適な答えを見つけることは難しい問題です。現在、国の施策は循環型社会の実現を標ぼうしています。しかし、日々の廃棄物排出は、やみません。基礎知識の第1回は、廃棄物の排出量とリサイクルの現状を振り返ります。

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1. 物質フローと評価指標

リサイクルを考える前に、私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているか物質のフロー(流れ)を確認します。図1は、2000年と2013年の日本の物質フローを示しています。

図1:我が国における物質フロー

図1:我が国における物質フロー(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、2016年、P.169)

図1では、以下に注意してください。1つは、このフローは量(トン)の収支で、金額ではありません。次に、2000年から2013年の大きな変化は、蓄積純増の量が約半分になっていることです。これは、社会に蓄積する耐久消費財の製造や構造物の建設が大幅に減ったことを示しています。もう1つは、表1のように、廃棄物などの発生が出口で、表1の4つに分かれることです。2000年に対し2013年では、最終処分量と減量化量が減り、循環利用量は増えました。

表1:廃棄物など発生の出口
自然還元・農業から排出される稲わら、麦わら、もみ殻など、直接農地へのすき込みを行った量や畜舎敷材として利用後に還元された量。
・家畜ふん尿のうち、処理されずに農地に還元されている量。
減量化廃棄物処理を目的に、中間処理で減量した量。廃棄物を燃焼させて減量した場合、この項目に含まれる。
最終処分直接や中間処理後に、最終処分された廃棄物の量。
循環利用後述。

環境省は、さまざまな物質フローの評価指標を設定しています。具体的には、物質フローの3つの切り口(資源生産性、循環利用率、最終処分量)における、2020年に達成すべき目標値を設定しています。その数値目標は、資源生産性で46万円/トン、循環利用率で17%、最終処分量で1,700万トンとなっています。計算式は、以下のとおりです。

資源生産性(万円/トン)=GDP(万円)/天然資源などの投入量(トン)
循環利用率(%)=循環利用量(トン)/{天然資源などの投入量(トン)+循環利用量(トン)}
最終処分量:物質フローの最終処分量

図2図3図4に各指標の経年実績と先の達成目標を示します。

図2:資源生産性の推移

図2:資源生産性の推移(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、2016年、P.170)

図3:循環利用率の推移

図3:循環利用率の推移(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、2016年、P.170)

図4:最終処分量の推移

図4:最終処分量の推移(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、2016年、P.170)

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2. 廃棄物の処理状況

ここでは廃棄物の種類と処理の流れ、処理の状況を見ていきます。

廃棄物の種類

まず、廃棄物の種類を簡単におさらいします。詳しくは第2回で解説します。廃棄物は、大きく産業廃棄物と、一般廃棄物の2つに分けられています。産業廃棄物とは、事業活動により生じた廃棄物のうち、廃棄物の処理および清掃に関する法律施行令で定められた20種類です。一方、一般廃棄物とは産業廃棄物以外の廃棄物を指し、家庭から発生する家庭系ごみのほか、オフィスや飲食店から発生する事業系ごみも含みます。

図5:廃棄物の種類

図5:廃棄物の種類(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、平成2016年、P.171)

廃棄物処理の流れ

捨てられた廃棄物の処理は、どのように進むのでしょうか。処理の流れを大まかに見てみます(図6)。廃棄物が排出されると、分別、保管、収集運搬、再生、中間処理および最終処分の流れで処理が行われます。廃棄物処理法では、これらを一括して「処理」と定義し、中間処理および最終処分を「処分」と定義しています。中間処理は、廃棄物を減量・減容化、安定化、無害化、資源化することであり、最終処分は、埋め立てや海洋投入により最終的に処分することです。処分の2つの用語の違いをしっかりと認識してください。

図6:廃棄物処理の流れと、廃棄物処理法上の用語の定義

図6:廃棄物処理の流れと、廃棄物処理法上の用語の定義

廃棄物処理の状況

廃棄物の処理状況の要点を、種類別に説明します。

・一般廃棄物(ごみ)
大まかに見ると、ごみ排出量(平成26年度)は 4,432万トンで、内訳は、総資源化量913万トン、中間処理による減量化量3,091万トン、最終処分量430万トンです。ちょうど70%が減量化量となっています。事前に分離したリサイクルするものと、焼却残さや(真の)不燃ごみ量の和が30%となります。

・一般廃棄物(し尿)
浄化槽人口と非水洗化人口が、全体の約30%です。水洗化が進み、し尿・浄化槽汚泥の量は年々減少しています。(下水道終末処理場から排出される下水汚泥は産業廃棄物として計上)

・産業廃棄物
産業廃棄物量は、減ってはいるものの、年間3億8,464万トン(平成25年度)です。一般廃棄物量と比べて、圧倒的に多い量です。内訳は、再生利用量2億757万トン、中間処理による減量化量1億6,751万トン、最終処分量1,172万トンです。44%が減量化量となっています。排出量が多い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、農業・林業、建設業となっています。(この上位3業種で総排出量の約7割を占めています)

3. リサイクルとは?

