静電気をどこでも発生！片手でラクラク操作。簡単な帯電試験に

当社は、高電圧を発生させる小型電源装置と、これに組み合わせて使用する実験装置を主力に手掛けています。両方合わせても非常にコンパクトですので、静電植毛や、帯電量と比重の違いによる異物の選別・除去、火花放電などの簡易的な実験を、卓上で行うことが可能です。

2019年で創業50周年を迎える当社ですが、静電気の発生装置の開発に取り組み始めたのは20年ほど前のこと。中でもユニークなのが、「帯電ガン」と呼ばれる帯電装置です。その名の通り、銃のような外観をしており、引き金を引くと静電気が発生するものです。エネルギーが小さく安全なため、特に学校の理科の授業で活用いただくケースが多いですね。

初代の帯電ガンを含め、当社の製品の最大出力電圧は10万Vが中心です。そのため、お客さんから「もっと低い電圧で足りるのに、10万Vだと予算オーバーになる」との声が度々寄せられていました。このことが、今回紹介する『GC25B』の開発に至ったきっかけです。『GC25B』の出力電圧は2.5万Vですので、手軽な帯電装置を求める方の需要を取り込める製品という位置づけです。

当社の帯電ガンは現在、3種類あります。このうち2種類は電源を確保する必要があるのに対し、『GC25B』は単3乾電池4本で可動する手軽さが特長の製品です。コンセントからの距離が遠い場所でも使用できるため、活用いただけるシーンが広がりました。

使い方は非常にシンプル。電源を入れると直流高電圧がガン先端の針電極に印加され、マイナスイオンが発生します。これにより、ガンの先にある絶縁物を帯電させる仕組みです。引き金を引いて電源のオン・オフを操作するため、連続的、または間欠的にイオンを発生させることができます。このたび製品の仕様を若干変更し、電池の出し入れがより容易になりました。

ただ、持ち運び可能で手軽に静電気を発生させられる装置があること自体、一般的にあまり知られていないのが現状です。静電気に関する研究・開発を行っている方に遠方から遥々訪問いただける機会が多々あり、ニーズは感じているものの、どういう提案をすれば喜んでもらえるのか日々模索しています。

そこで、『GC25B』をはじめとした帯電ガンの活用事例を紹介した動画をネットで公開するなど、わかりやすい形で製品について皆様にお伝えするようにしています。これまでに、「フィルムの貼り付け」や「紙の吸着」、「絶縁金属とアース金属間の放電」といったテーマの動画を公開してきました。これらをもとに、具体的な提案を固めていきたいところです。

具体的にイメージできている例としては、掲示物の貼り付け用途があります。静電気で壁にくっつく専用シートと組み合わせて使用するのですが、シートに掲示物を重ねてガンで帯電させると、画鋲やマグネットなしで貼り付けることが可能です。直接壁に貼り付けると1日で剥がれてしまいますが、シートの上からなら1年は持ちます。工程管理表など頻繁に貼り替えるものの掲示に便利ですし、「知らない間に落下した画鋲でケガをしてしまった」という心配もありません。しっかりと吸着しながらも、手でめくるだけで簡単に剥がせる点もメリットです。当然、壁に穴が開いたり、糊や粘着テープの跡が残ったりすることなく、美観を保つことができます。

当社では、展示会のブースに設置するパネルでも、この使い方を採用しています。PRしたい内容が印刷された紙を同様に壁やパネルに貼り付けるだけなので、出展準備や設営の手間を省くことができ、重宝しています。

このように“静電気の力で物を簡単に貼り付ける”使い方は、まだまだ掘り起こすことができるでしょう。帯電ガンの特性を有効活用することで現場の困りごとを解決できる場面を、どんどん増やしていきたいものです。