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日立システムズのドローン活用事例:TECHNO-FRONTIER 2018国際ドローンシンポジウムレポート

2018年4月18日~20日に開催された日本能率協会主催の「TECHNO-FRONTIER 2018」。併設して開催された国際ドローンシンポジウムでは、4月18日に、「ドローン利活用の最前線をささえるドローン運用管理サービス」というテーマで、株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)金融事業グループ ドローン・ロボティクス事業推進プロジェクト プロジェクトリーダ 曽谷 英司氏が講演を行いました。

検査・測量分野を中心に、さまざまな分野での活用が進んでいるドローン。日立グループでは、ドローンをIoT実現のデバイスの一つと捉え、サービスを展開しています。日立システムズのドローンサービス事例と、ドローン運用の注意点を紹介します。ドローンを業務に取り入れたいと考えている技術者の方、必見です。

TECHNO-FRONTIER 2018国際ドローンシンポジウムレポート

1. ドローンの現状

・ドローンの市場

国内のドローンビジネス市場規模は年々増えていて、伸びが顕著なのはドローンサービス分野です。この傾向は今後も続くと考えられ、日立システムズもサービスを中心にドローン事業を伸ばしていこうと考えています。ドローンで提供できるサービスも多様になっていて、特に検査・測量分野での利用ニーズが高まっています。検査・測量分野だけでドローン市場規模の半分を占めるといわれています。

・ドローンができること

ドローンができることには何があるでしょうか。最近では、ドローンに積載可能なさまざまな機器が開発されています。例えば、カメラ。農業分野を例に挙げると、農作物の生育状況を監視するためのカメラや、日照状況を見るための赤外線カメラなどが開発されています。カメラ以外には、各種センサやガス検査装置、非破壊検査装置なども、ニーズとして高まっています。

2. ドローンの活用

・ドローン活用の注意点

ドローン活用において最も注意すべきことは、その場所での飛行が許可されているか否かです。ドローンの飛行ルールは国土交通省により定められていて、空港周辺や人口集中地区、150m以上の高さの空域では、安全性を確認した上で国土交通省から許可を得ないと、ドローンを飛ばしてはいけません(図1)。夜間やイベント上空の飛行なども、承認を得る必要があります。

図1:ドローン飛行許可が必要な空域

図1:ドローン飛行許可が必要な空域(引用:国土交通省、無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール

顧客からは、ドローンは墜落しませんかという質問がよく寄せられます。残念ながら、扱い方を誤ればドローンは墜落します。大切なことは、ドローンが落ちる理由を解析・理解し、墜落の確率を下げることです。墜落の原因で多いのは、無線です。多くのドローンは、2.4GHz帯域の電波で操縦しています。2.4GHz帯域はWi-Fiでも使用されており、混線により操縦不能になることがあります。また、山や建物の影響でGPSが切断し、操縦不能になることもあります。鉄塔の近くなどでは、強い磁気や電波がドローンの無線に影響し、墜落リスクが高まります。強風や雨にも注意が必要です。電池切れや機体故障など、ドローンに起因した墜落もあります。原因を把握した上で、電波状況の確認や風速計による調査などの対策を講じることで、墜落の可能性を抑えることができます(表1)。

表1:ドローンの墜落原因と対策
墜落や事故の原因 対策
GPS切断・操縦不能
(2.4Ghz電波の混線)
電波状況の事前確認
強風(上空風速10m以上) 風速計による事前調査
降雨、磁気による影響 3人体制による安全確認
電池切れ・機体故障 チェックシートで事前、飛行前、飛行中、飛行後の確認

・ドローンの活用事例

ドローンの活用事例として、インフラや建築物の点検業務での活用を紹介します。点検業務でドローンを使う目的の一つに、従業員に危険な作業をさせたくないというニーズがあります。例えば煙突の点検業務では、高さ130mもの煙突の表面を点検することもあります。ドローンであれば、30倍までズームできるカメラを搭載したドローンで点検可能です。撮影した画像は、地上にいる経験豊富な作業員がリアルタイムでチェックし、必要に応じて撮影場所を指示します。煙突の中の様子も、ドローンであれば安全に確認することができます。

ドローン活用により、点検業務の効率化も図れます。従来点検とドローンによる点検業務の比較を、表2にまとめました。事前に作成した3Dモデル上に、ドローンで空撮した写真データをひも付けることで、劣化・不良箇所をデジタル上で管理できます。デジタル管理することで、0.3mm以上のひび割れだけを抽出したり、5年前のデータと比較して劣化しているところだけを抽出したりできます。人工知能・画像解析によるひび割れの自動抽出システムなども開発を進めています。その他の違いとして、足場・高所作業車の手配が不要、報告書の自動作成などがあります。

表2:従来点検とドローンによる点検の比較
  計画 点検作業 打鍵 報告書作成
足場・高所作業車 目視作業 チェック
従来点検 計画書作成 足場作成、作業車手配 人が近接・遠望目視しデジカメで撮影 不良箇所を紙に記入 打鍵による点検 手書き作成
ドローンに
よる点検
計画書をドローン点検用に作成 不要 ドローンによる撮影 不良箇所をデジタル管理
(3次元台帳)
同上 システムで
自動作成

表3に、ドローンを活用することによるメリットと、今後検討すべき課題をまとめました。国土交通省への認可作業など増える作業はあるものの、安全性の向上・見落としの削減・報告書の作成工数の短縮など、多くの効果が見込めます。

表3:ドローンを用いた点検ソリューションのメリットと課題
   計画 点検作業   打鍵  報告書作成 
足場・高所作業車 目視作業 チェック
ドローン
活用による
メリット
コスト削減・工期短縮 コスト削減・工期短縮
安全性確保・見落とし削減
作業効率化
漏れの削減
変わらず 作業効率化
今後の
検討項目

・ドローンで出来る所と出来ない所を判定

・適応機種・カメラの選定

国交省への申請
周辺への告知・申請
ドローンで見られない場所の目視方法 チェック方式の見直し 変わらず 作成方法の見直し

3. 今後のドローン活用

ドローンを利用した点検作業は、建築物やインフラの老朽化予測に置き換わると考えています。ドローンで撮影したデータをデータセンタで分析し、建物やインフラのメンテナンス情報などを管理するシステムと連携し、どの箇所が老朽化しやすいか予測し、劣化前に修繕するのです。しかし、現在のドローンが撮影しているデータだけでは、老朽化の予測は難しいでしょう。ドローンが撮影すべきデータは何かを考え、ドローンやカメラを進化・発展させていくことが、求められています。

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