リサイクルに対する考え方の変化

まずは、リサイクルに関する最近の3つの変化に触れておきます。

1つ目は、循環資源についての取り組みのうち、リサイクル(廃棄物を資源として再び利用すること)に重点が置かれ、リデュース(モノを大切に使ってごみを減らすこと)やリユース(使えるものを繰り返し使うこと)が不十分ということです。リデュースとリユース(この2つを2Rと呼ぶことがある)をより推進する必要があると認識されています。

2つ目は、サーマル・リサイクル(燃焼により、熱エネルギーとして回収すること)の選択幅とリサイクル優先度を上げたことです。

3つ目は、デカップリングの認識が広まったことです。経済活動(例えばGDP)は、資源の利用量に略比例して発展し、またGDPが増えると、廃棄物の発生も不可避的に増える関係にあるというのが、従来の常識でした。しかし今後は、これらの相関関係を断ち切って(デカップリング)いかねばなりません。

 リサイクル関連の用語

現在、製品や業種ごとに、リサイクルの実績を示す用語や指標がさまざまにあります。それらの名称は、多様で混乱を招きやすく、同じ名称でも、算出方法が少しずつ異なります。こうした状況では、製品や業種を横断した比較は困難です。しばしば、間違って報道されることもあります。特に、リサイクル率の指標は分かりづらく、国が可能な範囲で共通化の検討を進めています。

表2に、よく使われるリサイクル用語の意味をまとめます。また、表3で包装容器とプラスチック廃棄物のリサイクルで、頻出する用語を解説します。

表2:リサイクルの実績を示す用語、指標の定義
再生利用(リサイクル)不用物を処理・加工して、再び有用物として利用すること。再利用、再資源化、再商品化なども、広義のリサイクルに含む。
リサイクル(実行)率ごみ処理量と集団回収量の合計のうち、実際にリサイクルされている割合。廃棄物の種類により定義式は異なる。(集団回収量とは、市町村による用具の貸し出し、補助金の交付により住民団体などに回収された量)
資源(有効) 再利用率再資源化処理量(再資源化プラント搬入後、処理された資源の量)に対する資源再利用量(再資源化プラント搬入後、再利用処理された資源の量)の割合。
リサイクル可能率(期待値)最終製品1個の質量に対して、リユースかリサイクル可能な質量の割合。
再商品化率(収率)再商品化工程投入量に対する、再商品化製品製造量の比率。
再資源化率(リサイクル率、回収再生利用率)原料別、製品別に毎年算出される。
再生歩留まり投入した原料が製品になった割合。意味は、再商品化率に近い。直行率(1度目に良品ができる割合)や原料原単位(単位製品量に対する原料の量)など、会社によっても表現が異なる。
表3:包装容器とプラスチック廃棄物のリサイクルに関わる用語の定義
マテリアル(材料)リサイクルくずや使用済み製品を、原料として再利用すること。基本は単一素材にする必要があり、分別収集、選別、破砕、分離、洗浄、回収の操作を行う。水平リサイクルとアップワード・リサイクル(低いレベルの品質用途向け)とがある。材料再生、再資源化、再生利用などともいう。
メカニカル・リサイクル欧米でのマテリアル・リサイクルの呼称。広義では、ケミカル・リサイクルを含むこともある。
ケミカル・リサイクル使用済みの資源を、化学反応により組成変換した後にリサイクルすること。熱処理により発生する可燃性ガスや可燃油を利用するリサイクルも含む。
サーマル・リサイクル廃プラスチックを焼却して、熱エネルギーを回収したり、固形燃料にしたりする方法。循環基本法において熱回収は、再使用と再生利用に次ぐ循環的利用に位置付けられ、推進されている。2010年の廃棄物処理法改正においても、焼却時の熱利用を促進している。

