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短距離無線通信(Wi-Fi)の基礎知識

短距離無線通信(Wi-Fi)の基礎知識

著者:若井テクノロジオフィス代表 第一工業大学 元教授 若井 一顕

有線LANを無線化すると、パソコンや周辺機器などをケーブルなしで接続できます。無線LANが商品化された当初は、異なるメーカーの製品間での相互接続ができず、無線LANの一般普及のために規格の統一が必要とされました。この問題を解決するために設立されたのがWi-Fiアライアンスという組織です。Wi-Fiアライアンスが接続保証した無線LAN製品には、Wi-Fiロゴの使用が認められます。本連載では6回にわたり、短距離無線通信(Wi-Fi)について解説します。第1回の今回は、ネットワークの全体像を紹介します。

第1回:通信ネットワーク

1. ネットワークとは

ネットワーク(通信網)は、通信回線を広く張り巡らしたもので、これにより、データなどの伝送が可能になります。送り側と受け側では、伝送の手順を定める必要があります。これをプロトコル(Protocol)といいます。図1に、通信ネットワークの全体的な構成の一例を示します。

図1:通信ネットワークの一例

図1:通信ネットワークの一例

以下に、通信サービスの種類を紹介します。

・回線交換サービス

電話など、相手を呼び出して通信を行う通信サービスです。距離と接続時間によって課金されます。

・パケット交換サービス

交換機に蓄積されたデータをパケット(Packet)という小さな単位で区切り、短い宛先を付けることでデータを送受信する通信サービスです。データ通信を連続的、間欠的に行えます。料金は距離とパケット量で決まります。

・専用線サービス

特定の区間に専用の通信回線を設けてデータ通信を行う通信サービスです。料金は定額制です。

・IP電話

IP電話(IP Telephony)は、……

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2. LANとは

ネットワークに関連して、LANやWANといった用語をよく目にします。LAN(Local Area Network)は、構内通信網ともいいます。工場や会社、学校など、比較的狭い領域内で、多数のコンピュータを回線で接続して通信を行うことを目的とします。LANには、有線LANと無線LANがあります。WAN(Wide Area Network)は、広域通信網ともいいます。複数のLANを結びつけるなど、広い地域で通信を行うネットワークです。後述するインターネットもWANの一つです。ここではLANの概要を説明します。

ネットワークの接続形態を、トポロジ(Topology)といいます(図2)。トポロジの主な方式と、それぞれの特徴を示します。バス型は、接続する端末の追加や削除が容易で拡張性が高いことが特長です。リング型は、伝送路が短く制御が容易です。また、スター型は、集中管理ができ回線障害が他に影響しません。

図2:LANのトポロジ

図2:LANのトポロジ

最近では、Wi-Fiなどの無線システムが、身近なメディアとして活用されています。しかし、LANに用いられる伝送媒体には、……

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3. インターネットとは

インターネットは、1960年代に、アメリカ国防省の高等研究計画局(ARPA:Advanced Research Project Agency)で研究が開始されたARPAnetから発展したものです。ARPAnetは、中枢となる特定のコンピュータを持たない分散型ネットワークです。このようなネットワーク構築の思想の背景には、核攻撃を想定した場合に中枢となるサーバが攻撃を受けても、破損した箇所を迂回(うかい)して必要な情報伝達機能を維持させる狙いがあったようです。インターネットは分散処理思想に基づいた自律分散システムで、全体の管理者という概念は存在しません。以下に、インターネットの開発、および歴史的背景を示します(表1)。

表1:インターネットの歴史的背景

表1:インターネットの歴史的背景

インターネットのサービスを利用したものには、電子メール、Web、イントラネットなどがあります。

・電子メール

電子メールは、宛先を指定してメッセージを交換するサービスです(図3)。電子メールのアドレスには、(ユーザー名)@ドメイン名を指定します。メールを送信すると相手のメールサーバまでは、……

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第2回:無線通信の仕組み

前回は、ネットワークの全体像を紹介しました。今回は、無線通信の仕組みと変遷、身近な通信方式を解説します。また、高速大容量通信が全盛の時代における高速通信についても取り上げます。

