メニュー

コマツが目指す、つながる工場とは?:日本能率協会ものづくり総合大会2017レポート

2017年2月15日~17日に開催された日本能率協会主催の「2017ものづくり総合大会」。2日目には、「コマツ流 ものづくりのつながる化」というテーマで、コマツ(株式会社小松製作所)執行役員 生産本部 生産技術開発センタ 所長 栗山 和也氏が講演を行いました。建設機械(建機)の生産効率アップに、コマツが工場のIoT化に取り組む背景や事例を紹介します。コマツ流つながる工場とは、どんなものなのでしょうか?

コマツ 執行役員 生産本部 生産技術開発センタ 所長 栗山 和也氏

コマツ 執行役員 生産本部 生産技術開発センタ 所長 栗山 和也氏(写真提供:日本能率協会)

1. コマツ流つながる工場とは? 

IoT技術導入の背景

日本は、就労人口の低下と若者のものづくり離れが深刻な問題となっています。第二次産業の有効求人倍率も上昇しています。自動化や生産効率を上げなくては、現状の生産性の維持さえできません。IoTを活用することで事業の見える化をし、生産性を上げることが必要です。コマツでは、コア技術としてシミュレーション技術と制御技術を据えて大型建機だけでなく、工作機械や施行現場の効率化を進めています。

コマツの成長戦略とは

従来の開発の目的は、車両価格のコストダウンでした。しかし、大型建機は、メンテナンスや燃料費などのランニングコストが車両価格に比べてはるかに大きくなります。そのため、他社の追随を許さない高付加価値商品の開発や、生産技術ではKOM-MICS、施行現場ではKomConnectというサポートサービスによって、お客様の事業に合った運用をサポートしてきました。一般土木では、ICT機器と3Dデータの活用によってソリューションサービスを展開しています。

KOMTRAXとは

KOMTRAX(コムトラックス)とは、約10年前から全てのコマツ製品に採用されている「どこで、どのくらい、どのように」車両が使われ、「メンテナンスが必要か」をお客様とコマツが把握できるシステムのことです。ソリューションビジネスが一般化する前から運用されているコマツの強みの一つです。これにより、現場機械の見える化につながり、客観的な情報を元に運用改善が可能となりました。

KOM-MICSとは

KOM-MICS(コムミックス)とは、工場のIT化でクラウドによる情報の共有を行い、生産から販売まで全ての工程を連係させるシステムです。協力企業とも情報を共有することで新製品の開発や在庫管理、メンテナンス時期の把握などが可能となります。ハンディスキャンなどの発達した計測機器で取得した形状情報を、IoTで協力企業とも共有することで、仕様の確認が容易になり、各社から意見が出るようになりました。このように分業の効率化がはかれます。土木分野では、建機だけでなくドローン技術やシミュレーション技術を応用したICT施行ソリューションを準備しています。お客様の生産性向上、工期短縮につながっています。

図1:コマツの生産技術開発の進め方

図1:コマツの生産技術開発の進め方

KOM-MICSに向けた生産技術開発センタの役割

生産技術開発センタは、建機特有の問題を解決するための部署です。役割は、生産性の向上や、協力企業と連携し競争力を高めることです。技術の発展は早いため、全てを自社開発するのではなく有用な技術を利用するという考えを元に、他社技術の利用、共同開発を行っています。年間何億個も生産される半導体や自動車に比べ、建機は年間数10万台と少量生産なため、自動化による生産性の向上効果が少ないと考えられていました。しかし、自動化の恩恵が少なかっただけにIoT化で工場の見える化の改善余地は大きいと考えています。

2. KOM-MICSによる機械加工の見える化事例

KOM-MICSの活動ステップ

機械加工の見える化を進めるために情報分析ツールを導入しました。機械単体の情報とライン、工場規模の情報を集め、分析をします。不具合の原因特定や加工手順の改善もできます。これを各工場や協力企業とシェアしていくことで生産性を高めることが可能となります。

見える化が変える工場

端末から得られた情報をKOM-MICSに蓄積することでリアルタイムの機械状態が分かり、設備の動作状況も把握することができます。また、履歴を残しているため、過去の状態を参照することも可能です。そこから稼働率や加工効率が分かるようになります。また、大型建機は一つ一つが大きいだけでなく、マーケットの変動も激しい機械です。IoT化で情報をリアルタイムに得られることで、開発もリアルタイムに近い動きができます。

機械加工の改善で見えたこと

ある工程では、切り子の発生する切削時間が、加工工程全体の34%でした。切削時間以外は、機械が動いていても、切り子の出ないエアーカット、メンテナンス、準備に使われていました。非加工時間を短縮し最適化することで、生産性の向上につながります。非加工時間を統計的に分析することで客観的なデータが得られます。見える化により加工手順や品番が管理され、突発的な事故にも迅速な対応が可能です。

図2:機械加工の改善例

図2:機械加工の改善例

非加工時間の改善方法

3Dモデルと実際の被切削物の差をレーザーにより感知する機構を20年以上前の旋盤に搭載することで移動時間の無駄が把握され、フライス盤に搭載すると加工面積が分かります。その情報を元に制御プログラムの改善を行うことで稼働率を高めることができます。既存設備を改善することで少ない設備投資で生産性の向上が可能となります。

【アイデア出しに最適】メンテナンス効率化の事例(イプロス製造業)

3. KOM-MICSによる溶接ロボットの見える化事例

データ分析と改善

溶接も機械加工同様、作業時間と作業時間外に分けて改善をしています。KOM-MICSによって、実際の溶接ロボットから吸い上げたデータを分析し、最適な工程を算出できるようになりました。重要視されていない冶具の剛性なども含めたデータ解析も将来できるように研究中です。重要なことは、情報の見える化だけでは何も改善されないので、その情報を元にいかに改善するかということです。コマツでは定期的に各システムに対してレポートを提出し、改善しています。

図3:溶接の改善例

図3:溶接の改善例

溶接ロボットの改善で見えたこと

機械加工同様、溶接ロボットでも加工時間は49%であることが分かりました。加工外時間の内訳として計画的な停止、トーチの交換、オフラインティーチングなどがあります。それぞれの作業を自動化、簡易化させることで加工外時間の短縮が可能です。

課題の改善方法

溶接では、スパッタによりトーチが汚れてきます。その掃除を最適なタイミングに自動で行われるようにすることで効率化に成功しました。大型建機で扱う厚板の溶接で生じるスパッタの自動排除システムを搭載することで、20%近くの生産性の改善ができた例もありました。新しい溶接ワイヤ、電源の組み合わせなど、従来の改善方法も重要であり、今後も進めていくことになります。ロボットのティーチングは、基本的に手間のかかる作業で干渉が生じることもあります。しかし、最新技術ではオフラインで大ざっぱな工程を設定すると干渉のない動作を自動で算出することができ、人の作業が簡易化できました。

コマツでは建機だけでなく、工場や現場で使用されるお客様も見える化をすることで、多くの改善点に気づくことができ、それをソリューションとして現場に還元するまでになりました。集めたデータを解析し、生かす巧みさが、コア技術にシミュレーション技術を据えたコマツの強みです。

ティーチング効率化に役立つ製品をチェック!(イプロス製造業)

参考:ものづくり総合大会ウェブサイト

  • セミナー8月
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0805_01
  • 特集バナー0805_02
  • 特集バナー0805_03
  • 特集バナー0805_04
  • 特集バナー0729_01
  • 特集バナー0729_02
  • 特集バナー0729_03
  • 特集バナー0729_04
  • 基礎知識一覧