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4. 廃棄物リサイクルの現状

資源リサイクルの状況

資源リサイクルの量は年々増加しています。国は目標値を掲げて、リサイクルを進めています。リサイクルできない廃棄物は、焼却後その灰が埋め立てられます。直接埋め立てられる分も加えた最終処分(埋め立て)量は減少しているものの、それでも年間1,900万トン(1分あたり36トン)が埋め立てられています。

分野、対象品ごとに、リサイクル状況のポイントを説明します。皆さんの身の回りのものばかりです。なお、容器包装、プラスチックス類のリサイクルは、容器包装リサイクル法と密接に関連しており、第5回で詳しく解説します。

・容器包装
材料によって、状況は異なり、個別製品ごとの正確なリサイクル率は分かりません。PETボトルの再商品化量/分別収集量は、96%。

・プラスチック類
2014年のプラスチックの生産量は1,061万トン、国内消費量は977万トン。有効利用率は、一般系廃棄物が約79%、産業系廃棄物が約87%(プラスチック循環利用協会)。リサイクルされていないものの処理・処分方法は、一般系廃棄物は単純焼却が約15%、埋め立て処理が約6%、サーマル・リカバリーが約7%。産業系廃棄物は、単純焼却が約5%、埋め立て処理が約8%、サーマル・リカバリーが約11%。

・家電製品
家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫および洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、リサイクルをする必要性が特に高い。引き取られた廃家電4品目の台数は、2014年1,086万台。2011年の東日本大震災の後一時的に増えたものの、現在は平均に戻っている。

・建設廃棄物
産業廃棄物の排出量の約2割、不法投棄量の約8割を占めている。リサイクル率は小さい。一定規模以上の工事は、再資源化などが義務付けられている。全体のうち、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材が約8割。この3品目の再資源化が推進されている。

・食品廃棄物
具体的には、食品の製造、流通、消費の各段階で生ずる動植物性残さなどのこと。飼料・肥料への再生利用や、熱・電気に転換するためのエネルギーとして利用できる可能性がある。食品循環資源の再生利用などの促進に関する法律により、その活用が推進されている。

・自動車
カーエアコンのフロン類が回収され、エンジン、ドアなどの有用な部品や部材を回収した後、廃車スクラップされる。有用な金属を回収した際に発生する自動車破砕残さ(ASR:Automobile Shredder Residue)が、自動車メーカーなどによりリサイクルされている。部品のリサイクル率は20~30%、素材リサイクル率は55~60%、ASRのリサイクル率は17% 程度。

・自動車用タイヤ
2014年の排出量105.2万トンのうち、30.6万トンが輸出されている。更生タイヤ台(本体部分)用、再生ゴム・ゴム粉などの原形・加工利用は27.9万トン、製錬・セメント焼成用や発電用としての利用は61.5万トン。

一般廃棄物のリサイクルの状況

一般家庭から出るゴミの量は、減少しているものの、1人1日約1kgを出しています。2014年における最終処分量(直接最終処分量と中間処理後に最終処分された量との合計)、および1人1日当たりの最終処分量は、図7のとおりです。

図7:最終処分量と1人1日当たり最終処分量の推移

図7:最終処分量と1人1日当たり最終処分量の推移(引用:環境省、平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書平成、2016年、P.182)

ごみ処理方法では、直接資源化や資源化などの中間処理の割合は、2014年は18.8%でした。また、直接最終処分されるごみの割合は、減少傾向で1.3%でした。リサイクルの例としては、エネルギー回収(ごみ発電など)、生ごみを対象としたバイオガス化、廃食用油のBDF(Bio Diesel Fuel:バイオディーゼル)利用、木質チップなどがあります。

産業廃棄物のリサイクル状況

産業廃棄物の排出量の推移を、図8に示します。2013年は約3億8,470万トンと推計されました。産業廃棄物の処理の割合は、全体の53%が再生利用、44%が中間処理などでの減量化、3%が最終処分と推計されています。リサイクルの例としては、汚泥、燃え殻、ばいじん、廃油、金属くずをはじめとする廃棄物を原料に、代替燃料やセメントの原燃料、金属原料などの再生資源を製造可能です。

図8:産業廃棄物の推移

図8:産業廃棄物の推移(引用:環境省、産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成25年度実績)について、2013年、P.7)

いかがでしたか? 廃棄物とリサイクルの基礎知識の第1回は、廃棄物の発生とリサイクルの現状を学びました。次回は、廃棄物処理法の前半を解説します。お楽しみに!

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