1. 地上波アナログ放送からの変遷

2011年7月、地上波テレビ放送がアナログ放送からデジタル放送に本格移行されました。これにより、視聴者はデジタル放送による良質な画像や音声を享受することができるようになりました。一方で、ソーシャルメディアも著しく発展しています。情報発信の仕方だけでなく、受け手の視聴形態も変化しています。テレビやSNSは、もはや受信するだけではない時代に入りました。視聴者なら誰でも自ら発信でき、時間や場所に縛られることはありません。ソーシャルTVは、100%双方向といううたい文句を掲げています。

・スマートフォンの普及によるマルチメディア

地上波アナログ放送からの変遷に一役買っているのがスマートフォンの普及です。地上波アナログの跡地であるV-High帯は、地上アナログ放送の終了に伴い、未使用帯域となっていました。そこで総務省は、「携帯端末向けマルチメディア放送の実現に向けた制度整備に関する基本的方針」を2009年8月に公表し、無線局の免許や委託放送業務の認定などについての方針を示しました。そして、2012年4月には、地上アナログ終了後のVHF-High(周波数207.5~222MHz)を使った、スマートフォン向けの放送、モバキャスが開始されました。この周波数は電波の伝搬条件がよく、プラチナバンドとも呼ばれます。モバキャスは、ISDB-Tmm(Integrated Service Digital Broadcasting Terrestrial for mobile multimedia)方式を採用したことでも知られています。

マルチメディア発展には、無線LANと携帯電話の伝送速度の進化が大きく影響しています。図1は、無線LANと携帯電話における1Gbpsに至るまでの推移と伝送レートを表します。bps(bit per second)とは、1秒間に何bit(ビット)のデータを転送できるかを示したもので、1Gbpsの場合、1秒間に1ギガビットのデータを送ることができるということになります。無線LANにおいては、1997年に、無線LANの最初の規格IEEE 802.11が策定されて以降の推移です。IEEE 802.11bの最大伝送速度は11Mbpsであるのに対し、IEEE 802.11acの最大伝達速度は1Gbpsになっています。

一方、携帯電話においては、……

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2. 身近に使われている短距離無線通信

短距離無線通信のうち身近なブルートゥース、無線LAN、Wi-Fi、WiMAXについてそれぞれの特色を説明します。

・ブルートゥース(Bluetooth)

ブルートゥースとは、数百mの距離でデータ信号を送る超近距離の無線通信です。最近の携帯電話やスマホには無線LANとともにブルートゥース(Bluetooth)が搭載されています。表1にブルートゥースの伝送諸元を示します。

表1:ブルートゥースの伝送諸元

表1:ブルートゥースの伝送諸元

ブルートゥースは、2.4~2.5GHzの広い周波数帯を1MHzごとに分けて79個のチャンネルを作り、使用するチャンネルを625μsecごとに切り替えて信号を送る周波数ホッピングという方式を用いています。上り信号と下り信号は同じ周波数を用いて、時間的に交互に切り替えて送るTDD(Time Division Duplex)方式です。ブルートゥースの伝送速度は通常1~3Mbpsなので、情報量は少なく、使用できるのは音声伝送やハンズフリーに限られます。なお、Bluetooth 3.0+EDRという方式の伝送速度は、最大24Mbpsとされています。主に、イヤホンやスピーカー、キーボードやマウスに応用されています(図3)。

図3:ブルートゥースの応用例

図3:ブルートゥースの応用例

ところで、ブルートゥースという名称の由来を知っていますか? 10世紀ころ、デンマークにハラルドという王がいました。ノルウェーも治下にあり、その方法は武力ではなく、対話と協調によるものと伝えられています。この王は肌の浅黒い権力者(Blatand)と呼ばれ、これを現在の英語に置き換えるとBluetoothに当たるとか、王の歯が青かったのでBluetoothと呼ばれたなど諸説あるものの、こうした王の功績にちなみ、乱立していたコンピュータ業界とテレコム業界をつなぐ新しい技術はブルートゥースと命名されました。

無線 LAN

無線LANとは、LANケーブルを必要としない通信技術をいいます。LAN(Local Area Network)は、……

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3. 高速通信の要

・多相化のメリット

近年のデジタル伝送には、QAM(Quadra Amplitude Modulation)やOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)が使用されるケースが多いようです。QAMは、位相方向の伝送に加え、振幅方向にも変化を与えるものであり、64QAMであれば6bitの情報伝送が可能です。1本のキャリアが64通りの情報形態を持つことになるため、高画質の伝送に利用されます。

