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お互いプロジェクト~日本のクラスターとタイとの連携で競争力を高め合う~

昨今のASEANの経済成長に加え、ASEAN経済共同体(AEC)の発足で、日本とASEANとの関わり方は大きく変化しています。それは企業レベルはもちろん、自治体においても同様です。今後のASEANとどう関わっていくか。そのアプローチの一つが、「お互いプロジェクト」。

日本の自治体・中小企業とASEANをつなぐ、これまでにない意欲的な取り組みです。タイ政府国家経済社会開発委員会・政策顧問として、このプロジェクトを推進する松島大輔氏にお話を伺いました。

きっかけは2011年の東日本大震災とタイの大洪水


タイ政府国家経済社会開発委員会
政策顧問
松島 大輔 氏

2011年に日本とタイはそれぞれ大きな自然災害に見舞われました。日本では3月の東日本大震災、そしてタイでは8月から11月にかけての大洪水です。タイの大洪水の際には、タイ側のサプライチェーンが寸断された結果、日本側でもさまざまな影響が出ました。象徴的なものとしては、タイからの輸入量が多かった焼き鳥の串の減少で「居酒屋から焼鳥が消えた」ことなどです。

「お互いプロジェクト」はこうした災害などに対する危機管理を目的として、日本とタイがアジアレベルでの生産ネットワークを共有し、両国の産業補完を強化するためのプラットフォームとなるべく発足しました。

わかりやすい例で言えば、半導体のローム社とルネサス社。ローム社のタイ工場が大洪水で操業停止した際に、ライバルであるルネサス社が日本の工場で代替え生産をしました。「困った時はお互い様」の精神です。こういった取り組みを平時から、自治体・クラスター単位で、そして日本とタイの間で構築していこうというのがお互いプロジェクトの出発点です。

日本のクラスターの強みを、タイで活かす


日本のクラスターとタイ・ASEANの間で連携を図る。

クラスター連携について、日本国内で言えば新潟・燕市と横浜市のケースがあります。ともに「洋食器」のクラスターを形成していますが、東日本大震災直後の2011年4月、両市は危機管理からクラスター連携をスタートしました。いざ連携してみると、実は両者の文化・強みがはっきり異なっていたことがわかりました。燕市ではバリ取りまで行いますが、横浜市はその前工程まで、という具合です。結果として、双方に洋食器の相談が来た際に、その内容によって双方の案件を融通しあう関係性が生まれました。

このように、クラスター連携しお互いを知ることで、それぞれの強みがわかります。それぞれの可能性についてもまた、実際に連携してはじめて気付くことが多々あります。お互いプロジェクトでは、この連携を日本とタイ、両国をまたにかけて行います。それは、日本のクラスターがその強みを活かし、タイの案件を手がけることにもつながります。

「結果」を出す。タイ政府が本気のプロジェクト

株式会社FOMM(川崎市)の水陸両用電気自動車 エクステリア

取り組みの一例として、川崎市と協働で進めている電気自動車のプロジェクトをご紹介します。日本でベンチャー企業が電気自動車を手がけようとすると、いわゆる大企業の系列にぶち当たります。しかしタイにはそれがなく、日本よりスムーズに事が運びます。規制についても、日本よりは緩やかです。このプロジェクトで手がける電気自動車は「小型・4人乗り・水陸両用」というものです。洪水のリスクがあるタイでは、水陸両用はとてもウケる。タイ政府内で「タイの国民車にしよう」という声が出るほどです。2016年の発売を予定していますが、もちろんワールドプレミアは、バンコクです。

このように、お互いプロジェクトには「日本の技術力でタイの課題を解決する」という一面もあります。そのためにタイ政府は規制や環境など様々な面で強力なバックアップを行います。誤解を恐れずに言うと「公にえこひいき」します。したがって、お互いプロジェクトの参加にあたっては、日本の自治体にきびしい政策協定を結んでいただいています。すべては、「結果」を出すためです。

株式会社FOMM(川崎市)の水陸両用電気自動車 インテリア

この「結果」へのこだわりが、お互いプロジェクトの最大の特徴です。自治体の中には、行政や関係諸組織が一枚岩になりきれずに、協定締結を見送った例が数多くあります。しかし、逆に言えばそれくらいタイ政府は本気だということです。

すでに協定を結んだ自治体は先に紹介した川崎市のほかに山梨、鳥取、島根、愛知、福井、富山、福岡などがあります。それぞれのクラスターの強みに合わせ、FA化やアモルファス、バイオ、漢方、食品加工など様々なプロジェクトが進んでいます。

ASEANへの進出は、日本の利益に必ずつながる

冒頭でお話ししたように、お互いプロジェクトは危機管理から出発していることから、いざという時にはサプライチェーンの被害を低減する機能を果たします。しかし平時であれば、日本のクラスターがその強みを、タイでの課題解決や新しいビジネスに活かすことができるものです。それも、タイ政府の後押しを受けて。

多くの方が認識していることかと思いますが、日本の製造業が日本国内だけで閉じていては、残念ながら大きな成長は見込めません。その要因は日本の人口やその構成、成長余地など、市場の環境によるところが大きいです。

一方でタイ、そしてASEAN。昨今の経済成長は言うに及ばず、その人口や若年層の割合などから大きな可能性を秘めています。ASEAN地域の人口は6億人、3年後の2018年までにいわゆる中間層が新たに8500万人誕生します。

タイ、ASEANにある様々な課題。それを日本の技術で解決していくことは、必ず日本の利益に資します。そのための強力な手段として、ぜひ「お互いプロジェクト」を活用していただければと思います。

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