メニュー

正規・非正規雇用の格差解消:働き方改革の基礎知識4

働き方改革の基礎知識

更新日:2021年7月29日(初回投稿)
著者:関西大学 社会学部 メディア専攻 教授 松下 慶太

前回は、働き方改革における労働時間の問題について解説しました。今回は、同一労働同一賃金がどのように導入されるのか、また、ギグ・ワーカーについても取り上げます。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、正規か非正規かという理由で、手当や待遇、仕事に差がつかないようにしようと策定されたものです。働き方改革のポイントの一つとして、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目指しています。非正規雇用労働者には、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者が含まれています。図1で示されているように、1989年(平成元年)では非正規雇用者の割合は19.1%であったのが、2018年(平成30年)には38.2%にまで上昇しています。

図1:非正規雇用者の割合の変化(引用:総務省統計局、統計トピックスNo.119統計が語る平成のあゆみ、2019年4月26日、P.4)

同一労働同一賃金は、正確にはパートタイム・有期雇用労働法を指しています。2020年4月から導入され、中小企業においても2021年から適用されることになりました。その中で、事業主は正社員と短時間労働者・有期雇用労働者とで、給料や手当など待遇に不合理な差を設けることが禁止されました。また、短時間労働者・有期雇用労働者から正社員との待遇の違いについて説明を求められた場合、その理由を説明しなければならない義務を負うことになります。その際に、「パートだから」といった主観的・抽象的な理由は説明にならないとされています。

待遇の差を無くすことについて、厚生労働省は均衡と均等という言葉で説明しています。均衡とは、不合理な待遇差を禁止するもので、職務内容や配置の変更範囲、事情の違いに応じて待遇を決めていくものです。また、均等とは、職務内容や配置の変更範囲が同じ場合、同じ待遇をするというものです。

2. メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用

同一労働同一賃金とともに議論されるようになったのが、ジョブ型雇用です。これまでの日本では、終身雇用の中でさまざまな職務を経験していくメンバーシップ型雇用が中心でした。

・メンバーシップ型雇用
メンバーシップ型雇用は、人に仕事を割り当てるというイメージです。転勤や望まない部門での仕事も引き受ける代わりに、企業での研修など人材開発によって長期的に育成される、というメリットもあります。日本での失業率がアメリカやヨーロッパなどに比べてそれほど高くなく、また、新卒での就職率が高くなっているのは、こうしたメンバーシップ型雇用のおかげだともいえるでしょう。

・ジョブ型雇用
ジョブ型雇用とはメンバーシップ型雇用とは逆に、仕事に対して人を割り当てるイメージです。そのために、仕事で何がなされるべきか、どこまでがこの仕事の範囲なのか、それによる報酬や条件は何か、などがジョブディスクリプション(職務記述書)で明記されています。

正規・非正規の格差解消を目指して、同一労働同一賃金が進められる中で、こうしたジョブ型雇用は徐々に広がっていくでしょう。実際に、日立製作所や富士通、カゴメ、資生堂など、ジョブ型の導入や拡大を進めている大手企業も出てきています。一方で、自社のジョブディスクリプションの作成や、新卒一括採用や解雇規制との兼ね合いをどうするかなど、これまでのメンバーシップ型雇用を前提としていた制度や風土とどのようにバランスを取るかが、今後の課題となっています。

3. ギグ・ワーカーをめぐって

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

ピックアップ記事

tags