ちなみに、地上デジタル放送で用いられている方法はOFDMです。単純に地デジのOFDMキャリア間隔が約1kHz、キャリア総数が約5,600本、全てのキャリアを64QAMにすると、1キャリアの伝送ビットは6bitなので、伝送レートは、1(kHz)×5,600(本)×6(bit)=33.6Mbpsとなります。かなり大まかな計算にはなるものの、これにガードインターバルや、誤り訂正の符号化率(内符号、外符号)で割り引くと、実際の地デジでは、情報レートで約20Mbpsは13セグメントで伝送できそうです。

比較するために、シングルキャリアをデジタル変調で33.6Mbpsを伝送する場合のキャリア間隔を計算してみましょう。この場合、33.6(Mbps)÷6(一応64QAMとして)=5.6MHzとなります。OFDMであれば1kHzの符号長であったものが、シングルキャリアでは5.6MHzとなるため、その逆数としての時間比較では、それぞれ1msec、17.9μsecと大きな違いとなります。これは、ゆっくり送ったデジタル信号の方が、符号間干渉(直接波と遅延波の重なり)などには強いという、OFDM伝送の優位性の説明になります。

・LTE

3.9G(GはGenerationの意)以降の携帯電話に用いられるのがLTE(Long Term Evolution)です。3.9Gとは、……

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第3回:LANの仕組み

前回は、無線通信の仕組みとその変遷、身近な通信方式を紹介しました。今回は、LANの仕組みとWi-Fiについて解説します。

1. イーサネットとは

LANは、イーサネット(Ethernet)によって構築されます。イーサネットは、アメリカの企業によって1980年に開発されたLAN規格で、1983年に標準化されました。接続形態には、基本的に1本の回線を複数の機器で共有するバス型が用いられます(第1回、図2参照)。

理論物理学の世界では、20世紀初頭まで、エーテル(Ether)という光を伝える媒体の存在が信じられていました。宇宙空間を電波などが伝搬するには、空間がエーテルで満たされている必要があると考えられていたのです。イーサネットの語源は、このエーテルだといわれています。

20世紀になり、……

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2. LANとWAN

LAN(Local Area Network、構内通信網)は、工場や会社、学校など、同一建物の比較的狭いエリアに分散した多数のコンピュータや端末、補助記憶装置を、私設回線で接続して通信を行うネットワークタイプです。LANの接続形態(トポロジ:Topology)には、スター型、バス型、リング型があります(第1回、図2参照)。また、LANの種類には、有線LANと無線LANがあります。

WAN(Wide Area Network、広域通信網)は、LANとLANを結び、電話回線などを利用して広域で通信を行うネットワークタイプです。インターネットもWANの一つです(図1)。

図1:LANとWAN

図1:LANとWAN

LANとLANを接続する装置には、ハブ、リピータ、スイッチングハブ、ルータ、ゲートウェイなど、さまざまな種類があります。

・ハブ(Hub)

ハブはLANの伝送路を延長する集線装置です(図2)。4~12個のポートを持つものが多く、スター型に接続します。ハブという言葉を聞いて、ハブ空港を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。海外の各所に発進するための中心となる空港です。例えば、韓国の仁川空港は、アジアでも指折りのハブ空港です。仁川空港へ乗り入れているフライトの就航都市は、全世界で60か国、214都市に上ります。参考までに、日本の成田国際空港は39か国、111都市です。仁川空港は、日本の約2倍の都市をつないでいることになります。このように、ハブという言葉には、通信や交通が集中する場所という意味があります。

図2:ハブ

図2:ハブ

・リピータ(Repeater)

リピータもLANの伝送路を延長するために用いられます(図3)。伝送路の途中でデータの信号を増幅・整形します。

図3:リピータ

図3:リピータ

・スイッチングハブ(Switching Hub)

……

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3. 無線LAN

無線LANは、ケーブルの代わりに電波を使って通信するLAN方式です。ケーブルを配線する必要なく設備を増設できます。規格は、IEEE 802.11bや、より高速なIEEE 802.11a、11g、さらに高速な11nが普及しています。近年では11ac、11axといった新たな規格も登場し、さらなる進化を遂げています(表1)。

