SKF、ベアリングから設備・潤滑診断などエンジニアリングまで
掲載開始日:2013/03/28
ベアリングはあらゆる機械に組み込まれ、“機械産業の米”とも言われる重要な機械部品。駆動部の荷重を支え、摩擦を減らして機械をスムーズに動かすのに欠かせません。見方を変えれば、ベアリングは機械や生産ラインの効率やエネルギー消費のカギを握り、それを見直すことによってコスト削減や利益創出など工場の最適化につながります。
ベアリングの世界トップメーカー・SKFの日本法人・日本エスケイエフ(神奈川県横浜市)は100年以上培ってきたベアリング技術を活かし、潤滑や設備診断など新たなサービスを展開中。単なるベアリングメーカーから“利益を生み出す工場づくり”を提案する総合エンジニアリングカンパニーへと進化しています。これからの事業戦略について話を聞きました。

今回紹介する技術と製品
日本エスケイエフ 設備診断サービス
日本エスケイエフの設備診断サービスは、ベアリングで培った技術と独自の設備診断機器によって、潤滑、音、傷、構造体共振の4つの成分のFFT波形を一括表示・診断して機械の状態を正確に捉えます。そのデータをもとにベアリングや潤滑の交換・見直し等の助言により生産性の改善を提案します。
この記事で紹介した製品の関連資料がダウンロードできます。
ベアリング専業メーカーから総合エンジニアリングカンパニーへ

西山 欣孝 社長
当社はベアリング専業メーカーとして1907年にスウェーデンで設立されました。スウェーデン国内市場だけでなく、創業当時から輸出を中心に、国外市場に積極的に展開し、いまでは130カ国以上に営業拠点、32カ国約130に工場、世界中に1万5000社の代理店ネットワークを持つ、世界でもトップのベアリングメーカーに成長しています。
日本には1915年(大正4年)に代理店を設置し、1932年(昭和7年)に日本エスケイエフ興業株式会社として日本法人を設立しました。1963年に社名を今の日本エスケイエフ株式会社に変更し、2012年で創業80周年を迎えました。
ずっとベアリングメーカーとして展開してきましたが、当社のコアであるベアリングをより良い状態でより長く使っていただくために、『ベアリングやユニット』の開発・品質向上はもとより、シールの開発・製造・販売を行う『シール』、ベアリングや機械の潤滑ソリューションを提供する『潤滑システム』、直動製品やアクチュエータなどの製造・販売を行う『メカトロニクス』、保守点検用機器の提供やエンジニアリングを行う『サービス』といった5つの事業に事業領域を展開してきました。
それにともない現在、『トータルコストオブオーナーシップ(TCO)』をキーワードに、単なるベアリングメーカーから、機械の保守や保全、生産ラインの設計から設置・据付のお手伝いをする総合エンジニアリングカンパニーへと方向性を転換し、工場運営におけるトータルコスト削減、生産効率アップなどの課題解決を通じた新たな取り組みを進めています。
ベアリング・潤滑、設備の最適化を通じてムダなコストを撲滅!利益体質の工場づくり
特に力を入れているのが『ベアリングを中心とした設備診断サービス』です。機械が稼働する上でベアリングは軸を支える最も重要な部分であり、当社にはベアリング製品はもちろん、その診断装置とノウハウがあります。通常の振動解析は一面性のFFT波形の表示のみでしたが、当社の場合は潤滑、音、傷、構造体共振の4つの成分のFFT波形を一括表示・診断して機械の状態を正確に捉えます。そのデータをもとに設備を隅々まで診断し、ベアリングや潤滑の交換・見直しを通じて生産性を改善し、ムダなコストをそぎ落とすことで、利益体質の工場づくりを提供します。
例えばある設備で一定の速度を超えると振動が出てしまうような場合でも、多面的に設備を診断してベアリングや潤滑、機械の調整を変えるだけで振動を抑えながらスピードアップも可能です。1台の機械が早く動けるようになれば、また設備診断で故障や不良等リスクが減れば、工場の生産性は劇的に改善します。機械を最も効率よく動かすためのメンテナンスや保守などはすべて当社が請け負い、ユーザーは高品質の製品を安く大量に作ることに集中できるようにすることが理想です。
設備診断や保守・保全はおまかせ!生産性・競争力アップに貢献
設備診断・最適化サービスを展開

海外では、『製造・生産』と『保守・保全』は別の仕事で分業されていますが、日本では熟練技術者が機械を効率的に動かし、その技術と調整法を若い人たちに引き継ぐといった形で、現場の技術者の力でその両方をカバーしてきました。しかしながら、いまは熟練技術者が退職して技術が失われてしまったり、逆に若い人が現場に入って来なくなったりと技術継承の危機を迎え、海外の製造現場と同じような状況になりつつあります。
当社ではそうした状況に対し、保守・保全に関するサービスまで提供することによって、技術者が本来の業務である製造に全力を注げる環境づくりに協力しています。ベアリングや潤滑から、機械や生産ライン、工場設備運営まで、工場の困りごと、課題を解決する体制が当社には整っています。これまで100年以上世界中に展開してきたノウハウを通じ、日本の生産性と競争力アップに貢献していきたいと思っています。
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取扱会社
SKFは、世界の軸受市場におけるリーディング・カンパニーです。スウェーデンに本社を置き1907年(明治40年)に創業、また、日本支社である日本エスケイエフは昭和7年に創業しました。 弊社では、継続的に新しい技術開発を行うことでお客様の競争力向上に貢献する製品作りに役立てています。 40以上の産業において「ベアリングとユニット」「シール」「サービス」「潤滑システム」 の知識と経験がございます。 ●ベアリングとユニット:深溝玉軸受から球面ころ軸受、ハウジングなど幅広い転がり軸受を開発・販売しています。 ●シール:自動車用および工業用シールを製作。お客様のご要望に合わせたカスタムシールも製作します。 ●潤滑システム:様々なグリースやオイルをはじめ、潤滑装置も各種ご用意しています。 ●サービス:状態監視装置や設備診断測定器、またアセットマネジメントなどコンサルティングも行っています。