表1:Wi-Fi規格と伝送容量
ナンバリング規格 規格名 周波数帯 最大速度
IEEE 802.11a 5GHz帯 54Mbps
IEEE 802.11b 2.4GHz帯 11Mbps
IEEE 802.11g 2.4GHz帯 54Mbps
Wi-Fi4 IEEE 802.11n 2.4GHz帯
5GHz帯
600Mbps
Wi-Fi5 IEEE 802.11ac 5GHz帯 6,900Mbps
Wi-Fi6 IEEE 802.11ax 2.4GHz帯
5GHz帯
9,600Mbps

IEEE 802.11nでは、高速なデータ伝送を実現するために新しい技術が導入されました。主な技術として、複数のアンテナを使用するMIMO(マイモ)や、隣り合った2つのチャンネルを結合して転送に使用するデュアルチャンネルが挙げられます。

2020年3月には、新しい移動通信システム5Gが始まりました。5Gでは、モバイル通信の高速化・大容量化により、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)サービスを実現します。

モバイル通信の高速化・大容量化には、さまざまな課題が伴います。例えば、……

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第4回:インターネットの仕組み

前回は、LANの仕組みとWi-Fiについて取り上げました。今回は、インターネットの仕組みとビジネス展開、クラウドコンピューティングについて解説します。

1. TCP/IPからインターネットの普及まで

コンピュータがインターネットに接続して、サービスを享受するには、一定のプロトコルが必要です。インターネットでは、TCP/IPというプロトコルを使用します。TCP/IPは、TCP(Transmission Control Protocol)とIP(Internet Protocol)を組み合わせた通信規格です。

今日のインターネットは、1960年代にアメリカのARPA(Advanced Research Projects Agency:高等研究計画局)のARPAnetから発展しました。核攻撃に耐える信頼性の高いネットワークの実現を目指して、集中処理形態ではないネットワーク構築です。当初は1822プロトコルでスタートして1980年代、NSF(National Science Foundation:アメリカの国立科学財団)は、TCP/IPをインターネットの正式プロトコルに採用しました。TCP/IPは、パケット通信を用いたネットワーク方式です。2層構造のプロトコルを用いて、データの送信手順、エラーチェック、宛先指定、伝送速度を決め、データを小分けにしたパケット(小包)という単位で伝送します。

また、WWW(World Wide Web)とブラウザにより、ネットワークにつながれたコンピュータ情報を相互に参照できるようになりました。WWWは、スイスのCERNに勤務していたイギリスの科学者である、ティム・バーナーズ・リーにより開発されました。彼は、研究に関係のある文献やデータを1つのコンピュータに集め、その文書同士をリンクさせる仕組みを作りました。これが、WWWの始まりだといわれています。その後、Netscape、Internet Explorerなどは、……

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2. インターネットへの接続

インターネットに接続するには、回線事業者とプロバイダのサービス提供が必要です。NTTなど、通信のインフラを提供する事業者を、回線事業者といいます。これに対し、プロバイダを、インターネット接続サービス事業者(ISP: Internet Service Provider)といいます。

・回線事業者とプロバイダの関係

プロバイダとは、提供者、供給者という意味です。インターネットに接続するサービスを提供・代行する業者を指します。また、インターネットに接続するには、通信事業者が提供する光ファイバー、ADSL、CATVなどの有線通信回線、またはWiMAXやLTEなどの無線通信回線といった通信インフラと、その中継役となるISPとの契約が必要です。ISPは、インターネット接続に必要なサーバへの回線提供の他、IPアドレスの発行、メールアドレスの発行・管理、ウイルスチェックなども行っています。

インターネットの普及に伴い、さまざまなサービスを提供するプロバイダが増えています。アプリケーションを提供するアプリケーションプロバイダーや、ニュース配信を行うインフォメーションプロバイダー、情報を作成するコンテンツプロバイダーなどです。また、携帯端末が普及する中、……

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3. インターネットのビジネス展開

電子データ交換によって、取引先企業とのオンライン取引など、計画的販売によるコスト低減が可能になります。少し懐かしい言葉としてCALS(Commerce at Light Speed)があります。CALSは、製品やサービスの情報を共有し、全てをネットワーク上で行うための標準規格です。

もともと、CALSはアメリカ国防総省が軍用資材調達の支援システムとして始まったもので、現在では、製品の設計、開発、受発注、生産、流通情報などのデジタル化を意味します。コスト削減や、期間の短縮などにも、この思考が活用されています。その後、CALSは幅広い可能性が認められ、軍だけではなく民にも拡大されていきました。さらにインターネットの普及とともに、企業にも取り入れられていきました。

・企業におけるインターネットの利用

複数の企業間でイントラネットを相互接続したネットワークを、エクストラネット(Extranet)といいます。エクストラネットでは、電子商取引(EC:Electronic Commerce)や電子データ交換(EDI:ElectronicData Interchange)などをリアルタイムに行うことができ、取引の効率化を図ります。

電子商取引には、以下の形態があります。

  • BtoB(Business to Business):企業間取引
  • BtoC(Business to Consumer):企業と消費者間取引
  • CtoC(Consumer to Consumer):消費者同士の取引
  • PtoP(Peer to Peer):個人間の取引

なお、ビジネス誌などでは、B2B、B2Cなどと表記される場合があります。

電子データ交換は、……

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4. クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティング(Cloud Computing)は、コンピュータの機能や処理能力、ソフトウェア、データなどを、インターネットなどの通信ネットワークを通じてサービスとして呼び出し、遠隔から利用します。そのようなサービスやシステムを、クラウドサービス、クラウドシステムと呼びます。クラウド(Cloud)は雲という意味です。そのため、クラウドコンピューティングを、雲型の絵記号で表すことがあります(図2)。

クラウドコンピューティング

図2:クラウドコンピューティング

サービスの提供者は、大規模なデータセンターなどに多数のサーバコンピュータや通信機器などを用意します。契約者(利用者)は、インターネットなどの広域回線網(WAN)を経由して、遠隔でシステムを操作します。そのため、契約者は登録されるとすぐに、用意されたシステムの提供する機能や資源にアクセスし、使用できます。契約者は、機器やソフトウェアの買い切りをせず、通信回線のように利用期間や利用実績に応じて料金を支払い、サービスを利用します。

クラウドコンピューティングは、配置形態により、……

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第5回:Wi-Fiの規格

前回は、LANの仕組みとWi-Fiについて紹介しました。今回はWi-Fiの規格を取り上げます。また、IEEEなど、技術の標準化を行う組織も紹介します。

1. 規格と特徴

・IEEE 802.11について

IEEE(アイ・トリプル・イー:Institute of Electrical and Electronics Engineers)とは、アメリカに本部を置く電気・情報工学分野の学術研究団体です。IEEEには、さまざまな技術の標準化を行うSA(Standard Association)という組織があります。

IEEE 802はLMSC(LAN/MAN Standards Committee)とも呼ばれ、LAN/MAN(Local Area Network/Metropolitan Area Network)の標準化を行う組織です。802は、LMSCが設立された日付にちなんで付けられました。

また、IEEE 802.11は無線LANの標準化を行う作業部会(Wireless Lan Working Group)です。IEEE 802.11の中には、TG(Task Group)、SG(Study Group)、TIG(Topic Interest Group)、SC(Standing committee)が設けられています。図1にIEEE 802.11の位置付けを示します。

図1:IEEE 802.11の位置付け

図1:IEEE 802.11の位置付け

実際に標準を作るのがTGです。表1に、現在活動しているTGを示します。

表1:現在活動中のTG
TGax High Efficiency Wireless LAN
TGay Next Generation 60GHz
TGaz Next Generation Positioning
TGba Wake up Radio
TGbb Light Communications
TGbc Enhanced Broadcast Service
TGbd Enhancements for Next Generation V2X
TGbe Extremely Hight Throughput
TGmd Maintenance/Revision

通信には必ず通信の相手方がいます。さまざまなメーカーの機器が通信を行うには、……

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2. 自宅やオフィス以外でWi-Fiを使う

・Wi-Fiでつながる施設

Wi-Fiは自宅やオフィス以外でも使えます。駅、空港、バス、航空機、カフェやコンビニなどには、各キャリアのユーザー向けのサービスや、誰でも使えるフリーのWi-Fiがあります(図3)。

図3:Wi-Fiでつながる世界

図3:Wi-Fiでつながる世界

・テザリング(Tethering)

テザリングとは、牛馬をつなぐ鎖とか足かせの意味です。機能的には、……

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3. 公衆無線LAN(Free Wi-Fi)とは

公衆無線LANとは、公共の場所であるカフェやコンビニなどの店内で誰でも利用できるよう無料で提供されたWi-Fiスポットのことです。FreeWi-Fi、無料Wi-Fiスポットなどと呼ばれることもあります。

リモートオフィスなどでネットを利用したいという人のために、主要なカフェには、公衆無線LANのサービスの利用があります。スターバックス、ドトール、タリーズ、プロント、ルノアールの5社について紹介します。

・スターバックス

ワイヤ・アンド・ワイヤレス社が提供するWi2サービスで、ネット接続が可能です。会員登録を行うことで、以降は簡単に接続できる無料サービスです。電波を探す際のSSIDは、「at_STARBUCKS_Wi2」です。

・ドトール

ワイヤ・アンド・ワイヤレス社のWi2サービスを利用できます。最初にメールを送信して、ゲストとして登録すれば、以後3時間無料で利用可能です。店舗によって導入しているところと、そうでないところがあります。電波を探す際のSSIDは、「Wi2premium」です。

・タリーズ

特に手続きを必要とせず、無料で利用できる公衆無線LANです。ワイヤ・アンド・ワイヤレス社のサービスを利用しています。電波を探す際のSSIDは、「tullys_Wi-Fi」です。

・プロント

メールアドレスで簡単な登録をすることで、無料で30分(1日3回まで)利用できる公衆無線LANサービスです。電波を探す際のSSIDは、「PRONT_FREE_Wi-Fi」です。

・ルノアール

メールを送ってゲストコードを取得すれば、無料で3時間、公衆無線LANを利用できます。電波を探す際のSSIDは、「Renoir_Miyama_-Wi-Fi」です。

コンビニの各チェーンにも、……

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4. SSID(Service Set Identifier)とは

Wi-Fiの接続に頻出するSSIDは、無線LAN(Wi-Fi)におけるアクセスポイントの識別名です。屋外でスマートフォンのWi-Fi設定を見ると、周辺にあるアクセスポイントのリストが表示されていることがあります。そのリストに表示されている各アクセスポイントの名前がSSIDです(図5)。混信を避けるために付けられる名前で、最大32文字までの英数字を任意に設定できます。同一のネットワークで、複数のアクセスポイントを設置する場合を考慮し、ネットワーク識別名に拡張したものをESSID(Extended SSID:拡張SSID)といいます。ESSIDの意味で、SSIDという語を使う場合が多いようです。

図5:表示されるSSID(イメージ)

図5:表示されるSSID(イメージ)

無線LANは、電波を使って通信するため、有線LANと違って複数のアクセスポイントと交信可能になり、混信状態が生じる可能性があります。このため、無線LANのアクセスポイントと各端末は、共通のSSIDを設定することで、SSIDが一致する端末としか通信しないように設定できます。SSIDによるネットワークの識別は、……

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第6回:Wi-Fiの接続と拡張

前回は、Wi-Fiの規格と特徴と、公衆無線LAN(Free Wi-Fi)について解説しました。通信ネットワークや、無線通信の仕組みなどを解説してきたこの連載も、今回が最終回です。今回は、Wi-Fi装置の選び方と、セキュリティの確保について解説します。

1. 業務用と家庭用のWi-Fiルータの違い

Wi-Fiルータには、業務用と家庭用があります(図1)。これらは何が違うのでしょう。実は、通信速度やセキュリティ機能に大きな差はありません。一番の違いは、接続できるパソコンやスマホなどの機器の台数です。Wi-Fiルータは、同時に接続できる機器台数が制限されています。制限数よりも多くの接続があると、通信速度が低下します。

>図1:Wi-Fiルータの例

図1:Wi-Fiルータの例

・業務用Wi-Fiルータの選び方

業務用と家庭用のWi-Fiルータは性能面で大きな差はないものの、同時に接続できる機器の数に違いがあることが分かりました。どのように選定したらよいのか、接続できる機器の台数の他、アンテナのタイプについて説明します。

接続できる機器の台数:

家庭用Wi-Fiルータの場合、同時接続できる機器は2台、多くても5台程度です。一方、オフィス環境では、……

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2. WiMAXの選定の目安

小型の移動端末WiMAXについても紹介しましょう。WiMAXは、基本的にはWiMAX2+というサービスを指しています。WiMAXの最大の特徴は、通信容量が無制限であることです。どれだけ利用しても価格は変わりません。しかし、実際には、3日間の通信量が10GB以上になると、混雑緩和のため通信速度が制限されます。ただし、制限されるのは翌日の夜間(18~26時頃)のみで、日中は制限なく利用可能のようです。なお、通信制限中の速度は、だいたい1Mbpsです。

WiMAX2+サービスが利用する周波数帯(2.5GHz帯)は、他のモバイル通信(700MHz~2GHz帯)と比べ、高周波数帯を使用しています。電波は、周波数が高くなるほど直進性が強く、遮へい物に弱くなるという特性があるので、WiMAX2+は建物内では電波が弱くなったり、圏外になったりすることもあります。

表1に、1か月に必要なデータ容量の判断材料として、1GBのデータ容量で使用できる各種サービスの目安を示します。

表1:1GBのデータで使える目安
利用目的 1GBの目安
メール送信 約2,000通
LINE電話 約50時間
Twitter(140文字でツイート) 約3,100回
YouTube(低画質) 約3時間
YouTube(高画質) 約1.5時間
オンラインゲーム(SwitchやPS4) 約6時間
オンラインゲームのアップデート(SwitchやPS4) 1回未満(1.5GB~10GB以上)
Hulu(ハイビジョン画質) 約1時間
ZOOMでのビデオ通話 約1.5時間

 

3. セキュリティの確保

セキュリティを確保するには、第三者機関が公平にルールを策定し、将来起こりうる災害の被害を予測した対策を継続して行う必要があります。情報セキュリティ対策に使われる代表的な技術である、Wi-Fiセキュリティ方式とファイアウォールについて紹介します。

・Wi-Fiセキュリティ方式

Wi-Fiセキュリティ方式で、一般的に行われているのは通信の暗号化です。Wi-Fiの使用に当たっては、パスワードによる対策が重要です。Wi-Fiの暗号化方式の中には、破られやすいものがあるので要注意です。セキュリティの特徴を、表2に示しました。暗号化方式には、強度の順にAES、TKIP、WEPといった方式があります。セキュリティが強固で、使用が推奨されているのが、WPA2-AESです。また、OSや機器のファームウエアを最新にしておくことも重要です。最近では、新しい暗号化方式として、WPA3が登場しています。

表2:Wi-Fiセキュリティ方式の特徴

表2:Wi-Fiセキュリティ方式の特徴

・ファイアウォール

ファイアウォールとは、……

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4. 情報セキュリティポリシー

情報セキュリティポリシーとは、企業や組織において実施する情報セキュリティ対策の方針や行動指針のことです。情報セキュリティ対策は、組織全体で取り組む必要があります。組織のリーダーは、セキュリティレベルやコスト、市場競争における差別化の視点から、どのような対策を行うべきかを決定します。また、組織によって情報リスクや経営環境が異なるため、既成のシステムの真似ではなく、自ら策定することも重要です。同時にその内容は、現場で実行できるものでなければなりません。

・情報リスク

情報セキュリティにおけるリスクとは、情報システムやデータなどにおいて損害や悪影響を発生させる可能性のことです。主に、人為的に引き起こす情報リスクについて紹介します。人為的な情報リスクの中には、……

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5. 情報リスクの対策

組織内に潜む情報リスクを診断する方法として、組織内の関係者へのヒアリングや、情報システムの回診が挙げられます。また、情報システムに攻撃を与えるシミュレーションを実施して、動作診断することも有効です。チェック項目を設け、調査票を使って診断を行います。

この場合、診断項目としては、企業の設けるセキュリティポリシーを基に、システム運用管理の実行、事故対策、災害対策の実施、不正アクス対策、ウイルス対策、バックアップ対策、内部不正対策などが挙げれます。また、従業員の教育運営管理を実施します。

・情報リスク対策の例

情報の喪失を回避するには、定期的に情報データのバックアップを行うことや、バックアップセンターの設置が有効です。天変地異に備えた地理的分散システムの構築も含めて考える必要があります。

情報漏えいへの対策としては、文書、データの持ち出しの禁止を厳格に実行します。文書、磁気メディアの破棄を徹底し、同時に監理も実施します。また、……

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